一期一会とクラムチャウダー( "BEMANI SYMPHONY CONCERT 2022" 周辺日誌 )
はじめに
こんにちは。liccaと申します。
普段はまた別の名前でTwitterやPrivatter等に生息しているしがない音ゲーマー(*1)です。
この記事はツイート群と脳内で生成された文章とを再構成したBEMANI SYMPHONY CONCERT 2022公演日を中心とした数日間の体験記録となります。そのため全部が全部ライブレポートではないことご了承ください。そして当日のレポート部分はレポートの体を成していないので、この記事は……一体なんなんでしょうね(日記です)。
ろくにセットリストも書いていないような記事ですが、良ければどうぞお付き合いいただければと。
ライブの中身の感想文を見たい方はこちらを参照ください。↓
なお、私は今でこそポップンミュージック・ノスタルジアを中心に多機種に渡って新曲を追いかけるようになってしまった立派なBEMANIフリークですが、その歴自体は圧倒的に浅いです。
具体的には沼から足が抜けなくなってTwitterのアカウントを作ったのが時期が18年上半期ですから……まあ簡潔に言ってしまえば、私は今回初めて「BEMANIシリーズのミュージックイベント(*2)」に参加しました。
その点を踏まえてお読みいただくと、なるほどそれでそんな意味不明の感情になってんだな……という理解を得ていただけるかもしれません。
6/11:BEMANIのリアルイベントが開催されるということ
それ即ち、この日この週末に、音ゲーマーが一所に集結するという事。
私は “人とゲーセンに行く” 経験が滅多に無いタイプの音ゲーマーです。無くはないけど、最後にアンサンブルしたのもずっと前です。要はぼっち系音ゲーマーというやつですね。
自分だけで音楽ゲームにのめりこんだ経緯もあり、自分から交流に行くこともあまり無いのですが……楽しみ方のひとつとして、定期的に交流の機会がある方に、ほんの少し羨望ぐらいあるわけで!
でも、今回、イベントを理由に、全国から多くの音ゲーマーが集う。それは私の知る方も例外ではない……。
このチャンスを絶対逃したくないと思い、前日入りして東京のゲームセンターに来ているフォロワーの元へ突撃しました。ただよく知った場所だし会えそうな方には顔知られてるし……と思って雑に乱入してしまい、その節は大変申し訳ありませんでした。
通路を歩けば見知った名前や、練習にやってきたBPLプロプレイヤーの方などをお見掛けするという状況の非日常感がまず凄まじかったです。
ノスタルジアのアンサンブルやjubeatのローカルマッチングは本当に久しぶりで。ギタドラのセッションをギター・ベース・ドラム全てを使って3人でセッションする経験は初めてで。
例えゲーセンの騒音の中で声は届きにくくても、名刺代わりに自分の好きな曲を選んだり、自分も相手も好きな曲を考えたりする時間は何度やっても良いですね。
また一斉に一緒に遊ぶだけでなく、友人が遊んでいるところをただ見ているだけの時間が、こんな楽しいなんて知りませんでした。好きな曲・譜面をオススメしたり高難易度への挑戦を煽ったりして、それを見守っているだけの時間なのに!他人がFAILEDしている姿をによによ眺めてるだけでどうしてこんなにたのしくなってしまうんだ……!!!!
そして自分も特攻FAILEDをカマすのでした。因果は巡るよどこまでも。(*3)
1回のプレーが10分として、それが3人分なので1周しただけで半刻が過ぎる計算。時間は飛ぶ割にクレジットは減っていない、のに、めちゃくちゃ楽しい。叶うならずっとそこに居たかったしずっとゲームしていたかったなあ、と思ってました。本番、翌日(コンサート)なんですけどね。
一度、もう帰って夕飯食べる時間なので……と言って別れたのに、他のフォロワーがゲーセンに来るかもしれないと聞いて急遽軽食を食みつつとんぼ返りを決めた。当然そこにはまだ、先程別れた方々が居る。そしてもちろん気付かれる。若干気まずくなりつつ(ゲームセンターはずっと開いているため、本当に気まずいとは思ってませんが)挨拶して、ゲームをしていたら視線を感じた。視線の主は来ると呟かれていたフォロワーさんでした。ついでにご自分の番でめちゃくちゃ自己紹介みたいな曲を演奏されていて心中穏やかでなくなりました。なんかスパイの暗号みたいじゃん!! と勝手に心中で盛り上がっていました、すみませんでした。
そもそもこの流れ、もしかして私は、擬似的に “ゲーセンでゲームしようとしたら/していたら、知り合いが居たり来たりした” 経験をしていたのでは……?
そう思い至って「あっ!」という心の声(*4)に「!(エクスクラメーション)」が付くぐらいにはグッときてしまいました。
本当に得難く素敵な1日でした。まあ繰り返しますが本番明日なんですけど。このあと急いで帰って寝ました。
6/12:コンサート感想雑記
お待たせしました本筋です。本当にギリギリまで寝て、素早く支度して朝から現地に向かいました。
夜のうちにレコード盤も余裕で入る(筈の)カバンに、貴重品とおみやげのお菓子と、一応ゲーセン用装備と傘と筆記用具と、それからチケットを入れて準備をして、いる時点で既に荷物収まりませんでした。主に菓子箱のせいでした。遠足に行く子供か?
そんな重い身なりで再び見知った都心へと赴き、未だ現実味を持てないまま、朝一番に受け取った特典のレコード盤の……想像以上のデカさは、めちゃくちゃ現実でした。正直家帰って円盤置いていこうかと思った。帰ったら交流時間もまともな昼食をとる時間も消滅するので流石に却下しましたが。
昨日はゲームを通して人間の実在を確かめましたが、この日は会話やお土産交換といった交流をさせていただきました。現実と限界に近づく情緒とを共有できる方が同じ場所に居ることが、こんなにも心強いとは……。各所で繰り返しておりますが本当にありがとうございました!
実は十数個持ってきたお菓子、捌けないかと思っていたのですが全然そんなことはなく安堵半分嬉しさ半分でした。交流会への参加経験も無いので最多邂逅人数を記録しておりました。
さて中身の話も一緒に行おうとしたのですが、あまりにも感極まりすぎてnoteの記事に有るまじき冗長さになったのと、リアルタイムでメモを取っておらずアーカイブを見返しながら綴った感想という形式にしたことで「体験記」からは少し外れた意味合いの文章になってしまったため、少し悩んで、別の記事として上げることにしました。
その結果が冒頭にもあった通りの、普段使っている自分の文章置き場への隔離です。別サイトへの誘導で申し訳ありません。もしあなたが“他人が体感した演奏についての文章"を観たいと思うなら、もしくは単にお時間があるなら、こちらも別途確認していただければと思います。
(再掲)(冒頭に載せた記事と同じです)
昼公演後。
動けなくなりました。
2時間はあっという間に過ぎ、その速すぎる時間感覚が恨めしくなるほど濃密でした。
ペンライトを振ったりペンライトを握り締めて祈ったりしていた(?)ため、持ってきたノートにメモを取る暇も、取ろうとする気概も失われてました。
2時間更新していなかったにしてはあまりにも新規ツイートが少ないタイムライン、そこにぽつりぽつりと追加される「#BEMANISYMPHONY 」タグの付いた呟きや付いていない呻き、エトセトラ。
規制退場の待機中、そこに自分も加わる時の、それこそネットなんて殊勝なツールは無い彼方の星から帰還したような特別感。
そんな普段では有り得ない空白は間違いなくオンラインコンサートの時にも、もしかしたら普段のDJ系のライブイベントであっても味わえない稀有な時間だったのでしょう。
ていうか終わったらコーヒー飲んだりうどんでも食べたりしたいな〜などと実に軽率な考えをしていましたが、もののみごとに打ちのめされて、行動不能に陥りましたね!!
しかも想定よりかは終演がちょっと延びてたので軽食休憩などという舐めた真似する暇は全然なかったです。お昼ガッツリ食べてて良かった。
放心したり参加者の方と交流したりしていい感じに記憶を飛ばしつつ(大丈夫、セットリストほとんど同じだし、夜はここまで打ちのめされはしないでしょ…)と考えたし、喋りました。フラグを建てに行くスタイルです。フラグをフラグと認識している時点で自爆準備だったかもしれません。
そして夜公演。ミッションデルタメドレーが一発目に流れた所までは正直ちょっと読めましたが、2曲目にsmooooch・∀・を流すべくkors kさんが登壇した瞬間「あ、やったな」と全てを悟りEDPの罠に落ちたことを受け入れました。
後日公開された、完全版のセットリスト(下記)を見ると違いが一目瞭然です。いやあの、FLOWERに始まりFLOWERに終わるセットリストとか、これ自体がもはやひとつの魔法もしくは催眠術だったのではありませんか……!?!(なんて?)(FLOWERとFLOWERの間に流れた歴史的な6時間が、 “夢” となってしまったような感覚の話をしたかったんです…!)
楽曲の話は全て別記事に任せるという暴挙を冒しつつ、私の総評としてはこうです。
作曲者や演奏者をこの目で観られたとか、ボーカリストの生歌唱を浴びたとか、見知った曲が聞けたとか、そういうものすら通り越して。
「リアルライブって、いいものだなあ……」の一言に、帰結してしまいました。
急に語彙力を失ったのでもなく、本気で。
KACライブには1度だけ行きましから、ある意味再確認ではあるんです。あるんですが、やっぱりあれは “ゲームプレーのおまけ” みたいな印象が、どのスペシャルライブのアーカイブを見ても拭えませんでしたから。
BRFも遠い昔ですし、なにより私は17年頃の……あの……例の、ごたごたした時期を通っていないので。味わったショック(ストレートに言うなら、絶望とか?)が薄かった分、何をも当事者として知ることがないままここまで来て、よりよいものを希望することも考えられなかった。
だからこの一連のプロジェクトで魅せてくれた新しい体験が、目新しい曲の世界が、あまりに眩しかった。
ぶっちゃけライブイベント等に立ち会えなかったのは時勢のタイミングもあると考えられるので、多分BEMANIの側からしたらこの感想は全くもって不本意でしょうし、私は書きながらすみません……すみません……て謝っています。
ただもし、期待しても良いのなら。どうかこれから存分に期待させてください。『また次回』という、1日で2度発せられたRyu☆さんのその言葉を。
……いやもう、もう無理ですからね!??! 過去のさっぱり諦められてた頃にはもう戻れませんからね!!!?? 供給受けてしまったからには、知ってしまったからには、もうより多くを望むような体に作り替わってしまいましたからね!!!!! いいんですか!!?!!
6/12ロスタイム:寄り道
合流してくださった方々と別れ(ありがとうございました)た後、もう全然頭が回らずとにかく入れそうなお店に入って夕食を摂った後に向かった先は。
ゲーセンでした。なんで?
こじんまりとした穴場のような、ホームのひとつであるゲームセンターでたった1人、たった1コイン入れて遊んでツイートでは現実に帰ってきたなどと宣っていますが、振り返ってみると選曲に全然現実味がありませんねこれ。(*6)
『FLOWER(BEMANI SYMPHONY Arr.)』の最高難易度・Real譜面を一発でSランク出せたのは上手いなあ、コンサート効果だなあ……なんて思いつつ、その場で一緒に喜んでくれる人はもうその場に居らず、Twitterでいいねを受け取るのみ。
なんだか普通に寂しくなって、夕食で食べきれずに持ち帰りになったクラムチャウダーを啜りながら泣きました。
寂しくて泣いた事なんて、家の鍵を忘れて親が帰ってくるまで締め出された時以来かもしれません。それよりもうちょっとマシな寂しい思い出があったとしても、楽しかったから寂しくなった出来事としては今のところ、きっと1等賞です。
数年前のKACの舞台(*7)で、「KONAMIさんが(大会を開いて)呼んでくれるから、自分たちは一緒にプレー出来る!」と叫んだプレーヤーの言葉が、今も頭から離れない私にとって、今回のイベントはあまりにも多くの意義を得られました。
そして「また開催してくれたら再会が叶うし、今回ご挨拶できなかった方にも会えるかもしれない」なんて希望も。
現実で会う事が何より良いという訳ではなく。
ネット上で同じ熱を共有してくれる方が、あるいは見知らぬ誰かが、この地球上にちゃんと実在していることを確かめられたのが何より有り難かった。
今度は名古屋とか大阪の方で公演してくれないかなあ(*8)などとあまりにも他力本願な思いを抱きつつ、こうしてあっという間の1日は終わりました。
6/13:OutPhaseとの“邂逅”
話は変わり、最後に翌日の話をエピローグとして記しておきます。
何度も述べますが、私はつい数年前にBEMANIと出会った新参者です。
なのであの日、昼公演のアンコールで、『天空の夜明け』の演奏中に突然現れたあのバイオリン弾きの男性こそがTaQ氏らしい、というのは登場した瞬間には分かりませんでした。先日Twitterで投稿されていた写真を見ていたことに加え、厳かな曲で、あの“キング”が、あんなにっこにこではしゃいでたらさすがに途中で気付きましたが。
そして曲に混ざりあったフレーズの原曲が、どうやらTAKAさんとTaQさんのユニット “OutPhase” の楽曲『quaser』・『sync』であるらしいというのは……お恥ずかしながら、夜公演後のタイムラインや感想記事にて知りました。
一度も聞いた事がない、というのは絶対ないと思いますが、絶対知ってるのにと思いながらも公演中は脳内のアーカイブにギリギリ手が届きませんでしたね。
それに対して悔しいという感想は、実はそんなにありません。25年の歴史に対してはどこまで行っても私は若人で、ただどのタイミングで何を聞こうが遊ぼうが「遅すぎることはない」というのを、銘に刻んで活動していますので。
でも、まあ。
このまま朧気なままでは、ご無礼というもの。
そんな経緯を帰路に思い返しながら。
公演翌日の6月13日、『ピアノ独奏無言歌「灰燼」』解禁の為ゲームセンターに向かう事が確定していた私に、もうひとつの目的が出来ました。
syncの演奏中、脳内に閃光が走りました。
──これだ。
──昨日奏でられたメロディは確かにここにあるものだったんだ、と。
この瞬間に得た感動と余韻をもって、ようやく私のコンサートは完結しました。
昨日はご挨拶できて良かったです。
不束者ですが、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
このあと聞いた特典ディスクの冥リミックスがライブ版とは異なる『HUMAN SEQUENCER』寄りのリミックスになっていることにひっくり返り、ライブの刹那性とOutPhase・TRANCEの文脈に磨り潰されてまた泣いてたのですが、それはまた “コンサート” が終わったあとの別の話。
これがアーカイブされないのだめでは……と思っていましたがそう言えばBlu-ray発売が告知されていましたね。よかった。
おわりに
この後も各機種で灰燼を解禁したりちょっと家を漁ったらレコードプレーヤーが出てきたのでヴァイナルを実際に再生してみたりと(今回のヘッダーはその時の大回転FLOWER切り抜きです)色々ありましたが、ひとまずこちらの体験記は締めさせていただきます。
この数日間……いや財布の底を叩く勢いでSS席に申し込んでみてからずっと、「こんな事は二度はないかもしれない…」と思いながら過ごしていました。正しく一期一会の精神で、衝動的に行動した面も多かったです。
けれどこうして行動と感情を振り返ると、思い切ったからこそ楽しい思い出になった面と、案外きっとまたあるかなという希望に満たされた面が両立する、充実した数日間になった気がします。
少なくとも、誰に誘われるでもなく勝手に音楽ゲームの沼に落ちていき、勉強の傍ら過ぎた生放送のアーカイブを聞き漁りながらひとりで黙々とボタンを叩いていたかつての私は、多分成仏したんじゃないかな。
あ、かつての私はもう今の私とは違う自我なので今の私はただただ楽しかったね〜!! とばかり言ってます。最高に楽しかったです!! これからも現世のBEMANIライフをエンジョイするぞ!!
最後にちょっと後書きを。
“かつての私” と書いてて思い出したのですが……ちょっと昔、私は“リミックス”という概念にあまり興味がありませんでした。
「そんな音源買う金があるなら1枚でも多く原曲入ったサントラ買うわ」みたいな感じだったので、興味を持つ余裕がまだ無かったと言った方が正しいですね。
数年経ってちょっと大人になって。多くのサントラを揃え、更には出来る限りBEMANIの多くの機種に入れ込むようになってしまった私は、リミックス・アレンジの良さ、曲の世界を広げてくれる人と機会の有り難さをもう、それはもう良く知っています。その現状でこのコンサートに立ち会えたのはまさに幸運でした。
自分、他の誰か、今の環境、何かひとつ違っていれば、私はこんな取り留めのない記録なんて書いていません。その全てに、感謝しています。
ここまで読んでいただきありがとうございました。それでは!