株価と金利(債券価格)の関係
・注目ニュース
今日のテーマは米国長期金利の低下です。
米国金利一覧
https://www.bloomberg.co.jp/markets/rates-bonds/government-bonds/us
米国10年債利回りが1.50%を割り込んだことが話題となっています。
・金利(債券)と株の関係
株式相場の局面は大きく4つに分類することが可能です。相場のボトムを起点にすると、金融相場⇒業績相場⇒逆金融相場⇒逆業績相場と循環します。株と債券は一般的に株が上がれば債券が下がり(金利上昇)、株が下がれば債券が挙がる(金利低下)のように逆相関の関係にあると言われています。しかし常に反対の動きをするとは限りません。足もとは株も債券も買われています。どちらかが間違っているのでしょうか。それともどちらも正しいのでしょうか。結論は景気認識によって異なります。
・金利、景気、債券価格、株価の関係は次の4パターンに分けられる
金利 景気 債券 株価
低下 縮小 上昇 上昇 ⇒金融相場(相関)
上昇 拡大 下落 上昇 ⇒業績相場(逆相関)
上昇 拡大 下落 下落 ⇒逆金融相場(相関)
低下 縮小 上昇 下落 ⇒逆業績相場(逆相関)
債券価格と株価が逆相関になるのは4パターンのうち2パターンのみです。
・金融相場(相関)
中央銀行の金利引き下げ(利下げ)量的緩和等により、不景気が落ち着きを見せる局面を指します。企業業績は悪化は続いているものの、悪化のスピードがピークアウトし、前期比での悪化度合いが和らいできたタイミングです。株価は株高と債券高が共存します。
・業績相場(逆相関)
好景気が継続している局面です。景気が良くなり資金需要が高まるためインフレ(物価上昇)懸念が強まります。中央銀行はインフレ抑制のために金利引き上げ(利上げ)局面に入ります。好調な企業業績を反映して株が買われ、反対に利上げに伴い債券が売られます。
・逆金融相場(相関)
過度な景気加熱によるインフレを抑えるために、中央銀行の金利引き上げ(利上げ)が継続しています。債券価格は金利上昇を織り込み下落します。企業業績は金利上昇による借入コストが増加によって徐々にピークアウトし、業績相場で先行した素材や製造業の利益が伸びなくなってきます。また、高いPERまで買い上げられた高成長企業の株価も勢いがなくなります。株価の本格的な下落は中央銀行による利上げが打ち止めとなり、景気拡大が止まった頃に訪れます。
・逆業績相場(逆相関)
企業業績が悪化している局面です。景気縮小によってインフレは鎮静化しています。中央銀行は景気を下支えするために金利引き下げ(利下げ)を実施しますが、企業の業績悪化は簡単には止まらず株価は売られます。一方で債券は金利低下を反映して買われます。ただし独自要因で業績を伸ばせる中小型株は逆行高する場合があります。
・足もとは金融相場か
米国株式市場はアップルショックの影響も今のところ軽微に留まり堅調に推移しています。一方で金利は、米連邦準備制度理事会(FRB)がCOVID–19の景気に対する悪影響を和らげるため利下げ実施するとの期待から低下(債券価格は上昇)しています。株高と債券高が共存する金融相場の様相を呈しています。
※ディスクレーマー※
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