【乳がん闘病記:14】寄せて集める!?衝撃の部分切除方法。
さて、前回書ききれなかった
私の手術方式の話です。
まず、私の腫瘍について改めてお伝えすると
・乳頭のほんの少し下の位置にある
・大きさ1.5センチ
・乳管を突き破り外に流れ出ている浸潤がん
です。
この大きさで転移がなければステージは1で初期のガンという位置づけになります。
でも、他に転移がなく腫瘍も小さいから部分切除で大丈夫、と
必ずしも言えるワケではないそうで
「位置が悪いんだよねぇ・・・。」と先生。
私の位置、乳房の中央付近に腫瘍がある場合
これは、腫瘍がどんなに小さくても
全摘になるケースが多いのだそうです。
何故かというと
断面図で見るとイメージ出来ると思うけど
例えば乳房の上にある場合と胸の中央にある場合
部分切除だと失うボリュームが違うんです。
先生がサラサラとイラストを描いてくれました。
それを真似て描くとこんなカンジ。
腫瘍は周辺にもガンが散らばっているといけないので
周辺も少し大きめに切り取るんですね。
厚みのない上の方なら切り取っても胸の形が大きく変わらないのですが
Yさんの位置だと一番ボリュームがある部分がなくなるので・・・
山が大きく窪んだ形になるんですね・・・。
そうなんです。
せっかく乳房を残してもこのケースは乳頭も切除部分に入るし
あまり見た目が良くならないので
全摘と言われることが多いと思います。
また、全摘すればもう乳房にガン細胞が残っているかも、という心配をしなくて済むので
自ら全摘を希望される方もいらっしゃいます。
でも僕は・・・
全摘した方がいいのかな
そう思いながら聞いていると先生から出た次の言葉は
「同じような位置で、乳房の形状を残せる部分切除の経験があります。
なのでYさんにもまずは部分切除をご提案させて頂きます。」
何と!と思っていると
僕の考えている術式は・・・と
先生がまたイラストで説明して下さいました。
まず、腫瘍とその周辺を切り取ります。
が、皮膚の部分は全て残して、内側だけ切り取ります。
乳頭部分も内側だけを切除します。
そして空いた部分をどうするかというと
これはもう、ブラジャーと同じ原理で
脇から寄せて集めます。
その為に、乳房の下側の皮膚と脂肪の間にメスを入れてですね
皮膚を薄く剝がして中の脂肪を動かせるようにするんです。
そして脇側から内側に寄せ集めて形を整えて縫合します。
なのでサイズは小さくなるんですけどね。
左右で胸の大きさが違う人っているじゃないですか
まぁ、あんな感じです。
両方同時に見ると、あれ?右側が小さいかな?みたいな。
でも、右側だけ見たら形状としては普通の乳房なので
違和感はないと思いますよ。
え・・・
えぇっ・・・
え~っ!!!
そんな方法あるんですか!?
寄せて集めて・・・
何か
何かスゴイ!!
そして何か笑っちゃう。
見た目変わらないってことは
乳頭も残るんですね。
はい、もちろん。
外側は切り取らないので。
スゴイなぁ!!
先生の説明と図解をイラストで表すとこんなカンジ。
(だと思います。間違ってたら先生スミマセン)
ただ部分切除は
さっきも説明したけど全摘に比べるとがん細胞の取り残しの可能性が出てくるんですよね。
だから手術後はしばらく放射線治療を受けてもらいます。
がん細胞は放射線を当てれば消滅します。
つまり、部分切除に放射線治療を合わせることで
時間はかかりますが全摘とほぼ同じ効果は得られます。
なので僕は、どうしても全摘が必要なタイプの患者さんでなければ
部分切除で何とかならないか、考えるようにしています。
ただ、手術で取り出した腫瘍の生検次第では
再手術で全摘の可能性もある、というリスクもあります。
また手術を受けるかも、というリスクがあるなら1度で済む全摘にしたい、と思う方もいらっしゃいます。
なので、部分切除はご提案、ということになるのですが。
なるほど。
部分切除と全摘
どちらにもメリット・デメリットありか。
「現段階では
この中央の腫瘍以外に右胸にがんは見つかっていないんですよね?」
「そうですね。」
「で、再手術の可能性は今のところ
もし、取り出した腫瘍の生検の結果が悪ければ、ということですよね?」
「そうです。」
ならば決まり。
「では私も部分切除でまずやってみたいです。
悪い可能性より良い可能性の方が高い気がするので先生のご提案に乗りたいと思います。
もし、万が一があればもう一度手術すればいいだけだし。」
そう伝えると、先生の表情も少し和らいだ気がしました。
そして前回の記事にある術後の経過や退院後の治療へと話は進んでいったのです。
こうして部分切除に術式は決まったのですが
実はあともう1つ、今回の手術で再手術の可能性を含んだ検査があります。
それが前回もチラッとお話ししたセンチネルリンパ節生検です。
乳がんとリンパ転移は治療を考える上で切っても切り離せない間柄の中
この生検のお話しはとても興味深かったので
次回、ちょっと詳しくお伝えしたいと思います。