火事場の馬鹿力
これは危機に際して能力が発揮されることのたとえである。
よく若くして経営者として成功した人の話というのがあるが、共通点は実行力のすさまじさである。何がなんでも成功してやるという強い思いがその原動力になっているのだ。だがその強い原動力というのは一体どこからやってくるのだろうか? それは危機意識である。
危機感がなければ人は動かないのである。その危機意識はこれができなければ死んでしまうと思うほど強烈でなければならない。したがって貧困、屈辱、孤独といった要素が大事になるのだ。だから見方を変えればこのようが逆境はむしろ恵みであることがわかる。そしてこの「恵み」は誰にでも与えられるものではないこともわかるであろう。特に現代ではそうである。現代のようなすぐ人の助けが得られるような状況は多くの人を甘やかしてしまう恐れがある。もちろん助けを必要とする人も多くいることは事実だしその場合は遠慮せずに堂々と助けてもらえばいい。
だが、ぬくぬくと生活していける状況では人は成長しないということを忘れるべきではない。
結局、成功というのは一種の結果であって重要なものではなく、本当に重要なものは最初の危機意識の強さであることがわかる。
これも物理的に言った方が冷静に受けとめられるだろう。外力が強ければ強いほど物体はそれだけ遠くまで進むのである。外力が弱ければ摩擦があるために遠くまで進むのは困難である。これほど単純な事実なのだ。それを心的に表現すると、危機感とか成功といった感情的なフレーズになるのである。