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多連リング

今日の発見。

細かな柄が刻まれている繊細なリングを7連に重ねたデザインのこのリングは、昔、父が外国に行ったときに母にお土産として買ってきたもの。

素材は真鍮みたいだし、おそらくジュエリーショップなどではなくお土産屋さんのようなところで買ったもので、なんとなくアンティークっぽいところが気に入って譲ってもらったのだけど、母に見せてもらった当時は変わったデザインだなぁ・・・ぐらいの印象でした。

最近アンティークやヴィンテージデザインの勉強をしていてふと出会った写真に、このリングとそっくりなものを見つけました。

それによるとこれは元々“青の民”と呼ばれる遊牧民=「トゥアレグ族」にとって、命を守るための大切なリング【7Days Ring】がルーツのようです。
(トゥアレグ族のものはシルバー素材なので、これはそれを模したものだと思います。)

遊牧民たちが見渡す限り砂漠の中を歩き続けていると、日付の感覚がなくなってきます。そこでこの7つのリングを一つの指につけ、1日経つごとにリングを一つ別の指に移していき、それによって曜日を把握し、自分が砂漠に入ってからどのくらいたっているのかを確認することができるように生まれたリングだそう。

(1日経つごとに7つまとめて移すなら7連にする意味は??と疑問なので、最初は7本を一つの指に、そしておそらく1本ずつ残して、移していく・・・っていうことなのでしょうか。いろいろ調べましたが正確な使い方は分かりませんでした・・・。)

実際は7つバラバラで使われているものだそうですが、ネットなどで見かけるものはバラけないようまとめてあるものがほとんどでした。

タガネやハンマーなどの道具によって一本ずつ繊細な幾何学模様の柄が彫られていて、伝統的な技術や製法によって手作業で作られたリング。じっくり見るととても素敵なのです。

こういう、何気ないデザインに見えて実はちゃんとした由来や意味があるってなんだか惹かれます。

昔は、華やかでもオシャレでもなくさほど興味もなかったし、ジュエリーとしての価値もほとんどないけど、由来を知ると、その土地の歴史や文化が分かる貴重なデザインなんだなぁと愛着が湧いてきました。単純(笑)
ジュエリーやアクセサリーなんてまったく知らない父が選んだ割に、実はなかなかセンスの良いアイテムでした。


トゥアレグ族、初めて耳にしたので調べてメモ書き。

【トゥアレグ (Tuareg) またはトゥアレグ族は、ベルベル人系の遊牧民。アフリカ大陸サハラ砂漠西部(アザワド)が活動の範囲である。自身では「ケル・タマシェク(Kel Tamasheq)」(タマシェク語を話す人々)と呼ぶ。】

ちなみにこのトゥアレグ族の名前を聞いてピンときた方はもしかしてHERMES(エルメス)マニアかも!?

HERMESから1997年に発表された「アフリカ(L’Afrique)」というコレクションは、このトゥアレグ族が制作しているとのこと。シルバーの加工をHERMESの工房ではなく、サハラ砂漠で遊牧生活を営むトゥアレグ族が施しているというのが大きな特徴だったのですね。知らなかった~~!

アンティークやヴィンテージという年代だけでなく、ジュエリーにはいろんな起源や歴史があって、カレン族やこのトゥアレグ族のように上質なシルバーなどを伝統工芸にしているものやモロッコやケルトなど独特のモチーフやデザインがあったり・・・知れば知るほど興味が湧いてきます。

うーーーん、やっぱりジュエリーは奥が深い。

ところで、この7Days Ring、どこかで見たデザインだなと眺めていたら・・・

母のリングを見つけるよりもっと前に買っていたもので、若い頃に一目惚れして買った、ジョージ・ジェンセンのこのリング!!

シルバーとオニキスの2連リングです。2本を繋いでいるデザインがそっくり!

地味なデザインにもかかわらず母から譲り受けた7Days Ringを見たときに思わず「欲しい」と言ったことや、今も愛用しているカルティエの3連リングもそうだし、単なる重ね付けではなくて、2つでひとつ、3つでひとつ‥という意味のこんな多連リングが元々好きなのでしょうね、私。

以上、ふと目に留まったリングからの気付き日記でした。

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