【北米エンタメニュースまとめ】SDはいかに北米に浸透したか、AnimeExpoの経済効果155億円、SDCC開催
日々の北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です。
長きにわたる試合ー北米での「スラムダンク」の道のり
バスケットボール漫画を代表する作品のひとつとなった井上雄彦先生の「スラムダンク」。2022年に公開された映画は日本だけでなくグローバルなヒット作品となりました。特にアジア圏では1990年代、そもそもアジアの人々にバスケットボールという競技への道を開くことになったともいわれている作品ですが、この記事によると北米での市場開拓は発表直後一筋縄ではいかなかったもよう。そもそも北米含む西洋諸国ではスポーツはフィクションを読むよりも実際の試合の観戦を楽しむか自分でプレーするものなので、「フィクションでスポーツの物語を読む」ということそのものが受け入れられにくかった。桜木花道の「ヤンキーからの更生」というのもピンとこなかったようです。そう考えると21世紀に再び光があたりグローバルなヒット作となって、「ハイキュー!!」含めほかのスポーツ漫画の受容の道を開いたスラムダンクはすごかったのですね。
ちなみに、こちらのスポーツを取り上げたグラフィックノベルがまとめられているように、いまでは「フィクションでスポーツを楽しむ」は徐々に英語圏に浸透しているともいえます。
「NARUTO」、アメコミの「忍者タートルズ」とコラボ
北米でも人気の忍者漫画「NARUTO-ナルト」がアメコミの人気作、「ティーンエイジ・ミュータント・ニンジャ・タートルズ」とコラボしたコミックが北米で発売されます。ナルトをはじめとする木ノ葉の忍者とタートルズが組んで敵と戦うみたいです。
AnimeExpo、経済効果155億円
7月上旬にロサンゼルスで開催された北米最大級のコミコン「AnimeExpo」ですが、延べ参加者が40万人超、経済効果は総額1億ドルだそうです。1イベントとしてはすごい規模。特に世界各国64の国と地域から参加者が来たというのはAnimeExpoが完全にグローバルなイベントになっていることを意味しているともいえます。
ハーパーコリンズ、漫画出版に参入
北米の「漫画」市場が盛り上がっていることを示すニュースのひとつです。大手出版社のハーパーコリンズが、漫画出版に参入するとのこと。すでにハーパーコリンズアレイを通じて子供向けのグラフィックノベルを出版していましたが、その出版の範囲を、漫画、マンファ、大人向けグラフィックノベルに広げるそうです。
新ニュースサイト「KComicsBeat」立ち上げへ
北米のコミック市場のニュースをチェックしているときに重要なサイトのひとつがComicBeatです。アメコミニュースが多いのですがたまに日本の漫画についても取り上げます。そのComicBeatがTapasと組み、韓国のコミックやWebtoonについてのニュースサイトを立ち上げるとのことです。
San Diego Comic Con開催、日本人クリエイターがInkpodAward受賞
7月下旬、サンディエゴで「San Diego Comic Con」が開催されました。AnimeExpoに比べてややアメコミよりで、今年は特にコロナ禍やハリウッドのストライキから解放されたあとのイベントということで出展側も参加側も大いに盛り上がりました。
その中で、コミコン・インターナショナルによる「Inkpod Award」の授与式が開催されました。漫画やコミック関係の人に授与されるもので、今年は園田健一先生とありがひとし先生が受賞されました。
個人的に毎年楽しみにしているのは「best and worst manga」のパネルです。
もちろんごくごく登壇者の方々の個人的な好みによるジャッジなのですが、意外なヒット作がダメな人がいることがわかって面白い。「まだ翻訳されていないけれども絶対翻訳版を出してほしい作品リスト」は「そうだよねー」となります。「双亡亭壊すべし」とか絶対人気が出るよ。
そのほかの主なニュースはこちら。
米VizMedia参加で「ニワトリ・ファイター」アニメ化
人の好みは千差万別。日本よりも海外で熱狂的なファンを獲得する例があることの事例のひとつだと思います。ヒーローズで連載されている「ニワトリ・ファイター」が、米VizMediaの参加でアニメ化されます。特に北米・中南米で人気のある作品で、米国ではすでにアニメ専門チャンネルがパートナーになることが決まっているとのこと。海外ファン開拓に是非動いてほしい。
追加
この企画を始めるきっかけになった菊池健さんのマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。
「ウェブトゥーン漫画アプリToonsutraがファニメーション創業者福永元氏を投資家として迎え入れる」というのが気になりました。インドは漫画やWebtoonの次の大きな市場となりえますので、そこにFunimationの成功事例が導入されるのは興味深いです。
今週はここまでー。引き続きよろしくお願い申し上げます。