Pray The Devil Back To Hell
一昨日は国際女性デーでしたね。そんな日に私は偶然「Pray The Devil Back To Hell」という映画を見ました。リベリア内戦で、女性が終わりのない暴力に怒り、非暴力的運動を通してリベリアを平和へと導いた、とても刺激的なドキュメンタリーです。
リベリア内戦について・歴史・個人的回想
リベリアは西アフリカにある、1989-1997年、また1999-2003年と二度の内戦を経験した国です。死、暴力、飢餓、レイプは日常茶飯事で、市民はその時期を「地獄」や「世界大戦」とも呼んでいます。内戦を体験していない私たちには想像もつかない話が多くある中、内戦の残酷さは人肉を食べていた兵士と子供兵士をリクルートしていた話を通してだけでも部分的に伝わってくるはずです。
*戦いに行く前に人の心臓を食べると強くなれると信じられていた為、その心臓のために人を殺していたそうです。笑顔で「これからこの心臓を食べるんだ」と言う少年の映像などもあります。
*子供兵士が多かった理由には、政治的な意志だけが含まれている訳ではないです。また強制されたからという訳でもありません。仕事も食事も何もない、いつ死ぬか分からない最悪の環境の中、将軍のもとで兵士となるのは魅力的な部分がありました。将軍から銃を貰うことにより、周りの市民に従ってもらえるようになり、強盗やレイプを通して更にまた強くなった気持ちを少年たちは味わえたのです。
*武器を持つ事によって権力を味わえる現実は恐ろしいですね。この問題は発展途上国の警察にも存在します。銃を持っている警察が女性をレイプをし、エイズ感染にも繋がっている問題です。私の務めていたエイズ孤児院には、お父さんが警察で、お父さんを通してお母さんもエイズ感染してしまい、両方の親を失ってしまった子がいました。
内戦の裏にある政治や細かな話はこちらで紹介すると長くなるので、私が自分用に大まかなポイントだけをまとめた以下のリストを参考にして下さい。英語ですが、、あと外部介入はもっとあります!私が面倒になって書いていないだけです、、主にアメリカ、ナイジェリア、国連を中心にリベリアは外部から介入された歴史があります。最近では中国もビジネスパートナーとして存在感を強めています。
気になるので補足として書きますが、Sierra Leoneの反逆者をサポートしていた事もありTaylorの国際的印象は最悪でした。彼の政権の終わりを要求する国際的圧は大きく、彼の政権をPeace Keeping Forceに譲るという約束にも繋がりました。しかし、問題は内戦を止めようとする外部介入は遅く、ECOMOGがリベリアに着き、暴力をおさめるまでの間に首都MonroviaではLURDの攻撃によって内戦は続いていました。一番期待されていたアメリカ軍は、内戦が終わってからリベリアにつきました。
アメリカの遅すぎる反応に対して、「Liberia: An Uncivil War」という別のドキュメンタリーで「最初から介入する気ないなら、そう言って欲しかった。そしたらEUに助けを求めて、EUに助けてもらえたかもしれない」というコメントがとても印象的でした。アメリカ大使館前に、アメリカに行動を取って欲しいという気持ちから、人々が家族や友達の死体を並べ始め、緊急な状況を訴える映像を私は忘れられません。
映画「Pray The Devil Back To Heaven」
Source of the picture: The Carter Center
話がそれましたが、「Pray The Devil Back To Hell」が着目しているのはTaylorとLURDの最後の対立の時期、2002-2003です!レイプと暴力に疲れ果てた女性たちが、「The Women of Liberia want Peace now」という強い意志を持ち、暴力を使わず、TaylorとLURDを和平会談へと促し、長引く話し合いを進め、平和を招いた当時の貴重な映像のまとめです。
初めてキリスト教、イスラム教の違いを乗り越え、ただただ平和のために活動していた彼女たちの生の声と当時の映像が凄く刺激的です。この運動を始めたLeymah Gboweeさんのこの映画についてのインタビューもとても面白かったので、そちらも是非検索してセットで見て欲しいです。
授業で戦争・暴力とジェンダーの関係性をトピックとして扱った事があるのですが、女性が弱くて無力で感情的になりやすいため政治界に向いていないという概念を的確に裏返している例だなと思いました。彼女たちは、ただ平和を訴えたわけではなく、毎日のように戦略を練って、いつ殺されるか分からない状況でとても勇敢な女性像を見せてくれました。
Leymahさんは、「ガンジーなど世界各国の非暴力的運動の情報を集め、毎日効果的な戦略を練っていた」と語っています。「最初はみんなに無視される。その次は笑われる。そこから真剣に向き合って、影響をもたらせるようになれる。」という分析も運動前からされていたみたいです。そのビジョンがあったからこそ、相手にされなくても、笑われても、耐え抜いて、リベリアを平和へ導けたのでしょうね。
心の底からリベリアの女性を尊敬しています。
補足でリベリアを題材にした主なドキュメンタリーをまとめてみました ⭐︎「Pray The Devil Back To Hell」平和を導いたリベリアの女性の話
⭐︎「Liberia: An uncivil war」2回目の内戦の様子(血など生々しい映像が苦手な方は見ないでください)
⭐︎「The Cannibal Warlords of Liberia」 内戦時の将軍とリベリアの現在の話
⭐︎「Iron Ladies of Liberia」アフリカ初の女性大統領Ellen Sirleafの話
⭐︎「Unprotected: How a US Charity failed Liberia's most vulnerable girls」 NGOのあり方を再度考えさせられる話
⭐︎「America in Africa (Welcome to Liberia)」by Drew Binskey リベリアに悪い印象だけ抱いて終わりそうなのでリベリアのポジティブな面を取り上げているVLOGもどうぞ