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【子育て】歌うヒゲ息子
子育てにはミステリーがつきものだ。
なぜかおむつの中からシメジが出てきたり、ポッケからこれでもかというくらい錆びたボルトが出てきたり、ポストにセミの死骸が隠されていたり、あげればキリがない。
しかし、それも子どもたちが小さい頃のことで、小学生、中学生と、子どもたちが大きくなるとミステリーも減っていく。
それがここに来てなぜか、しばらくぶりにミステリーが起こった。
ことの始まりは遡ること1年前。
ヒゲ息子が中2の頃の話だ。
今も進行中の、1年も続くミステリーナウである。
彼は大音量で歌い始めたのだ。
来る日もくる日も酷い声でノリノリで歌う。
何の歌かわからないのは、私が最近の曲を知らないからか、彼が下手すぎるのか。おそらくはその両方だ。
しかしこのイラっとする感じ。
初めてのものではないと私にはわかっていた。
そう。ヒゲ息子より3つ上の甥っ子が歌い始めたのもまた中2だった。
なぜだ。なぜ男子は歌うのだ。
うちの遺伝かと思っていたら、先日、耳にイヤフォンして、人目を憚らず大声で歌いながら自転車をこぐ少年を見た。
やはり中2ぐらいだった。
すごい音量だったけど、本人は自分の世界に酔いしれていて、むしろ潔ぎよかった。全然知らない子なのに、「この子は大物になるな」という予感すら感じさせた。
普通そんなことしたらちょっと危ない人だ。
なのにそこまでして歌いたいのはなぜなのだろう。
ひょっとして、声変わりをする頃は歌わずにいられないのか。
ヒゲ息子には、静かにするか上手に歌うかどちらかにしてくれとリクエストした。
自分に酔う彼らにはギャラリーの声なんてもうどうでもいいらしい。
たいしてうまくもないのに思いっきり歌が歌えるのは、それだけエネルギーも自分らしさも全開満開で、安全地帯にいるんだぜってことかもしれない。
いや、単純男子のことだから、なぁんにも考えてないんだろう。
母たちが必死に謎解きしている間もその問題のアホらしさでにやけてしまう子育てのミステリー。
ヒステリーよりよっぽどいいではないか。
はてさて最後にうまいことを言ったものだ。