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令和6年度行政書士試験 残念な結果だった方へ
YOUTUBEでもご視聴いただけます
https://youtu.be/c9NmpMYxY_o
令和6年度の本試験は残念な結果でしたね。もっと勉強しておけばよかったと感じている方や、悔しさがこみあげている方、試験中にやってしまった自分のミスが許せない方、どうやったら合格するのか先が見えないという方など、ネガティブな気持ちになっている方が、少なくないと思います。でも今日はそういう気持ちでよいのではないかと思います。こういった強い感情を味わった方ほど、強いエネルギーが生まれるはずです。今後行政書士試験を継続するかどうかを問わず、次のステップに進むにあたり、「このままでは終われない」と決意して新たな一歩を踏み出し努力を継続するエネルギーとしてぜひ活用していただければと思います。
それから、結果は残念だったとはいえ、まだ法律の学習が十分でない方にとっては、長い目で見ると、良い結果だったといえるかもしれません。
法律を勉強する一番大きなメリットは、自分や家族・知人のトラブルを未然に防げる可能性が高くなることや、トラブルに巻き込まれても適切に対応できる可能性が高まることです。私はこれまでたくさんの法律相談を受けてきましたが、相談に来た方が法律を知らない状態で軽率な行動をとってしまったことで、深刻なトラブルになっている方が多く、もう少し早く法律相談に来てくれれば、トラブルを回避できたのになぁと思うことがしばしばあります。ですから、資格試験を受験するかどうかを問わず、本来は法律を学ぶ機会というのは、長い人生において非常に重要なことなのです。個人的には義務教育に基本的な法律科目を入れるべきではないかと思っているぐらいです。
法律科目を十分に学習する機会がないまま合格してしまうと、法律知識の基礎がしっかりと頭に定着していないにもかかわらず、その後じっくりと法律を学習する機会を失ってしまう方もいます。例えば、初学者が800時間程度の学習しかしていないのに、本試験の問題の相性などの幸運に恵まれて合格できたような場合と、5000時間位かけて合格したような場合とでは、当然5000時間かけて合格した人の方が、法律知識の基礎の定着がしっかりしていて、法律知識を忘れにくいわけです。
つまり、長時間じっくりと勉強して合格した人の方が、合格後に仕事や
日常生活で法律知識を使える能力が高いのです。行政書士の短期合格者の中には法律知識が十分でない方もいらっしゃって、近い将来実務の世界に進むまでに、法律知識を補充しないと仕事や日常生活のどこかで失敗してしまうのではないかと思うことが過去にありました。例えば、「相続放棄」は死亡の日から数えて3か月でできなくなると説明し、さらに「相続放棄」は3か月を過ぎたらどうにもできないと断言してしまって、3か月の期間を延長できる場合があることを説明しなかった短期合格者が過去にいました。
受験生のうちは、それでも合格してしまえば笑い話ですみます。しかし、法律知識が不足しているのに、短期合格してしまった方は、その後法律知識を一生懸命勉強しなくなる傾向にあり、そのまま法律知識の補充をしないで、実務や日常生活の場面で同じようなミスをしてしまうと、今度は依頼者や親族・知人から信頼を失ってしまいますし、場合によっては依頼者や親族・知人に損害を与えてしまいます。
このように考えると、じっくりと学習時間をとって合格した人の方が、実務や仕事、日常生活で法律知識を間違えずに使える可能性が高く、長い目で見るとその方が良いのではないかと思えるのです。
もし、来年受験されるお気持ちになったのならば、今年は今までより深い学習を意識し、今度こそ苦手科目をじっくりと学習してみてください。
毎年出題数の少ない憲法は、過去問だけでは全然足りませんので、条文1つ1つの意味と趣旨、そして、重要判例1つ1つの、事案・争点・理由・結論を、腰を据えて学習してみてください。
民法も、毎年出題数が少なく、過去問だけでは全然足りませんので、不足分は行政書士用の予備校教材より1まわり範囲の広いテキストで補う必要があります。事例が豊富な教材を使い、どんな事例で、どんな要件をみたすと、どんな条文が適用されて、どんな効果が生まれ、誰がどんな請求ができるのか、丁寧に整理していきましょう。
行政法は、前半(総論部分)は、抽象的な用語の整理・記憶の徹底が必要で、後半の手続法は手続きの全体像を掴んでから、1つ1つの重要条文や判例を押さえ、それらが過去問でどのように出題されているかを吟味する流れが必要です。行政法がもっとも抽象的で記憶しにくいため、記憶が定着しない方は、記憶の仕方まで工夫しておく必要があります。
商法・会社法については、捨て気味に学習していて、あまり理解せずにさらっと丸暗記し、あまり頭に入っていない方が多いように思います。
たしかに日常生活に身近でない場面も多いですが、ビジネスの場面を具体的にイメージしながら学習すれば意外と身近に感じられ、覚えやすくすることは可能ですから、具体例の多い教材を使うとよいでしょう。
詳しい勉強法は、当チャンネルの勉強法動画を、よろしければご視聴ください。
ということで、今回お伝えしたかったことは、長い目で見たら、悪いことは悪くないということです。令和7年1月29日の合格発表時点での自分の努力の成果は通過点であって、本当に大事なことは、合格後の未来に法律知識を実際に使う場面になって、自分や家族や依頼者の利益を守れることが最終目標なのです。
ということで、受験生ではなかなか気づけない、実務家の視点で、今日はお話をさせていただきました。
また、気持ちの整理ができて、再受験してみたいという気持ちになったら、ぜひ当チャンネルにお立ち寄りください。受験や実務で有益な情報を今後も提供していきます。
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