エヴァ読解2 ~考察~

 前回は主にこれまでに公開された新劇場版映像の内容を箇条書きでまとめてみました。今回の記事で考察に取り組んでいきます。この記事はシンエヴァ前に公開し、その後編集しません。後から修正や追記する場合は別に記事を書きます。
 考察内容が前後する部分もありますし全てを一つの記事に詰め込んでしまったので読みづらいかもしれません。また考えられる可能性の列挙に留めているものもあります。
 考察ポイントは以下の通りです。

マリという存在
 ・マリとアスカ
 ・ユイを知る者
 ・実はそんなに重要じゃない?
・LCLとコア、インフィニティ
 ・LCL
 ・コア
 ・インフィニティ
 ・インフィニティはどこから来たのか
新劇場版のA.T.フィールド
 ・A.T.フィールドの整理
 ・US作戦のA.T.フィールド
アダムスとその器
 ・13号機はアダムスである
 ・第1使徒とアダムスの関係
 ・アダムスの能力とセカンドインパクト
 ・アダムスの器
覚醒と槍
 ・覚醒は不可逆性を持つ
 ・人の揃った意志二つ?
 ・槍と魂の対応
 ・二種類の槍
 ・覚醒の仕組み
・綾波と使徒の順番
 ・第13使徒のメカニズム
 ・綾波の魂はどこにあるか
 ・黒波とゼーレ
 ・コア波が使徒か
 ・コア波が使徒じゃないなら
 ・初号機を使う
・サードインパクトと空白の14年
 ・Mark.06投下 その1
 ・Mark.06投下 その2
 ・カヲルの理解
 ・空白の14年、その後
・人類補完計画の複数のシナリオ
 ・ゼーレの願い
 ・フォースインパクトの目論見
・鍵と神
 ・ネブカドネザルの鍵
 ・エヴァという作品における「神」とは
 ・神と魂を紡ぐ
 ・再びアダムス
その他単発考察
・エヴァ再構成

マリという存在

 TV版・旧劇場版と新劇場版の一番の違いはマリの存在でしょう。マリについてどのような仕掛けがあるのか、その狙いは何なのか考えていきます。

マリとアスカ
 まずマリという存在がエヴァに与えた大きな影響の一つとして「アスカを一人にしない」ということが挙げられます。これがマリ自身の目的であるかはともかく、マリがいることでQやシンでもアスカは一人で戦っているわけではなくなっています。これにより過去作ではアスカの物語も大きなウェイトをしめていましたが新劇場版ではシンジの物語に終始することができます。漫画版の「夏色のエデン」に引っ張られすぎるとユイなど碇家との関連を気にしてしまいますが、むしろアスカとの関連性を重視するべきでしょう。「マリ無能、いらない」みたいなことが書かれることがあるようですが正直アスカを一人にしなかった点はかなり偉大かと思います。
 さて破の前段階ではアスカとマリは一緒に活動してはいませんでした。破で第3使徒・5号機を処理したのにはネルフの思惑がありますが、マリ自身の目的の一つに北極圏での仕事を終え日本のアスカに合流することがあったとも考えられます (これは嘘だと思いますが)。破で二号機を操れたことやアスカを「お姫様」と呼ぶこともマリとアスカの深い関連性を感じさせます。

ユイを知る者
 
一方でマリを便利な脇役として片づけるわけにもいきません。漫画版と新劇場版は別物ですが、マリは何かしら過去のことを詳しく知っているようです。
 マリが黒波のオリジナルを知っているという発言をしていますが、これは素直に取ってユイを知っているということです (破では綾波に会ってませんし、Qで既に綾波がユイのクローンだと明かされた後なので) (リナレイとか考えてもQ予告はあくまで予告、黒波が「初期ロット」だとも言われているので違うと思います)。ユイの写真にはマリに似た(アスカにも少し似ている?)人物が写っており、「夏色のエデン」のような眼鏡にまつわるエピソードは無さそうですがこれが本人と考えることもできます。
 そう考えた場合真っ先に思いつくのはエヴァの呪縛です。初めて乗ったのが5号機であればこの説明は使えませんが、冬月研にいたのであれば二号機のテストに関与した可能性も充分考えられます (マリのことですから勝手に忍び込んだとかもありそうです)。破で二号機を操れたことも説明できます。
 他に考えられる説明としてはマリは冬月研にいた人の娘であり親からユイらのことを聞いており「目的」を託されている、シンエヴァで描かれる何らかの保存方法により眠っていた、クローンであるなどがあります。またアスカとの関係性としては単なるヴィレクルー仲間であるという他に、二号機を操れた説明として実はマリがアスカの母親である、姉妹である、親戚である、マリの母とアスカの母が友人関係などと考えてみても面白いです。流石に突拍子もない案でしたが何かしらの血縁関係はあっても不思議ではないと思います。
 また、マリのセリフはユイを間接的に知ったとしては不自然です。破以降の初号機調査でユイと邂逅している、ということも考えられます。ただしこの場合初号機をくまなく探索し綾波が見つからなかったというのと微妙に辻褄が合いませんが。

実はそんなに重要じゃない?
 破についてのインタビュー(EVA-EXTRA掲載)によると破ではマリはそもそも登場しない可能性があった、また性格などのキャラ性も「『エヴァ』を破壊する存在」ということが決まっていただけで最初から細かいことが決まっていたわけではないようです。また新パイロット追加は新劇場版の宣伝としての意図も多きかったようです。パイロットの中ではただ一人シンプルにエヴァで戦うのが好きなだけのキャラでそこまで目的意識も無いかもしれません。カヲルのように別世界?を知っている様子もありません。
 シンエヴァ冒頭映像ではどこにいてもシンジを迎えに行くと宣言しています。そこには何か目的意識がある可能性はあります。ただユイを知っている、何らかの形で対話したことがあるならシンジのことを気にするのはそこまで不自然ではないでし、「LCLの匂いがする」という発言も事情通っぽくはありますがパイロットなら当然LCLはわかるので断言できません。
 今後の展開の鍵を握るというよりは過去を語らせたり登場人物の心情に影響を与えたりといった役に便利に動かせるキャラという印象です。

 以下、マリについてまとめます。

・マリによりアスカは一人にならず新劇場版をシンジの物語として展開可能
・ユイ(や過去のこと)を知っている、以下の説が考えられる
 ・「過去冬月研におり、二号機のテストに関わったことがある」
  ・その際のエヴァの呪縛、二号機を操れる
 ・「母が冬月研にいた、ユイから目的を託されている」
  ・アスカと血縁関係があるかもしれない
 ・「破以降の初号機調査でユイと何らかの形で出会っている」
・旧作の破壊や宣伝等の意図がある、便利に動かせるキャラ
 ・実はそこまでの重要な役でない、または後付けである
 ・シンジのことは気にしている

LCLとコア、インフィニティ

LCL
 TV版・旧劇場版と新劇場版の違いとしてインパクトの結果がLCL化か大地のコア化かという点があります。旧作ではA.T.フィールドが形状を保てなくなることでLCL化します。
 またマリによればシンジはLCLの匂いがするそうです。これは単にエヴァパイロットである以上にLCLの匂いが染みついているということです。LCLに関する記述は新劇場版では少ないので憶測の域を出ませんが、母親がLCLに入ったことがある影響、比較的高いシンクロ率により匂いが染みつく、(誤解を恐れず言えば)ループものであることで人より乗っていた累積時間が長い、旧劇を受けて深い意味なくそういうことにしている等が考えられます。

コア
 「大地のコア化」とよく言われますが新劇場版にこのセリフは出ていないかと思います。関連は否定しませんがこれはコアと考えず、あくまでインパクトによりL結界密度が高まった結果赤く染まる、アンチLシステムで修復可能なものとしておきます。新劇場版では旧劇のように「一つの生命体になる」というのとは異なる人類補完 (人工進化) が計画されていると考えられます。
 序では使徒を物理的に破壊できる唯一の手段がコアの破壊とされています。Mark.09(アダムスの器)や第12使徒は全身がコアです。ネーメズィスシリーズにはコアブロックがあります。第1,2使徒にはコアがあるかはっきりとは描かれていません。破で描かれたニアサードでは第10使徒のコアからコア(綾波)を取り出し使徒のコアがほどけ巨大な綾波の形状になるというような描写がされます。とりあえず「生命の実に関係する生命体の本体がコア」としておいて今のところ問題は無さそうです。また旧作ではリリスは知恵の実関係だったかと思いますが新劇場版では生命の実関係とした方が後々辻褄を合わせやすいです。

インフィニティ
 
インフィニティが人類を人工的に進化させた生命体なのでしょうか。人間がインフィニティに変化する描写はありませんが、Qではシャフト周りになり損ないが多くいます。また、シンエヴァ予告でアスカとマリがインフィニティらしきものを攻撃している (しかも大量過ぎて全然倒しきれていない) 映像はどう考えればいいでしょうか。
 インフィニティを人類が人工的に進化させた生命体としてみます。攻撃しているのはそれにより人に戻す可能性が残る、あるいはもうどうしようもないので邪魔されないようにするためと説明できます。人類補完計画はインパクト→L結界密度上昇→人がインフィニティに進化(人類の補完)となり比較的シンプルです。しかしインパクトを近くで経験している人たちが生き残っているのは不自然です。デザイン的にはインフィニティのなり損ない (赤く半透明な肉体) が生命の実を人類に与えるもので、それを人間に組み合わせることでインフィニティになる、ということはあり得そうです。
 また逆に人類を人工的に進化させた生命体ではないなら、人類を滅ぼす他の世界からの敵、アダムスなどのレベルに位置する別の生命体、もっと上位に位置する存在などということもあります。どれも憶測の域を出ません。

インフィニティはどこから来たのか
 そもそもインフィニティの発生源はどこなのでしょうか。Qでメインシャフト部にインフィニティのなり損ないが大量にありドグマがエヴァサイズの頭蓋骨で埋まっていること、リリスの下部に人の手足が大量に描写されていたことからリリス由来と考えることができます。しかしこれではシンエヴァのインフィニティが説明できません。一方TVスポットではガフの扉から小さな球形の大地 (何らかの月?)に向かって完成品と見られるものが飛び上がっていきます。インパクトの時は様々なものがガフの扉に吸い込まれていくように描写されるので、ガフの扉の向こうで組み立てがされているのかもしれません。またメインシャフトやドグマのなり損ないがガフの扉から来たものとも考えられます (その場合破以降でもう一度インパクトが発生していたことになりますし破の覚醒時はそのような描写は見られませんが)。
 あるいはシンエヴァ映像で登場人物らはガフの扉の向こう側にいるのだとしたらガフの扉通過時にインフィニティが完成するとも考えられます。これはここまで出た案の中では比較的マシな案に感じます。L結界密度が高まり生命の実のような状況になった大地がガフの扉通過時に人の魂を得てインフィニティになる、それらを振り払いながら目的のために進むという感じでしょうか。
 インフィニティについて考える際には人類補完計画や神殺しについても考える必要がありそうです。後の方で考察します。

・旧作と異なる人類補完計画
 ・一つの生命体になるわけでなくあくまで人工的な進化
・コアは生命の実と関係する
・インフィニティについていくつか説があるが以下が有力と考える
 ・インフィニティのなり損ないは生命の実と関係する
  ・人の魂との組み合わせで完成

新劇場版のA.T.フィールド

A.T.フィールドの整理
 新劇場版におけるA.T.フィールドとはなんなのでしょうか。序・破では使徒が持つバリアのようなものでエヴァも展開することで中和できる、中和することで攻撃が通るようになるものだと言えます。第10使徒戦を見るとA.T.フィールドは物理的な壁として攻撃に使えます。パイロット無しでは消えてしまいますがダミーシステムによっても生成可能です。
 一方QではアンチA.T.フィールドというものによりA.T.フィールドを持つものに攻撃を加えることができるようになっています。これはA.T.フィールドの中和とは異なるもので、AA弾は13号機には効きませんでした。13号機はA.T.フィールドによってヴンダーに封じ込まれています。また、US作戦ではアスカはA.T.フィールドが中和していないためにフィールド反射膜による光で眼帯部分にダメージを受けます。槍はA.T.フィールドなんてお構いなしに見えます。

US作戦のA.T.フィールド
 US作戦のシーンの「何この光、A.T.フィールドが中和してない」というセリフの理解に苦労しました。中和してないなら攻撃は通らないのでは? 序において「中和ではなく浸食」というセリフから、A.T.フィールドを中和するとより強い方が主導権を握った空間になると考えても良さそうです。これなら第4使徒や第10使徒戦で相手なまともな攻撃があまり効かなくなっている説明にもなります。アスカの眼帯は使徒浸食跡を抑えるための封印柱に似た役割をしていると考えられますから、そこにダメージを受けるということは二号機全体としてはA.T.フィールドを中和して二号機主導の空間にしているつもりでもその部分だけA.T.フィールドの位相空間(?)がずれてしまっていると考えられます。そのため敵がフィールドを一点に押し出したかのような光は中和されてない空間には物理的に作用することができたと説明できます。
 以上の内容からA.T.フィールドは物理的な世界から隔てられた世界をつくり出し、その表面は無展開部分に作用している。中和作業により同じ空間になるがその際より強い方が主導権を持った空間となる。アンチA.T.フィールドはA.T.フィールドにのみ作用するものである。また、A.T.フィールドの発生にはコア+意志が必要である可能性がある (パイロットの必要性より、ダミーシステムやMark.09も含む)。

・A.T.フィールドで物理的に異なる世界に隔てられる
 ・中和時、より強い方が主導権を握った空間になる
 ・無展開部分には作用可能、表面は無展開部分に作用
 ・槍はどちらにも作用
・アンチA.T.フィールドはA.T.フィールド展開部にのみ作用
・A.T.フィールドにはコア+意志が必要である可能性がある

アダムスとその器

 大きな謎となっているアダムス及びアダムスの器、一体なんなのでしょうか。Qでアダムスの器として言及されるものとしてヴンダー本来の主、エヴァMark.09、黒波がMark.09に乗り続けた場合に黒波自身変化するもの (初登場時にマリはアダムスの器と気づいているためMark.09が変化するという意味では取りにくい)、があります。黒波は魂の場所が違うのでMark.09に取り込まれてしまうという解釈をしておきます。またアダムスについてはフォースの際に生き残りが覚醒したという言及があります。

13号機はアダムスである
 ここで言うアダムスの生き残りがカヲルだという意見もありそうですがカヲルはここでは第13使徒であって覚醒らしき様子は無い、「まさか、この機体」というセリフとの関連から13号機そのもの(か一部)を指すと考えられます。
 また、アダムス=使徒ではありません。A.T.フィールドを発生できませんしフォースのくだりから使徒とは異なるものだと考えられます。ただその名称からしても第一使徒と関係があるということまでは否定できません。生き残りという表現から他にも数体いる、既に死んだものが多いことが示唆されます。新劇場版で描かれたものの中ではセカンドインパクトの光の巨人が該当しそうです。
 一方で序では棺9つ中4つが開かれ5番目からカヲルが目覚めています。開封済みの4つがセカンドインパクトのアダムスと考えたいですが、カヲルがアダムスと異なるという解釈と矛盾するように見えます。5番目が真ん中だからと言って特別扱いするわけにはいきません。

第1使徒とアダムスの関係
 棺の説明としてカヲルと同列で四つあったものとしてはやはりセカンドインパクトで使われたアダムスを考えるしか無さそうです。槍や他のエヴァパイロット数も考えましたが流石に不自然です。
 アダムスと第1使徒であったカヲル、それらに何かしら共通のルーツを仮定するのがまだ自然でしょう。第1使徒がアダムスに変化しうる、アダムスが第1使徒に変化しうる、別の存在を共通のルーツとして持つの三通りが考えられます。一つ目に関しては第1使徒が何体も現れることになるのであまり良いとは言えません。三つ目は現実的ですがこれ以上考察が続かないので説として提示するに留めます。二つ目のアイデアについても目覚めた時点でカヲルはカヲルだったので三つ目とあまり変わらない状態です。
 問題なのは使徒がどの瞬間に第n使徒になるかということです。カヲルがいつから第1使徒でどのような仕組みで第13使徒になるか、この考察は人類補完計画の項目に譲ります。

アダムスの能力とセカンドインパクト
 旧作と新劇場版に直接の繋がりがあるとは思いませんが、新劇場版で描かれていなくても引き継がれている設定はあるかもしれません。旧作ではセカンドインパクトは使徒を卵の状態に還元するという説明がありました。Qでアダムスである13号機が第12使徒を噛み砕くところで第12使徒が胎児の姿になる描写があるため、アダムスにそのような能力があると考えられます。あるいは人類補完計画に関する項で述べますが使徒より上位に位置する存在、使徒の親といった可能性が考えられます。そうであればカヲルとの関係も多少マシな理由付けになります。
 そうするとセカンドインパクトでアダムスが使われることの旧作との類似性を見ることができます。セカンドインパクトの目的はわかりませんが、使徒の還元や後に述べる槍の生成といったことが考えられます。アダムスを何かに作用させるという他に、槍をアダムスに作用させたということもありえます。

アダムスの器
 Mark.09やヴンダーの描写からアダムスの器は人類より上位の存在たるゼーレの持ち物だったと言えそうです。
 アダムスの器については器という名称からアダムスを入れる物と考えられますが、実際器の中にアダムスが入っている描写はありませんでした。また形状を変化させることができ、ヴンダー本来の主と言われるなど単なる容器として以上の意味がありそうです。その一つはA.T.フィールドが無いアダムスを守り、アダムスのためのA.T.フィールド発生装置としての役割があると考えられます。
 また、ヴンダーについて考えればわざわざ初号機を主機にしていることからアダムスの器は人の意志で介入できない、または別の意志により動いていると考えられます。
 ヴンダーの主がアダムスでは無くあくまで器です。またアダムスとその器はどちらもコアを有しているため、名称以上に独立した存在のようです。数も等しい必要は無いでしょう。ヴンダーやアダムスについてはエヴァという作品における神についての考察で再度考察します。

 以下アダムスとその器についてまとめます。

・13号機そのものまたは一部がアダムス
・第一使徒カヲルとアダムスはイコールではない
 ・同一由来であるなどの関係性がある可能性は高い
・アダムスは使徒や槍に作用する効果を持つ
 ・13号機が第12使徒を胎児化させていたことから
 ・セカンドインパクトに使われた、これには旧作との類似性が見られる
  ・使徒や槍を変化させるような目的が予想される
 ・使徒の上位存在である可能性がある
・アダムスの器
 ・ゼーレの持ち物
 ・アダムスに無いA.T.フィールドを発生させる
 ・人の意志で介入できない、または別の意志で動いている
 ・アダムスとは独立した存在、数が等しい必要は無い

覚醒と槍

 人類補完計画等を考える前に「覚醒」について調べます。
 新劇場版で描かれる覚醒シーンを思い起こしてみると破の初号機とQの13号機、これとQ冒頭の初号機があります。Q冒頭は単に目覚めたという程度に取ることもできますが、初号機は破で一度覚醒しているので不完全ながらも他二つと同じ「覚醒」を指しているとも考えられます。

覚醒は不可逆性を持つ
 エヴァが覚醒した場合、一定の形態を超えるとガフの扉が開きいてインパクトが始まる、というところは結果起こることとして一般的かと思われます。これは人類補完計画の重要な一手順でしょう。
 Q終盤で「だが13号機を覚醒へと導いた」とあります。ガフの扉が閉じフォースが止まっているにも関わらずです。これにより初号機も13号機も一度覚醒したことで次の段階に進む準備は整って覚醒させるための手順をある程度スキップできるようになるなどの何かしら不可逆な変化が生じていると考えられます。
 ところでゲンドウはユイのいない13号機を覚醒させて何が嬉しいのでしょうか。初号機がヴンダーの主機になっていることを考えればシンエヴァで登場する黒ヴンダーの主機に使えそうです。おめでとう。

人の揃った意志二つ?
 覚醒の仕組みを考えます。エヴァは「人の意志の物語」です。それぞれの覚醒について、どれも二つの「揃った」人の意志が必要だったという解釈を考えました。破の初号機はシンジとユイ(または綾波)、Q冒頭はアスカとシンジ、13号機ではシンジとカヲル(の魂を使って引き抜いた槍)です。ここでユイを引き合いに出すのは不自然ですがQ冒頭同様呼びかけに答えたという程度で解釈してみます。
 13号機で槍を抜くことにカヲルは消極的でしたが、シンジが槍を抜いたことにカヲルの魂も使用されました。人の揃った意志が二つ必要と考えると槍が人の意志を媒介するものだったという解釈も考えられます。
 と、ここまで考えてみましたが13号機の覚醒は槍を抜いたところではなく第12使徒が13号機に噛み砕かれた段階なのでこの考えは没にしました。

槍と魂の対応
 覚醒させる方法の前に覚醒の止め方を考えます。槍を二本13号機に突き刺し第13使徒が殲滅されてなおフォースインパクトは止まりませんでした。破やQにおけるドグマの様子など、槍は栓のように機能し活動を停止させる効果がありそうですが、フォースの場合は槍を刺してもシンジ(の魂)はエヴァ内で活動状態のままです。
 カヲルは「二本の槍には二つの魂が必要」と言っていました。これはカヲル目線では間違い無いのですが正確には「一種類の槍につき一つの魂が必要」ということではないでしょうか。これならフォースが止まらなかった理由も13号機の制御系を切断してシンジが一人で槍を二本抜けたことも説明できます。また破で覚醒が止まった時にはコア波の魂は初号機に取り込まれた後(コア≠魂)と考えられるので一本で十分です。
 シンエヴァ予告で13号機と初号機が戦うシーンは槍を奪い合うという解釈が一番素直ですが、この場合魂は二つ必要ないのでしょうか。既に抜けているものについては手にできるという説が有力かと思われます。また、何らかの方法でシングルエントリーのエヴァでも保存された魂を使えるようになるという可能性もありえなくはないでしょう。

二種類の槍
 新劇場版には槍が少なくとも四本登場します。セカンドインパクト時に四体のアダムスと共に描かれます。また、カシウスとロンギヌスの二本セットで世界の修復が可能であり、シンエヴァ予告で13号機と初号機が戦うシーンでは初号機がカシウス、13号機がロンギヌスを持っているように見受けられます (新劇場版では明言されていませんが、緑色に光る部分を持つものがカシウス、13号機が手にした二本はロンギヌスとして話を進めます)。
 Qでカヲルは「形状が変化している」と言いました。リリスが結界でセントラルドグマに蓋をするまでは確かにその二本は異なる種類だったはずです。ロンギヌスの槍はセカンドインパクトの映像で登場しているので本数は充分ですが、すり替えるなんてできるはずがありません。形状が変化した理由として以下にいくつか仮説を挙げます。
・「カシウスは時間が経つと自然にロンギヌスになる」
 まさかの生モノ説です。カシウスだけ光ってる部分あるし枯れたらロンギヌスになりそう。セカンドインパクトは実はアダムスの能力で槍をロンギヌスに変えてしまうことが目的だったかもしれません。若返らせるのではなく老いさせる方向ですが。
・「カヲルはセントラルドグマでの出来事を直接見ていない」
 今までリリスが結界でセントラルドグマに蓋をするまで槍は異なるものだったと考えましたが、Mark.06は自律型に改造されたのでそれがドグマに投下される際のことをカヲルは見たわけでないという可能性があります。その場合元からロンギヌス二本であることがありえます。ただドグマにある二本の槍が元々リリスに刺さっていたものと破で初号機に刺さったもの由来だとすると後者はカシウスなので結局変化を考えなければなりません。
・「Mark.06やリリスの効果、サードインパクトの影響」
 真面目に槍の形状を変化させる方法を考えましたが流石に情報が少ないです。手掛かりになりそうなのは形状が揃った槍を見てカヲルが何かを理解した点です。今後の事については嫌な予感がするとだけ言っているのでここでは14年前Mark.06が使われた時のことを理解しただけと言えそうです。槍に何らかの操作がなされたか、あるいはカシウスの槍の機能が消費されたかと考えられそうです。何があったのでしょうか、空白の14年に関する項目でまた触れます。

 二種類の槍の形状以外の違いについては情報不足です。ロンギヌスが死を、カシウスが再生を担うといったようなことも考えましたがそうであってもそうでなくても問題ありません。しいて言うなら覚醒を止めたシーンでの槍の使い方に差は見られないので今のところ使用用途として違いは見られていません。

覚醒の仕組み
 ここでもう一度覚醒の仕組みを考えます。ニアサード、フォースのトリガーはそれぞれシンジと第13使徒となったカヲルです。一つ目は人の願いにより覚醒するというシンプルな説明ですが、後者は少し事情が異なります。乗っている13号機は恐らくアダムスで初号機と異なり、使徒がトリガーであると説明され、更に槍を手にしています。何が大事かわからなくなってきましたが、使徒がトリガーだと言っているのでそれとの取り合わせを考えると13号機(アダムス)が重要そうです。第12使徒でも第1使徒でも13号機は覚醒していませんから第13使徒が必要な条件を満たした存在になったことでアダムスが覚醒したと考えられます。この条件は使徒の順番の項で考察します。二つの覚醒の説明が揃わないのは気持ち悪いですが、かと言ってシンジが使徒化していたとしてもうまく行かないので異なることを認めておきます。

 以下覚醒と槍についてまとめます。

・覚醒 : エヴァが一定形態を超えるとガフの扉が開きインパクト開始
・覚醒は不可逆な変化をもたらす
 ・13号機が黒ヴンダーの主機として使われ得る
・覚醒の仕組み
 ・初号機×人の願い / アダムス×条件を満たした使徒
 ・基本的に槍で止まる
・槍と魂の対応は、「一種類の槍につき一つの魂」
・槍の形状変化は情報不足、いくつか説を挙げる
 ・カシウスは時間が経つとロンギヌスに変化
  ・セカンドインパクトの目的が槍にある可能性
 ・そもそもカヲルはドグマを見ていなかった
  ・Mark.06やリリス、インパクトの影響(空白の14年の項で詳述)

綾波と使徒の順番

第13使徒のメカニズム
 カヲルが第1使徒から第13使徒におとされるという展開はゼーレやネルフの計画を考える上で非常に重要ですが、まずは目的ではなくその仕組みを考えましょう。
 そもそもカヲルは第1使徒として発現していなかったという可能性があります。DSSチョーカーに反応しませんし (1,2は特例でパターン青が出ないとも考えられますが)、今まで人として生きてきてフォースの時に初めて番号が確定したという考えです。しかしこれはなぜ発現していないのに第1なのかなど第1使徒の扱いに問題が生じます。カヲル初めから第1使徒だと考えるべきだと思われます。
 第13使徒になったタイミングで、カヲルは第12使徒のコア全体に包まれた二本の同じ槍を持つアダムス(13号機)の中にいます。黒波への命令からカヲルを第13使徒におとすのには少なくとも第12使徒が必要です。綾波についても合わせて考えていきます。

綾波の魂はどこにあるか
 
黒波はリリンの模造品であり魂の場所が違うと説明されます。同じ説明であれば綾波についても魂の場所が違うか、または破までの綾波にのみ魂が宿っていると推測されます。破で綾波に起こった変化が愛だということに関して赤木博士は「まさか、ありえないわ」と答えています。赤木博士は綾波が他の人間と違うことを知っているはずですし綾波はクローンなので魂が人間と異なるはずです。ではその魂は何由来かと言えばゼーレのような存在になっている等も考えられますが素直に考えればリリスでしょう。
 Qでリリスと共に崩壊する巨大綾波がありますし、旧作同様ユイのクローンにリリスの魂を宿したものと解釈します。そしてそれは初号機に保存されていると思われます。

黒波とゼーレ
 ところで黒波はネルフではなく「ゼーレの暫定パイロット」とマリに呼ばれます。この言葉は何を意味するでしょうか。黒波はネルフよりむしろゼーレの意図で魂の無い不完全なものながらもパイロットとして選出されたのではないでしょうか。マリはそれくらいの事情は知っていそうです。
 フォースにおいて黒波はゼーレマークが浮き出たMark.09に搭乗していました。黒波も一つの道具に過ぎず、ゼーレは黒波をアダムスの器に取り込むか器そのものにしてしまうつもりだったかもしれません。

コア波は使徒か
 
第10使徒のコア中から綾波に相当するコアを取り出すシーンがあります。第11使徒は作中で明確にされていませんが、この時発生した巨大な綾波が第2使徒リリス由来ながら第11使徒になっていると考えることも可能です。このように考えるとカヲルが第13使徒に落とされるのは第12使徒のコアに包まれた (捕食されるような状態になった)ためと説明できます。
 コア波が使徒だった場合、人類補完計画はどのように説明されるでしょうか。第11使徒として綾波が初号機に保存されるならばこれは容易に殲滅できません。破の最後「数が揃わぬうちに」という表現は殲滅した使徒数と考えられますから決められた数の使徒を殲滅するのは重要な儀式です。殲滅できなくなった第11使徒の代わりにカヲルを第13使徒として殲滅し、条件を満たします。あるいは第1使徒にあった「契約」における優先権が他に渡るようにします。

コア波が使徒じゃないなら
 コア波が第11使徒という説明はこじつけでありその場合に説明の筋が通るかによって後から評価されるものです。第11使徒じゃない場合はどう説明されるでしょうか。
 カヲルが第13使徒になる仕組みとしては第12使徒の他にアダムス(13号機)の能力があったとして説明できます。アダムスが使徒の親のような位置づけであるなら第12使徒との関係からその場にいるカヲルの順番を決定づけることもできるでしょう。
 第11使徒は空白の14年の内に殲滅したとします。カヲルを第13の使徒としたのは第1使徒にあった「契約」における優先権が他に渡るようにするためと考えられますが、使徒は残っていないためエヴァを使っていくことになるかもしれません。

初号機を使う
 結局ユイに会えると言っているゲンドウとしては初号機は必要です。それが使徒になっているかどうかはともかくカヲルを13使徒に落とすことで初号機を契約に関係させることができるようになるのではないでしょうか。
 一方ゼーレがそれを望む必要は無さそうですが、第11使徒が殲滅できなくなっていたとしたら儀式として使徒殲滅は大事ですし、そうでなくてもエヴァ (初号機、または13号機) は必要だったとも考えられます。

・綾波の魂はリリス由来、初号機に保存
・コア波が第11使徒だった可能性がある
・カヲルが第13使徒になる仕組みとして以下二つが考えられる
 ・第12使徒のコアに包まれた
 ・アダムスの能力
・カヲルが第13使徒になることで初号機が使えるようになる可能性がある

サードインパクトと空白の14年

 ドグマに投下されたMark.06関係のことや空白の14年は描かれなかったのでかなり情報が足りません。エヴァ7,10,11,12号機も不明ですから推測には限界がありますがQの状況から考察を試みます。
 Mark.06のドグマ投下では何が起こったのでしょうか。空白の14年に関しては可能性が多すぎて考えつくせないので自分が思いつく中でマシな説明のみ述べます。なお蓋は14年間されていたのでこれは破でMark.06が飛来して割とすぐ起こったことです。

Mark.06投下 その1

 破の最後に描かれたものがサードインパクトなのでしょうか、それともそれとは別にMark.06を投下した際に別のインパクトが起こっていたのでしょうか。カヲルの説明などからは前者が考えられます。一方でQでのアスカのセリフ「サードインパクトの続き」という表現はMark.06と第12使徒に関係しています。また、リリスの結界はMark.06投下後に作られたもので、インフィニティのなり損ないは破で生成されたのかわかりません。
 これらのセリフや状況が一見矛盾しているように感じていました。カヲルは破の出来事をサードと呼びます。一方ヴィレは破の出来事をニアサードと呼んでいます。ヴィレにとってMark.06投下時の出来事がサードであると解釈するとアスカのセリフよりこの際凍結中のシンジと初号機も関わっていたことになります。凍結中の初号機が再びサードを引き起こすには再び槍が抜かれることが必要ですが、槍で停止したものが抜いただけでまた始まるでしょうか。そしてそれをどう止めるのでしょうか。この解釈はあまりうまくいかなさそうです。

Mark.06投下 その2
 セリフの解釈としてヴィレの「サード」が単にニアサードを略しただけでアスカがそう呼んでいるという説もあり得ます。この場合Mark.06投下時の出来事はインパクトではありません。
 「破のサードインパクトではドグマが爆心→その後のMark.06投下ではインパクトは起こっていないがインフィニティのなり損ないが生成された。第12使徒及びリリスとの相互作用によりサードの続きが始まる可能性があったが槍により防がれその際結界で蓋がされた」とすれば何とか辻褄が合いそうです。以下に自分が考えた詳細を述べます。
 まず自律型Mark.06でリリスに刺さった槍を一度抜く。その際インフィニティのなり損ないが生じリリスは躯となる。しかし第12使徒によりMark.06が乗っ取られたため、急遽初号機にあった槍を取ってきて刺したことで停止させた。

カヲルの理解
 槍の形状変化からカヲルはMark.06投下時の出来事について何か理解したようです(前述の槍の項目参照)。カヲルが伝え聞いて理解している状況と違い槍の片方はロンギヌスに変化している、これは何を意味するでしょうか。
 理詰めが辛くなってきました、自分の雑なとんでもアイデアを述べます。「槍を刺すと使徒やエヴァは動作を停止するがカシウスの能力を消費すると一時停止にできる、そのためMark.06の第12使徒は再び動き出した。これはカヲルが知っていた使徒殲滅、リリスとの契約という人類補完計画と整合する報告と異なるものであり、神殺しなど別のシナリオのため道具を揃える準備だったことを理解した」

空白の14年、その後
 リリスの結界がセントラルドグマに蓋をした後に起こった大きな出来事はヴィレの成立と初号機が衛星軌道上に打ち上げられた点です。シンジのクローンがいた可能性はあります。物理的情報はクローンでも同じはずですが、歯の治療跡は本人にしかないと考えられます。
 大きなイベントは無くヴィレとネルフの抗争、開発競争が続いたと思われます。初号機が打ち上げられた理由はわかりませんが、これはネルフが所有した状態だったことは確かです。兵器だったとも考えられますが強奪前の状況からその線も薄そうです。宇宙技術に関してはMark.06建造の実績があるゼーレ・ネルフに一日の長がありますから単にヴィレから遠ざけて保存していたと考えられます。シンジのクローンが兵器として使われていた可能性は否定できません。

・アスカの言うサードはニアサードのこと
 ・Mark.06投下時にインパクトは起こっていない
・カヲルは槍の形状変化から自分の想定と異なる計画を見出した
 ・例えば : カシウスの能力を消費して使徒を一時停止
・初号機は単に衛星軌道上で保存されていただけ

人類補完計画の複数のシナリオ

ゼーレの願い
 ネルフ、ゼーレそれぞれの思惑やシナリオの修正は最も重要な論点でしょう。破までとQ以降では状況が異なっているようなので、破までの人類補完計画はひとまず「ゼーレはMark.06推し、ネルフは初号機推し」くらいに思っておきます。今後の人類補完計画を考える一番の鍵はQでのゲンドウとゼーレの会話です。13号機が二本の槍を手にしリリスが崩れ、第12使徒が現れカヲルが第13使徒におとされた段階で「我らの願いは既に叶った」とゼーレは語ります。
 また、「契約改定」と言っているので死海文書のリリスとの契約は既に行われています。そしてこれは使徒を10体殲滅する前に行われてしまっています。ゼーレ自身の願いはリリスとの契約であり、その後の人類補完によってゼーレの魂も浄化されれば良いのだと考えられます。神殺しは諦観しているのでそこまでこだわりは無さそうです。

フォースインパクトの目論見
 フォースはほぼゼーレの目論見通りだったとあります。ゼーレの少年の排除と13号機の覚醒はモノリスの電源が落とされる際の状況から自然に得られる結果であるため、ネルフ独自の計画だったとは考えられません。ネルフとしても次の段階に進むためにそれらが必要だったということです。
 逆にネルフの目論見がゼーレと異なっており目論見通りでなかった点は何でしょうか。槍を抜く、第12,13使徒出現、13号機覚醒まではネルフの計画にもあったはずです。残っているものは搭乗席にゼーレマークが大量に出現したアダムスの器の動きでしょうか。アダムスの器がゼーレの意志としてヴンダーを乗っ取ろうとしたことはネルフにとって都合が悪かった可能性があります。また、ガフの扉がネルフの想像以上に長い時間開いていた、という可能性もあります。マリの「ゼーレの保険」発言は証拠にはなりえませんが、ガフの扉を開くことはネルフより上位のゼーレの意志に由来していると考えられます。ネルフとしては13号機覚醒後さっさと扉を閉じてしまいたかったのかもしれません。
 これらを考えればゼーレとしてはアダムスの器でヴンダーを乗っ取りそのまま人類の補完へ、ネルフとしては一度覚醒させた13号機を回収し道具を揃えて自らに都合の良い人類の補完と神殺しを行うつもりだったと考えることもできます。

・ゼーレ : リリスとの契約が願い、人類補完による魂の浄化
・ネルフ : 神殺しへのこだわりがある、道具を揃えて出直す

鍵と神

ネブカドネザルの鍵
 ネブカドネザルの鍵についてはここまでであまり情報が出ていません。あまり情報が出ていないので、破と矛盾しない範囲内であれば都合よくミッシングリンクを埋めるツールとして登場させても差し支えなさそうです。しかしそのデザインから多少は推測することができそうです。
 ネブカドネザルの鍵は首から下の神経線維と円筒状の頭部(エントリープラグに似ている?)と装飾からなります。では対になりそうな首から上の神経線維はどこかに登場しているかというとQでゼーレのモノリスの電源が落ちる瞬間に見られます。

エヴァという作品における「神」とは
 エヴァで神が言及されるシーンはネブカドネザルの鍵についての「神と魂を紡ぐ道しるべ」、真のエヴァンゲリオンが本物の神なのかという話題、Qのセリフに見られる「諦観された神殺し」やヴンダーの「神殺しの力」などです。また、人類補完に関する考察からネルフとしては神殺しにゼーレ以上のこだわりがあると見受けられます。
 破のラストからもエヴァは神に近い存在になることができる、神そのものになる可能性があると考えられます。神殺しというワードにおける神については、神にまで到達したエヴァかそれ以前からある絶対的存在の二通りが考えられます。エヴァを指す場合はエヴァを神にまで押し上げた後に殺すことになります。しかしエヴァはある程度の想定外こそあれど運用され続けているため諦観されるのは不自然です。覚醒した13号機を主機としてネルフが黒ヴンダーを運用するのであれば、神はあくまでヴンダーにより殺される存在と考えられます。
 また、シンエヴァ予告映像からヴンダーの能力はガフの扉を超えられることなのではないかと考えました。神はその先にいるということになります。なお「ガフの部屋」という表現は新劇場版では登場していないので扉の先が閉じた空間かあるいは別の世界になっているのかはわかりません。

神と魂を紡ぐ
 ゼーレはリリンの上位に位置する存在です。元々アダムスの器などの道具を持っており人類に文明を与えました。ゼーレを上回る上位存在として神を考える場合、神殺しはどのように解釈されるでしょうか。ここまでくるとどんな超常現象もあり得る領域になってしまいそうですが、この世界の理を変えてネルフ (ゲンドウ) の願いを叶えるために必要な行為と言えそうです。普通に人類を補完しただけではネルフの目的にはたどり着けません。
 ネブカドネザルの鍵は人類補完の扉を開き、「神と魂を紡ぐ道しるべ」です。紡ぐというのは細かいものを束ねて新たなものを作りだすと言った意味です。文としては神と共に魂を紡ぐのか、神と魂を自らの手で紡ぐのかという二通りの解釈がありえますが、人類の補完が神殺しの前段階であれば前者で通じます。いずれにせよ浄化された魂を新たに作り出すというのは間違い無さそうです。
 さてここでデザインの話に戻ります。インフィニティのなり損ないは生命の実に関係し、赤くて半透明な肉体です。ゼーレのモノリスの脳神経は魂の形を変えた象徴と考えられます。神経線維+カプセル状のネブカドネザルの鍵はそれらを繋ぐようなデザインではないでしょうか。ネブカドネザルの鍵により新たな魂を作り出し、それを肉体に入れて人類を進化させるということになりそうです。

再びアダムス
 ところでアダムスの器は神殺しの力を持つヴンダーの主です。結局アダムスとその器は何だったのでしょうか。アダムスの「器」が神を殺しに行くのだとすれば、それはアダムスのためでありアダムスは神様候補のようなポジションとも想像できます。使徒の親のような存在という考察もしましたが、神様候補であればそれもあり得るでしょう。ネルフは13号機を使った黒ヴンダーで神を殺し神になることが可能なのかもしれません。
 シンエヴァ予告に搭乗する顔にX字があるエヴァ(Mark.Xとします)も無関係ではないでしょう。13号機は胸にX字がありました。それとの関連を想定するとこの機体もアダムスかネルフが初号機回収のために遣わした器か、または現在の神なのかもしれません。

・ネブカドネザルの鍵により魂の形を変える
 ・生命の実による肉体と合わせて人類を補完
・作品における神はゼーレより上位の存在
・アダムスが神様候補である可能性

その他単発考察

・深層シンクロテスト結果 : シンクロ率0%の謎
 ・初号機に保存された綾波の意志
・カヲルは別世界を知っていた、ループもの的な展開があり得る
・ネーメズィスシリーズとエヴァシリーズの違い
 ・前者はパターン青、アンチA.T.フィールド使い
  ・魂が不要
 ・後者はA.T.フィールド展開可能

エヴァ再構成

 以上考察してきた内容も踏まえつつ、これまでのエヴァを想像で記述してみます。

セカンドインパクトではアダムスにより道具としての槍を生成した
マリは過去冬月研にいた人物で二号機試験に関わった

サードインパクトでリリスの魂は初号機に保存された
ドグマにMark.06が投下されリリスと契約を結ぶ
インフィニティのなり損ないができる
第12使徒が現れたために槍を使用し一時停止、カシウスの能力消費
結界でふさがれる
初号機はゼーレが衛星軌道上に保存

カヲルの想像に反し槍は揃っていた
シンジだけで抜き第12使徒が活動再開
カヲルが第13使徒となる
第12使徒殲滅を持ってカヲルによりアダムスが覚醒
揃った槍二本では二つの魂による覚醒を止められなかった
一度覚醒した13号機を黒ヴンダーに使用

シンエヴァで人類補完、そしてネルフの望む神殺しへ

 これまでの内容の考察は以上です。公開日前に記事を公開することを最優先したため不完全ですがこれで終了です。お読みいただきありがとうございました。長々と書きましたし間違いも多そうですが何らかの新しい気づきがあれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?