【北米エンタメニュースまとめ】「ヤクザの推しごと」などアイズナー賞ノミネート、Netflix躍進の裏にある技術の力、「ゲーセン」米国へ
日々の北米エンタメ市場のニュースなどのまとめです。拾い切れていないものもあるのでぜひリクエストお待ちしております。感想も歓迎です。
「あの子の子ども」「ヤクザの推しごと」などアイズナー賞ノミネート
今年のアイズナー賞の候補作が公開されました。こちらの記事は各作品について詳しく書かれていたため、気になる方は是非読んでいただきたいです。日本の作品で翻訳されたものからは「あの子の子ども」や「ヤクザの推しごと」がエントリーしました。英語圏の人にはヤクザってどうとらえられているのだろうか。個人的には、大航海時代のゴジラものである「Godzilla: Here There Be Dragons」が気になりました。
Netflixの成功の秘訣の裏にある技術への精通
「配信会社」としてハリウッドの映画企業などとやりあうNetflix。エンターテイメント企業として受け止められますが、この記事によるとNetflixの拠点はカリフォルニアにあり、その成功の背景にはテクノロジー企業として技術に精通していることがあるとのこと。その肝のひとつはレコメンド機能です。Netflixはあるトレーラーを見た人にそのトレーラーに似た内容を持つ作品をすすめる一方で、視聴者データを分析して新作を制作しています。このような技術に関連し、競合のメディア企業の一歩先をいっているそうです。
「ゲーセン」米国へ GENDAやラウンドワンが出店加速
日本でゲームセンターを運営するGENGAが米国でゲームセンターを運営する企業を買収し、日本式ゲームセンターの米国での拡大を急いでいます。ラウンドワンも出店を増やすとのことで、ゲームセンターを通じて日本のIPが広がりそうです。クレーンゲームなど最近のゲームセンターには日本の漫画やアニメのグッズが広がっています。その動きが米国でも広がれば現地のファンも楽しいだろうなと思います。グッズの企画・生産などは日本でやるのか、現地でやるのかも気になります。
任天堂、全米9都市でファンイベント
任天堂はほかのゲーム会社に比べて、ゲーム企業コンベンションに参加しないといわれておりますが、けしてファンとの直接の交流をないがしろにしているわけではありません。この記事にあるように、任天堂は今夏、全米9都市でファンとの交流イベントを開催するとのことです。
様々なゲームをテーマにしたアトラクションが設けられるようで、ファンはうれしいと同時に任天堂のプレゼンスを一段と引き上げることになりそうです。
神山健治監督、「ロード・オブ・ザ・リング」の長編アニメ映画の監督に抜擢
アヌシー国際アニメーション映画祭で、ファンタジー小説「ロード・オブ・ザ・リング」の長編アニメ映画の公開が発表されました。その監督に抜擢されたのが神山健治氏。イメージからもわかりますように、神山色があって楽しみです。
「ONE PIECE」がラスベガスの球体型アリーナをジャック
いったいくら書けたのか。週刊少年ジャンプで連載中の漫画「ONEPIECE」がアニメ放送開始25周年を記念して、ラスベガスにあるエンタテインメント施設・Sphereの外壁に、映像が公開されました。球体型のアリーナなのでゴムっぽいルフィが映し出されて非常に面白いです。
漫画市場の新興企業の参入と新規制作作品の勃興
北米の漫画市場の活発になっていることを示す現象として、この記事では新規の独立系企業の参入の増加と、既存企業による過去作の新規印刷版の発売が増えていることを説明しています。面白いところだと「Mangasplaining Extra」などもともと漫画関係のポッドキャストをやっていたところがSubstackを通じて電子版を配信し、ほかの出版社と組んで紙版を出すという動きもあります。
Webtoon、クリエイターへの支払額を公開
ネイバー子会社のWebtoonがIPOをきっかけにいろいろなデータを公開しています。こちらの記事で取り上げられているのは、Webtoonで作品を発表しているクリエイターにどのぐらい払っているか。Webtoonは2017年から2023
年に合計でクリエイターに28億ドルを支払ったとのこと。1人あたり平均では48000ドルなのでなかなかです。平均してユーザーは1日30分、プラットフォーム上で過ごし5~10話読んでいるそうです。(個人的には意外に短いなと思いました)
GlobalComixはいかにページ開き漫画をWebtoon化しようとしているのか
上記のWebtoonの市場拡大に合わせて多くの企業がこの縦読み漫画市場に関心を持っています。日本でも週刊少年ジャンプが縦読み漫画に参入したように、米国でもすでにページ開き型で一定のコンテンツを持っている企業が縦読み漫画に仕立て直して新たなファンを獲得しようとしているとのこと。その企業のひとつがGlobalComixです。GlobalComixのCEOによると、スマートフォンで読む読者が増えていることを考えると、縦読み型はベストな見せ方だそうです。
NetflixやCrunchyrollの躍進で、欧州がアニメへの関心高める
アヌシー国際アニメーション映画祭にあわせてか、欧州の足元のアニメ市場についてまとめる記事が出ました。NetflixやCrunchyrollの躍進を受けて、欧州市場でも日本のアニメに対する関心が高まっているというもの。もともと欧州ではフランスを中心に1970年代の日本アニメのテレビ放送を通じて日本のアニメのファンを獲得していましたが、足元では配信会社を通じてカジュアルなアニメファンというのが増えているそうです。日本だとアニメファンは高齢化が進んでいますが、世界のアニメファンはZ世代、α世代など若いのが特徴です。このままファンでい続けてほしいです。
ミュージカル「四月は君の嘘」、ロンドンで開幕
「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」の舞台版がロンドンで大好評となり、ミュージカル「進撃の巨人」が米国での上演が決まるなど日本の舞台作品、特に漫画・アニメを原作とした舞台の海外進出が相次いでいます。続くのはミュージカル「四月は君の嘘」。まあもともと日本版ミュージカルの音楽がフランク・ワイルドホーン氏なのでグローバルで戦えるのですが。今回新キャストでロンドンで上演となります。すでに韓国版の上演も決まっているそうです。このような海外版のときキャラクターの名前とかは日本語のままなのでしょうか?現地の名前になるのでしょうか?(海外作品の日本公演だと日本人がキャストでも名前は現地のままのことが多いので)
なぜ日本アニメは中国で成功しているのか?
北米含め英語圏で日本アニメが躍進しているのと同時に日本アニメにとって大きいのが中国市場です。なかなか規制があるため自由な表現はできませんが、日本アニメの配給先としては成功している国のひとつです。特に新海誠氏や宮崎駿氏の作品はスマッシュヒットとなっています。その背景には何があるのかを分析した記事で、成功は日本と中国の文化的交流、中国文化がハリウッド文化から離れつつあること、そして政治的な駆け引きが寄与しているとのことです。
日中の文化的交流としてはすでに1980年代から日本アニメは中国に流入しておりそのとき日本アニメに親しんだ世代がいまのヒットを支えているとのこと。このあたりは日本で当時子どもだった人たちが大人になって今のヒットを支えていることに似ています。そこに若い世代が配信などを通じて日本アニメに親しむようになっています。
日本と中国が社会的に似ているところがあることも日本アニメが中国の人々の間で人気を集めることにつながっているようです。中国では「ハリウッド作品離れ」があるとのことです。中国市場は企業にとってはいつ政府による干渉が入るかわからない危うい市場ですが確実に日本アニメファンを育てていると思います。
追加
この企画を始めるきっかけになった菊池健さんのマンガ業界関連の日々のニュースをまとめるマガジンです。
KADOKAWAのシステム障害は長引きそうですね。作家の方々への支払いとかが滞らないといいのですが。メディア芸術ナショナルセンター構想は今度こそ結実してほしい。そして国のお金でいい学芸員をたくさん育成・採用してほしいです。各大学の育成状況とかを見るに、すでに十分に人材はいらっしゃると思います。(しかし、漫画・アニメ以外の分野の日本の芸術分野の育成・採用状況をみるとよほど働きかける必要があるなと思います。寺社建築の分野も十分に足りていないので)
今週はここまでー。引き続きよろしくお願い申し上げます。
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