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みどりの しっぽの ねずみ
(かめんに とりつかれた ねずみの はなし)
文・絵 レオ・レオニ
翻訳 谷川俊太郎
出版社 好学社 1973年
森の奥で平和に暮らす野ねずみたち。そこは、たくさんの食べ物があり、気候も穏やかで、天敵にも見つかったことがない、ねずみの隠れ場。
ある日、1匹の町ねずみがやってきて、みんなに町の話しをしていった。
「普段は、いつも侘しくて危険な所だけどね。1日だけ素晴らしい日があるんだ。それはマルディ・グラの日さ」※と言った。その日は、音楽に合わせて踊ったり、仮想して仮面をつけて大騒ぎするとのこと。それを聞いたねずみ達は、「ぼくらも、マルディ・グラをやろう!」と夢中になって叫んだ。
みんなで準備をして、尻尾を緑に塗ったネズミもいた。始めは面白がっていたが、仮面をつけ奇声をあげて大騒ぎしていたら、次第に互いを威嚇し、怖がりだした。どのねずみも、ねずみであることを忘れ始めた。その結果、平和だったねずみ達の村に、憎しみと疑いが渦巻いた。そんな中、1匹の普通のねずみが現れて…!?
無知、無防備、集団心理、猜疑心、恐怖、平和ボケ、偏見、気づき、真実…そんなワードが思い浮かびました。平和で始まり平和で終わる物語ですが、「みどりのしっぽ」がそこで起こった出来事を象徴します。
読み終えた後、私は何かモヤモヤ感が残りました。
スイミーやフレデリックとは異なるレオ・レオニの違う内面を見たような気がしました。
※引用した文は、ひらがな表記を漢字表記に書き換えています。
補足
マルディ・グラは、フランス語でMardi gras 。イタリアではマルテディ・グラッソ(Martedì grasso)で、どちらも同じ意味で「肥る火曜日」。謝肉祭の最終日です。翌日の水曜日は「灰の水曜日(Melcoredi cenere)」と言い、そこから復活祭(Pasqua)
までの40日間は、四旬節(Quaresima)と言い、キリスト磔刑を偲んで肉の断食期間になるそうです。その前にドンチャカ騒ぎして、肉を食べられる最後の日がマルディ・グラのようですね。
さて、なぜ火曜日なのかと言うと、復活祭の日は、春分の日のすぐあとにやってくる満月の次の日曜日なので、40日前は必ず火曜日になる訳です。
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