毒親貧困育ちが留学に来たら、周りは上流階級家庭の子どもたちで溢れていた
留学に来ている子は大体良い家族を持っている。
私はカナダのトロントという都市に留学している。
大学生で留学してる子は大体親の援助で留学に来ている。
私のクラスメイトも大学生で、バイトはしてない。
毎日スタバのフラペチーノを持って授業にやってくる。
休み時間もマックに行ってコーヒーを飲んだり、放課後はジムに行ったり、週末はお祭りに参加していつも外国人との自撮りをInstagramに上げている。
トロントに留学しにきている子は、よく旅行に行く。
アメリカやヨーロッパに行く子が多い。
もちろん彼らは留学中バイトはしていないので、その資金は親の援助というわけだ。
お金の話になったときに、「親が学生の間はバイトなんてしなくて良いって言うの。大人になったら働きたくなくても働かなければならないから。」と友達は言った。
クラスメイトの日本人が近々帰国する。
その子が、自分が帰国する前に日本から家族3人がカナダに来るから、クラスのみんなとご飯を食べないかと誘ってくれた。
日本からトロントまでの直行便はエコノミークラスで2022年6月、片道20万円。
家族3人が日本からやってくるということは、この金額の往復分をさらっと払える家庭ということだ。もちろん行くよ!と言ったけど、その家族に会って一体何を話せば良いんだろう。
私は彼らのことが嫌いではない。
お金を持っている家庭で育って、両親がきちんとした職についていて、東京の私立医大に行かせてもらえるような子は、親に愛されて育ってきたのだろうな、というのがビシビシ伝わるくらい、その子の性格はとても穏やかで、優しい。いつもニコニコしていて、一緒にいて楽しい。ひねくれたり、誰かを見下したりするところがなくて、話しているとその温かい心を分けてもらえる気持ちになる。
カナダにいる間もどうしても日本の住民税がかかる。
その額は年間約24万円。親に立て替えといてくれないかとダメもとで言ってみると「いいよ」と言ってくれたので、とても嬉しかった。
そしてカナダに来て3週間経ったころ、親から住民税の振り込み用紙が届いたと連絡があった。予想以上に大金で困惑しているようだった。カナダから日本の口座にお金を振り込むからそれを住民税として振り込んでおいてくれないかと言ったが、LINEでやりとりするのは不安だからという理由で断られた。結局立て替えると言ってくれたが、「知っての通りこっちの生活にも余裕がないので、日本に戻ってきたときには立て替え分を返してよ」というメッセージが届いていた。
その頃、授業についていくのも必死で、初めての海外で、言葉も通じなくて、ご飯も美味しくなくて、ボロボロになっていた私には厳しすぎるメッセージだった。
もちろん私の家族の生活に余裕がないのはわかっている。両親と、まだ高校生の妹と、100歳を超える祖母が一緒に同居している。
それでも、自分の娘が異国でひとりぼっちで英語と医療の勉強をしに来ているのに、送ってくるメッセージそれかよと思った。
そのメッセージには既読をつけて、もう連絡するのはやめた。
時々カナダの友達に「家族とどのくらいの頻度で連絡してるの?」と聞かれるけど、そのことを聞かれるたびにいつも困る。「時々ね」と笑うしかない。海外に来ても、良い両親がいて、家族と時々ビデオ通話するのが当たり前とみんな思ってるみたい。自分がそうではないということが時々無性に悲しくなる。