心臓血管外科手術記録 2020/08/01
AAA破裂に対する緊急EVAR
前日からの急激な腹痛あり受診、造影CTで80mmのinfrarenal AAAと、後腹膜血腫を認めた(Fz-2)。血圧は来院時70台であり、補液にて100台まで回復
当院ではルーチンとして、ICUでAlineとは別に左上腕動脈に4Frシースを挿入し手術(カテ)室に搬送している。血圧低下があった場合にすぐに左上腕動脈からIABOバルーンを下行大動脈に留置し中枢血圧を上げている。この症例も同様に4Frシースを留置して、準備が出来次第入室。
来院時から入室までに血圧低下がなかったので、再破裂はしていないと判断し、IABOは使用せずに全身麻酔開始。血圧が30まで低下したが、輸液で50−60程度まで血圧上昇を認めたため手術開始。
両側FAを露出、タバコ縫合、アクセスは右を予定。左から8Frシースを挿入して下行でAUSに変更、16Frドライシールを挿入してCODAバルーンを上げ、腎動脈上で拡張させたところ血圧が90まで上昇した。落ち着いて右FAに8Frシースを挿入してKMPを下行まで進め、(この際にCODAをわずかにしぼませてカテを通過させる。)gwをAUSにかえ、デバイスendurant28-16-145(本当は32が良かったけど、緊急のため在庫がなかった。)を対側脚が前を向くようにして挿入。
左に入れたCODAバルーンを一旦しぼませてみて、血圧がそこまで下がらないことを確認して急いでpigtailに入れ替え、造影して急いで展開した。対側脚が出た時点でカニュレーションを行い、ドライシールから造影して対側脚16-16-126を選択して展開。この時点で血圧は安定した。メインデバイスの同側展開を行い、デバイスを回収、左と同様にドライシールから造影して16−16−90を選択して展開した。バルーンタッチアップ後に全体造影するとtype1a ELがみられたため、excluder cuff28.5mmを追加。ネックがテーパー型で、ネック下端の径が23mm程度で28mmcuffで抑え込める可能性が高かったため、メインボディ内下端ギリギリで展開し、タッチアップを行った。
造影でELは消失(tupe4のみ)となったため手術を終了。この時点で血圧は120まで上昇、ICUに戻り翌日に抜管した。術後1週間後のCTでもELなく退院となった。
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