想定外の円高はなぜ起こったか?元ファンドマネージャーの解説
おはようございます。
300億円運用していた
元外資ファンドマネージャー@西出です。
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それでは、
今日も、資産運用に役立つ内容を
発信していきます。
足もとでドル安円高が急速に進んでいます。
ドル円の長期見通しは、
『必見!日本の人口減少で今後、「物価」や「円の価値」はどうなるか? 』
の記事で示した通り円安トレンドを予想しています。
しかし、短期的には想定外の要因により
思わぬ結果を招くものです。
その時に大切なのは、
予想の前提条件と結果に与えた要因に
どんな差異があったかを確認することです。
為替の変動要因を押さえましょう!
まず、為替の変動要因を確認しておきます。
【政治要因】
地政学リスク、各国通貨政策、各国貿易政策等
政治要因で最近印象的だったのは
米国トランプ大統領の行動です。
半期に一度、米財務省が公表する為替報告書で、
中国を為替操作国に認定・除外を実施し、
人民元相場へ影響を与えました。
【経済要因(ファンダメンタルズ)】
財政政策、金融政策、金利差、経済成長率、
消費動向、雇用、物価、貿易収支等
前出の
『必見!日本の人口減少で今後、「物価」や「円の価値」はどうなるか?』
では主に経済要因にスポットを当てて説明しています。
【実需】
輸出企業の円買い、輸入企業の円売り、M&Aの買収資金
日本の輸出企業(自動車、電機、機械等)が
海外での売上を日本に送金すると
ドル売り円買い需要になります。
一方で輸入企業(電気、ガス、紙パルプ等)が
原材料を調達する際、
多くはドル建て取引のため円売りドル買い需要になります。
また、日本企業が海外企業をM&Aするケースでは、
日本円を売って
海外企業の本社がある国の通貨を買う需要が発生します。
【アノマリー】
1月効果、期末効果、連休要因等
アノマリーとは原因は、ハッキリしないものの
経験則で相場を変動させることを言います。
連休要因とは、日本は海外に比べて祝祭日が多く、
国内個人投資家の取引が少なくなるタイミングを狙って
短期の値幅を狙った仕掛け的な売買により
値幅が大きくなることを指します。
今回の円高は期末効果と日米金利差か
今回の円高は、「期末効果」と「日米金利差」が要因だと思われます。
それぞれ解説します。
■①期末効果____________________
アノマリーに分類される期末効果とは、
日本企業の多くが3月決算であることに起因します。
年度末に向け、保有外貨を円に換える動き(リパトリエーション)を
することによって
ドル売り円買い需要が発生し、円高になると思われています。
■②日米金利差____________________
ファンダメンタルズのなかでも
2国間の金利差は為替変動の大きな要因となります。
ただし、ここで注意が必要なのは、
金利は「名目金利」ではなく「実質金利」が重要だということです。
実質金利 = 名目金利 - インフレ(物価上昇)率
名目金利がいくら高くても、
その国の通貨が売られる(安くなる)ことが頻繁にあります。
それは、実質金利が低いからです。
トルコリラは、見た目の金利(名目金利)が高いことで
個人投資家中心に人気を博しましたが、
トルコリラ安によって多くの方が損失をこうむりました。
その理由は名目金利を上回るインフレ率によって
実質金利がマイナスだったためです。
今回米国では
金利が急低下し実質金利(米国インフレ連動債 (TIPS))は
日本よりもマイナスになっています。
米国インフレ連動債 (TIPS)
https://www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds/government-bonds/us
日本の実質金利
https://www.mof.go.jp/jgbs/topics/bond/10year_inflation-indexed/bei20200220.pdf
さらに、日本の名目金利は、
既にゼロからマイナスになっていることに対して、
米国はまだプラスです。
名目金利の低下余地≒実質金利の低下余地が
残っているのは米国です。
投資家は今後の米国実質金利低下を予想して
ドル売り円買いを行っているのではないでしょうか。
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