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#未来の図書館1 人口を増やすには?
はじめまして。現在司書を目指して活動中のよっしーといいます。
これから僕が考えている未来の図書館について、テーマ別に分けて書いていきます。
自治体が抱える課題
まちの人口を増やすには?そういわれると、「子育て施策の充実」や「福祉」「交流施設」など、制度やハコモノといったハード面の取り組みを挙げる方も多いと思います。僕の住んでいる関西だと、明石市や吹田市に人口が集まってきていますね。
ただ、そうしたハード面の施策には一つ課題があります。それは、
サービスや財源が頭打ちになってしまうこと。
サービスを充実させる=お金をもらえる人を増やすと、確かに短期的に見れば人口は増えます。けれど、「あの町がやってるならうちも!」と他の自治体が同じようなことを始めると、地方自治体はお金もちの町に遠く及びません。
たとえば、日本で初めて子育て支援を打ち出した自治体ってどこでしょう?
沖縄?東京?いえいえ・・・島根県邑南町なんです。
(邑南町にあったJR三江線宇都井駅)
邑南町は島根県内陸部にある自治体で、子育て支援がかつては目玉でしたが、徐々に過疎化が進み、町の端を通っていたJR三江線も2018年3月に廃止になってしまいました。
このように、ハード面の施策はお金持ちの自治体が有利になるうえ、どの自治体も人とお金に余裕がない現在、無制限にサービスを拡大することは到底無理。
じゃあどうすれば人口は増えるの?
移住者を増やし続ける小さな村
岡山県西粟倉村。上郡から智頭急行の普通列車で1時間。岡山の右上、端っこの小さな村です。財政力指数は県内最下位、職員数は50人ほど。
この村に近年、20代~30代の移住者が続々集まっています。移住者が多すぎて新しく村が住宅を斡旋するほどです。
西粟倉村は2000年代に「100年の森構想」を掲げました。荒れている山林を資源ととらえ、林業を生かしたビジネスをする人材を募ったのです。その結果、間伐材を活用して薪ボイラーでお風呂を沸かす「あわくら温泉元湯」、家具を手がける「ようび」、木材加工の「森の学校」など、多くの会社ができました。村の呼びかけに応じてここで入ってきた人たちが移住第一陣ですね。
ここでは村に元々あった森林という資源をPR材料にして、行政が人を呼び込みました。そして現在、元湯の人々と一緒に働きたい!森の学校に就職したい!と、京都や静岡から第二陣の移住者が集まっています。つまり、人が人を呼び込んでいるんです。村内を自転車で走っていても、そこかしこで子どもが遊び、道の駅は地元の方や観光客でごった返していました。
普通にみれば何もない村に観光にくる。それだけでもすごいことです。
まとめると、
①地元の資源を活用して行政が人を呼び込む
②面白そうな人に惹かれてほかの人が集まってくる
サイクルで人口(移住者)が増えていきました。
ここで触れたいのは、村は初期投資こそすれ、お金やサービスはさほど手を加えていないこと。人口を増やす要因は元々あったものやそこに暮らしている人です。
実は前述の邑南町も、地元食材を生かした「A級グルメ」を生み出したり、移住者の暮らしや個性をPRしてさらに移住者を増やしています。
これからの地域を元気にするために必要なのは、資源と人なんだと分かります。
じゃあ、そのために図書館ができることって何だろう?
次回はそのことに触れたいと思います。
(予定 第2回 まちのために図書館ができること/第3回 子どもの声は未来の声)