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ガンディーを支えたインドの万年筆

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インドにいると何度もサインをする機会がある。私は手持ちの青色ボールペン「cello, R&D in Japan」でサインをするのだが、たまに年配の方が万年筆でササっとサインを書くのをみかけると、 「あ。いいな」と、思う。

インド独立以前に、かの有名なガンディーが、「スワデーシー」をスローガンに掲げていたことがあ る。イギリスをはじめとする外国製品を排斥し、インド国内の資源を使ってインドの人々の手による 自国の発展を遂げようとする運動だ。今でもガンディーの糸車をまわす姿は良く知られているが、こ の姿は手織りの国産綿織物「カーディー」を推奨している象徴でもある。

ガンディーは「ゴースト・ライター」説がささやかれるほど、膨大な書簡や書籍を残している。そのと きに握るペンですら国産品にこだわっていたという。1921年に、ガンディーが石版印刷板の作業に 携わっていたM.V.ラトゥナーム氏に、「人のためになるものを作るように」と諭したのが始まりだ。ラト ゥナーム氏は約10年の歳月をかけて純国産のペンを製作し、エボナイト製の万年筆をガンディーに 贈ったという話がある。その書き心地にいたく感動したガンディーは、その万年筆を使って御礼状を 書いている。その後も、ネルーやインディラ・ガンディーなどの政治家が、このラトゥナームの万年筆 を愛用している。

ガンディーからのお礼状とその内容 “Dear Ratnam, I must thank you for the fountain pen you have sent me through Shri Kumarappa. I have used it and it seems to be a good substitute for the foreign pens one sees in the bazaars…Yours sincerely, M K Gandhi; 6-7-1935, Wardha”

実はこのラトゥナームの万年筆、現在でも手に入れることができる。今はラトゥナーム・ボールペ ン・ワークス社として営業を続け、アーンドラ・プラデーシュ州のラージュムンドゥリーという町でボー ルペンと万年筆を作り続けている。値段は約3,000ルピーからと、インドの万年筆にしては少々割高 である。・・・

2019年時点のカタログ。時価になるため、最新情報は工房にご確認を!

(残念ながら、多くのインド人が「スワデーシー・ペン」の存在を知らず、「日本のボールペンが一番」 と思っていることが多いのだが・・・)

RTNAM BALLPEN WORKS住所:10-7-18, Fort Gate, RAJAHMUNDRY-533 101,電話:0883-2498782メール:ratnamballpen [ at ] yahoo.co.in

夕暮れのタージマハールホテル、ムンバイ(著者撮影)

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