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「米国で日本の漫画の展覧会」「Bookshop.orgの電子書籍への挑戦」「バンダイナムコのNY店舗」「中国BL市場の驚異的成長」

日々の北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。今週は、

  • 北米の「禁書」を巡る現状

  • 米国で日本の漫画の展覧会開催

  • Bookshop.orgが電子書籍販売プラットフォーム立ち上げ

  • バンダイナムコがNYにリアル店舗開業

  • 中国のBL市場の驚異的な成長

です。

米図書館協会の米教育省の訴え取り下げへの対応:「禁書」は現実

トランプ大統領誕生以来、米国を中心に政治・経済が騒がしいですが、同じ騒ぎは出版市場でも。教育省が「禁書」にかかわる訴えを取り下げたことに対し、アメリカ図書館協会が声明を発表しました。米国で「禁書」が起きているのは現実だと訴え、「米政権は憲法に従わなくてはいけない」としています。


こちらの記事にもありますが、教育省としては学校が書籍を並べる権利よりも、親の指導を優先する方針のようです。

こちらの記事にはPENアメリカがまとめた「どの絵本がもっとも『禁書』扱いされたか」がまとまっています。日本で翻訳出版されているものもあります。やはりLGBTQ+を扱ったものがターゲットになっているようです。

詳しく知りたい方はこの事情を現地の方がまとめたまとめた本が出ました。
「絵本戦争 禁書されるアメリカの未来」


米国で日本の漫画の展覧会「Art of MANGA」開催へ

大きいニュースです。米国のサンフランシスコで9月から日本の漫画の大規模展覧会が開かれます。出版社の枠を超えて、荒木飛呂彦氏やよしながふみ氏らそうそうたるメンバーの原画を展示するとのこと。全米から人集まりそうです。アジア、欧州にも巡回してほしい。


「ギャル」とは何で、なぜアニメ・漫画で人気なのか


これ誰かに研究をまとめてほしい。「りぼん」の「GALS!」が当時の渋谷系カルチャーを反映したものというのはわかるのですが、最近のアニメ・漫画の女性キャラクターには、「ギャル」の設定がある作品は多いなと思います。ギャルのイメージはどう共有されているのか


高雄の愛河湾に大きな「ちいかわ」登場 市主催イベントで

台湾の高雄市のイベントに「ちいかわ」登場です。ちいかわは漫画もですが、物語からキャラクターが切り離されて人気を集めている気がします。


2024年の配信市場、アニメが席巻

ニールセンの2024年の配信市場の調査です。日本では映画の年間ランキングの上位がアニメに占められていることが話題になりましたが、ニールセンの調査によると世界の配信市場でもアニメが強いとのこと。アニメ人気は世界的なものなのでしょうか?


ニューヨーク州知事、映画・ドラマを対象にした税額控除の拡大を提案


映画やドラマの制作を誘致するため、ニューヨーク州知事が税額控除の拡大を提案しました。記事によると、ほかの州も控除を拡大しており、近隣のニュージャージー州に取られているとか。


ソラジマの「35カ年計画」について

https://note.com/kojuro_hagihara/n/n5ecd12d65cda

北米のエンタメと直接関係はないのですが、非常に面白いビジョンだったのでご紹介です。Webtoon制作などを手掛けるスタジオ、ソラジマさんの「35か年計画」です。それぞれの年までに具体的になにをやるかがまとまっていて、本気で漫画市場を取りに行こうとしているのだろうなと思えました。

具体的に触れられてはいないのですが当然この拡大の中では日本以外の市場を取りに行くことも想定していると思います。


Bookshop.org、電子書籍販売プラットフォーム立ち上げ


英国や米国で独立書店を支援するBookshop.orgが電子書籍販売プラットフォームを立ち上げました。独立書店がオンラインで書籍を販売することを支援します。

Bookshop.orgはもともと、このサイトを通じて独立書店で紙の書籍を買うと一定割合の手数料が独立書店に入る仕組みを提供しています。この対象に電子書籍も加わることになります。


Ado、新しい学校のリーダーズ、YOASOBIがロサンゼルスの音楽イベント出演へ

一般社団法人カルチャー アンド エンタテインメント産業振興会がロサンゼルスで開催する音楽イベント【matsuri '25: Japanese Music Experience LOS ANGELES】にAdo、新しい学校のリーダーズ、YOASOBIが出演することになりました。メディアカンファレンスもあるので記事もいろいろ出てきそう。

こちらの記事ではロックバンドに羊文学が米西海岸でツアーをすると伝えられています。日本では海外アーティストの公演が多いので同じぐらい海外に進出してほしい。


「ファンの関与とアニメが見られているかは必ずしも一致しない」

面白い分析でした。英語圏で「見られているアニメ」というとアクション系やISEKAI系が圧倒的に人気で、スポーツやアイドルもの、日常系は必ずしも視聴率はよくない。日本であればコンサートやグッズ購入で作品を支援できるが、海外のファンはその支援方法がまだ少ないとのこと。

これに一石を投じたのが「ハイキュー!!」で劇場版は米国でも熱心なファンが見に行きランキング上位に入ったとのこと。「ブルーロック」もCrunchyrollなどで人気です。

英語圏、とくに米国は「スポーツはやるかリアルを見るもの」というイメージが強くて、アメコミでもなかなか「スポーツ漫画」というものはなかったのですが「ハイキュー!!」と「ブルーロック」がその壁を破った感じがあります。



AIが作成に関与した動画や画像に「著作権」は認められるのか--米で指針

創作の現場にAIツールが浸透するなかで、はたしてAIが作成に関与した創作物に「著作権」は認められるのか。おそらく現場や法実務者の間で議論されていると思いますが、米著作権局はリポートで「AIで生成した要素があっても、人間の著者が生み出していれば著作権が認められる」との方針を示しました。


海外のマンガ出版社は紙で生き残る?ドイツ編

読み応えがありました。世界的なMANGA人気を受けて、ドイツでは新規出版社が漫画出版に参入しているとのこと。しかも日本式のメディアミックス(アニメ配信時に単行本を売る)が成立しつつあるようです。

それにしても紙の漫画強いですね。コレクター向け豪華版は日本のファンも欲しい人がいそう。

https://comemo.nikkei.com/n/n11219112cc49?sub_rt=share_pb

こちらは同じくドイツのアニメ配信事情。アニメーション・デジタル・ネットワークでは、大手Crunchyrollが配信していない作品もあるそうです。「青のミブロ」はどう受け入れられているのか気になる。


「カグラバチ」1巻発売控えてフランス各地で広告

世界的人気作品のひとつ「カグラバチ」。英語版が先行していましたがフランス語版が出るということでフランス各地で広告が出ているようです。売れてほしい。


創作活動の海外展開に役立つ講座 東京芸術文化相談サポートセンター主催

東京芸術文化相談サポートセンターによる海外での公演、展示などに役立つ基礎知識やノウハウが学べる講座です。


Universal Fan Fest Nights、チケット販売開始 「ONEPIECE」と「呪術廻戦」が登場

ユニバーサル・スタジオ・ハリウッドの期間限定イベント「UNIVERSAL FAN FEST NIGHTS」のチケット販売が始まりました。日本のコンテンツでは「ONEPIECE」と「呪術廻戦」が登場します。作品をイメージした食事やグッズなどもあるのでファンは楽しそう。日本からも行きたい人いるのではないでしょうか。

MANGA Plus by SHUEISYA、オンラインで「Jump Festa World」開催

残念ながら日本からは見られないのですが、集英社の作品を世界に配信する「MANGA Plus」主催でオンラインの「Jump Festa World」が開催されています。イメージからもどれを売り込みたいか見えてきます。

というかリプライでBORUTOがいないことへの不満が大きいのでいかに日本外の市場でBORUTOが人気かわかります。


仏アングレーム国際漫画祭開催、「MANGA CITY」も

https://x.com/bdangouleme/status/1885671453623722378


フランスでアングレーム国際漫画祭が始まりました。日本の漫画家の方々でも参加された方もいます。「MANGA CITY」のコーナーもあり、楽しそう。


バンダイナムコ、NYに「インタラクティブ」ストア開店へ

バンダイナムコがニューヨークのブルックリンにあるJapan VillageにBandai Namco Cross Storeをオープンします。バンダイナムコの幅広いブランドの商品を一覧できる場所になるようです。イベントとかもやってほしいです。


小説プラットフォーム「Yonder」閉鎖へ

主に韓国の小説を英語版に翻訳して配信していたプラットフォーム「Yonder」が閉鎖されるとここと。Yonderはネイバーのグループ企業です。同じくグループのWattpadに資源を集中するようです。


中国のBL作品と市場規模(2024)、驚異的成長

読み応えあります。なかなか見えない中国の「BL」コンテンツ市場です。小説、アニメ、漫画、ドラマと幅広い分野が網羅されています。中国のBL市場は公式には中央政府から検閲や規制されていますが、完全にマーケットができあがっているようです。

規制や検閲があるので日本からの参入は厳しそうですが、中国産BLでBLやブロマンスを楽しんだ消費者が日本作品にも目を向けてくれるとうれしいです。

この企画を始めるきっかけになった菊池健さんのマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。

MANGA議連の総会、規模が大きいですね。「日本コンテンツの海外売上高は半導体や鉄鋼に匹敵する」といわれると、少し前なら驚いたかもしれませんが、いまの配信市場での日本の漫画の人気やグッズの売れ行きをみると、説得力があります。

韓国のWebtoon原作のミュージカルの動きも気になります。私は原作が好きなタイトルの舞台を見に行きますが、舞台からその作品を改めて好きになったものも少なくありません。新しいファン獲得のきっかけになってほしいです。


今週は以上です。引き続きよろしくお願いします。

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