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背景ペーパーの代わりとしてのLED

当然ですが、撮影には予算の制限があります。

大企業の広告撮影のように潤沢に予算があって、大きなスタジオを使ったりライトを何灯もレンタルしたりなど、必ずしもできるわけではありません。
特に小さい規模のストックフォトの撮影や作品撮りなどはかけられる費用も時間も少なく、その制限の中でいかに豊かな撮影ができるか、ということが毎回課題になっています。


セッティングの勘違い

https://stock.adobe.com/jp/stock-photo/id/878222181

こちらはストックフォト用に撮影した写真で、渋谷にある小さなホリゾントのスタジオで撮りました。朝から様々な撮影をした後の、最後のカットでした。

実はこの写真のライトのセッティングをしているとき、自分は勘違いをしていて、なぜか全く別のヘアメイクと衣装で、白バックで撮るものだと思い込んでいました。

いざヘアメイクと着替えが終わったモデルがメイクルームから出てきた時に、ようやく勘違いに気づき、急いでセットチェンジをしました。
本来であればベージュの背景ペーパーを使用して撮るつもりでしたが、ペーパーを垂らしている時間はありません。時間が押せばスタジオ代の延長料金がかかり、当初の予算をオーバーしてしまうからです。

LEDで色をつける

たまたまスタジオに300wのフルカラーのLED(Amaran300C)があり、正面のライトを急いで組んだ後、背景のホリゾントにはそのLEDでベージュの色をつけました。

結果的に、ベージュのペーパーを使うよりも淡くグラデーションのある背景色になり、モデルや衣装とも馴染む雰囲気の写真になりました。LEDもスタジオの無料機材だったので、ペーパーを垂らすよりも費用をおさえられます。

背景につけた色を薄めないため、正面のライトはある程度背景に届きづらくなるようにセットする必要があります。例えば背景とモデルの距離を離す/正面ライトにグリッドをつける、など。

またフルカラーのLEDなので、ベージュだけでなく実際は様々な背景色を作り出すことができます。ストロボ+フィルターで背景に色付けする方法もありますが、それよりも色のコントロールが柔軟に行えるかと思います。

「代用力」を身につける

今回はペーパーの代わりにLEDを使いましたが、予算や時間を削減するためには、あり合わせの機材・道具で「代用」をすることが効果的です。言わば「代用力」を身につけることで、そこに生まれた偶然によって、当初の想定より良い仕上がりになる場合もあるかと思います。

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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