最大の危機
ぬるま湯につかったような安楽さが最大の危機である。つまり危機のなさが最大の危機である。だから危機がなければ危機を作り出す必要がある。人間の能力は生命さえ脅かしかねない危機に直面することで初めて出てくるものだからだ。
過去の人類は疫病、飢饉、戦争といった危機に直面しそれらを乗り越えることで今日の文明を築き上げてきた。
個人レベルで言えば貧困、孤独、屈辱、絶望といった厳しい状況こそが人を奮い立たせるバネになる。成功した経営者たちのほとんどが失敗を重ねたあげく成功を成し遂げた話をするのも当然だ。また若くして成功し大金を手にした者がその金を遊びに浪費して再び落ちぶれてしまうという現象もよくある話である。楽に流れることが最大の危険なのだ。
人類の歴史の話に戻ると、結果としてどうなったか。人間は危機を感ずることなく安楽な生活に満足してそれに甘んじるようになった。特に年金生活者たちは長寿をほとんど何もせずにダラダラすることで惰性で日々過ごしているのだ。ベーシックインカムが普及したらこの安楽さは若者たちにも及び大量の小人たちを生み出すだろう。
現代人は危機を恐れ、快適さを手放したくはないと思い結果として全て楽な方へと流れていく。
肉体的にも精神的にも現代人は甘やかされている。
その締まりのないブクブク太った体つきを見れば彼らがいかに自分の体を甘やかしているかは一目瞭然である。
精神的にもいつも楽しようと考えている。
どうしたら楽に稼げるか? どうしたら楽にモテるようになるか?どうしたら楽に学べるか?などと小手先のことばかり日々考えて時間を浪費している。
だが、そうはいってもこの流れは歴史的なもので避けようもないものだ。するとこの先どうなるのかという問題が出てくる。