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本当に「新」だった『新テニスの王子様 The First Stage』


 先日、公演が始まったミュージカル『新テニスの王子様 The First Stage』(新テニミュ)の配信を見ました。もちろん従来の『ミュージカル テニスの王子様』(テニミュ)シリーズは好きなのですが、その実績の上での新しいことへの挑戦がすごく気持ちよく成功していたと思います。


原作『新テニスの王子様』は、『テニスの王子様』で青春学園が全国制覇した後、中学生の強豪校のメンバーが高校日本代表(U-17選抜)候補の合宿に召集されるところからスタート。さらに実力至上主義の世界で、厳しいしごき(今ならきっと怒られる。。。。)に耐えつつレベルアップを目指す物語です。中学生組がシャッフルされるうえ高校生組ととにかくキャラクターが増えるので正直どうやって舞台にするのか不安でした。(そもそも原作の物語のどの部分を原作にするのか事前情報で明らかになっているキャラクターから推測するしかありませんでした)

結論としては、アメリカに行っていた越前リョーマが合宿に合流し、選ばれた中学生組(もちろん原作に出てくる全員ではありません)と高校生に挑むところからスタート。中学生組が「同士討ち」で2チームに分かれ、片方は高校生に序列の入れ替え戦を挑み、もうひとチームはコーチの元でレベルアップに励みます。

無印シリーズより歌重視?

テニミュの特徴は学校単位の戦いだったということで、ソロやデュエットの歌に加えて学校ごとの群舞・ダンスありの歌が特徴でした。学校ごとの「校歌」のようなものです。なのでテニミュにでる役者は演技はもちろん、歌を歌えて踊れることが求められていました。(もちろん歴代の役者によってレベル差はありましたが)

今回の新テニミュはもちろん一部では中学生組・高校生組の群舞付きの歌はあるのですが、ベースはソロの歌またはデュエットでした。それは中学生組だけではなく高校生組さらには大人のコーチ含め、です。(もしかしたら新型コロナウイルスの影響で、大勢集まってのダンスの練習が難しいという事情もあったのかもしれません)。

そもそも新テニスの王子さまは、物語そのものが学校対決ではなくシングルスまたはダブルスという個人の戦いが中心なので「チームで歌う」割合が減るのかもしれません。

そしてこの歌、明らかにコーチ・監督や高校生組のほうがうまい。私は舞台上で本気でテニスの試合ができない中ではキャラクターの能力差を観客にわかりやすく示すには、歌やダンスのレベルが重要だと考えています。その点で今回の新テニミュは「高校生組そしてコーチや監督のほうが強い」というのを歌を聴くだけでわかる。中学生組はこれからの成長に期待です。(もちろん公演を見た方はわかるように、手塚役とか跡部役とか歌がうまい人もいますし、従来のテニミュに出ていた役者はさすがに慣れています)

もちろん従来のテニミュからは物語がまったく変わりますので歌は全部新曲。曲作りの背景はどこかでインタビューを読みたいのですが、個人的にはコーチ・監督組はオーソドックスなミュージカル風(入道コーチはニコニコ生放送の配信ではレ・ミゼラブルといわれていました)、高校生組はスタイリッシュなかっこよさ。そして中学生組はポップで元気さを感じました。特に手塚国光はテニミュでは部長の重圧を感じる重厚感のある歌が多かったので、ポップな歌は新鮮でした。以下、それぞれ印象的だった歌の感想箇条書きです。

 ・鬼十次郎先輩のロック これまでのテニミュにはない雰囲気。いい
   ・切原&白石 ほめて伸ばすってこういうことか
   ・手塚国光  明るい歌。部長の重圧なくなってよかった
   ・三船入道  歌も雰囲気も歌い方もレ・ミゼラブルでした
          革命起きそう
 ・入江VS跡部 原作の連載時にも話題になった跡部王国の建国

   

もちろん役者はこれまで同じキャラクターをやってきた役者と比べられることもあります。特に期待されている人気キャラクターほどそのプレッシャーは大きい。ただ過去の役者の方々も公演中にうまくなっていったので、そこはこれからに期待です。

初日公演って面白い

 私は舞台を見に行くときは役者がのってきつつもまだ疲れがみえない公演の中日ぐらいにいくのが好きです。なのであまり初日の公演を見に行ったことがありませんでした。それが今回は初日公演の配信。まだ公演が始まったころの役者の堅さや緊張感を感じました。そして公演が始まって終幕に近づくにつれて少しずつ堅さがとれて声も出てくるし動きも生き生きしてくる。このまま公演が続いて千秋楽でどこまでうまくなるのか期待です。

 そして原作読み直さないと

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