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自然栽培って聞いたことある?

最近、お仕事で農家さんや農業関連のお手伝いをする機会が増えており、お米の栽培について学んでいました。なかでも、面白かったのが「自然栽培」というワードです。

自然栽培ってなんだ

自然栽培って聞いたことありますか?わたしは最近まで聞いたことがなかたのですが、自然とうたってるだけあって農薬はもちろん肥料すら使わない栽培方法です。自然食品のコーナーなどでよく見かけるのは、ほとんどが「有機栽培」ってやつですが、有機栽培も農薬を使わない点は同じだけれども、家畜の糞尿だったり植物由来の堆肥を土に投入します。自然以外の物質によって収穫物の育成をコントロールしようという点では有機栽培もある意味では非自然的です。一方で、自然栽培とは(まだあまり世間にも明確な定義がないようですが)土にできるだけ不純物を投入せずできる限り自然の力だけで育てようという栽培方法です。

調べてみると、自然栽培、自然農、自然農法など似たような言葉がいくつかありますが、厳密にはそれぞれ異なる栽培方法になります。ただ、ここではそこまで深堀りはしません。。。自然栽培という自然由来の栽培方法があるんだ、ということを知っていただければと思います。

化学肥料や動物性堆肥を使った土には次第にそれら肥料の残骸が蓄積し、固くて冷たい土の層ができます。これを「肥毒層」と呼ぶのですが、この層ができると水はけがわるく病原菌が発生しやすくなります。自然栽培では、手間と長い時間をかけてこの肥毒層をなくす努力をするのです。「汚れているのは土なんです。」あぁ、ナウシカもかつてそんな事を言っていたな。。。wそうやって、おひさまと土と水と周囲に暮らす生物たち自然の力をありのままつかって育てるのです。すると植物は害虫に強くたくましく育っていきます。

持続可能なモデルって

もう何年か前になるけど、わたしはいっとき知り合いの農家さんのボランティアだったり、地元の地主さんにちっちゃな土地をかりて仲間内で農作業に携わったりしたことがあるんです。持続可能な社会モデルって農業から生まれるのではないかと真剣に考えていたのでw

農業=自然って単純に考えてる人も多いでしょ?でも、いろいろやってみて感じたのは、今の市場では種子は厳密に管理されているし、植える位置や間隔、化学肥料の割合だったりタイミング全てが細かく決まってるんです。近代農法では収穫物の効率的な育成と規格化が重視されていて、本質的な「自然」を犠牲にしてるいような気がします。こんなことをいう学者もいます。

近代農業技術は、基本的に石油依存である。一人あたりの生産性を上げる驚異的な成功をもたらしたのは、石油依存の強い技術、機械化の幅広い適用と、更に重要なものとして、広範な化学薬品の使用であった。物理・科学的にいえば近代社会はさまざまな食料を食べているが、経済学的に言えば石油を食べているのである。

F・エルンスト・シューマッハー

当時わたしが目にしたのは農業=自然とかけ離れた世界観だったんです。専門家じゃないのであまり軽はずみなこと言えないですが、そもそも持続可能な社会のありかたを考えた時、このやり方じゃすぐに詰んでしまうのではないか。。。

そんな経緯で、わたしは農業に関わるのを辞めちゃったんですけども、最近この自然栽培の話を聞いて、あ!10年前に知りたかったのはこういう農の「在り方」だったのかもしれない、なんて今更ながらに思っています。



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