聖母子のメダイ
私の彫金作品で時々登場する「メダイ」。キリスト教関係の聖人やシンボルなどが描かれたカトリック教徒のお守りみたいのものです。
聖母マリアが描かれた「不思議のメダイ」が一番有名ですが、実はいろいろなメダイが存在するんですよね。
メダイというとマリア様のイメージが多いと思うのですが、今回、LIBEROSのジュエリーとしてご紹介するメダイの最初の作品として、宗教的観点からのメダイではなく、美術品、芸術品としてのメダイを探し、中でも「聖母子」をテーマに出会ったイタリア製のメダイを作品にしました。
まずはウィリアム・ブグローの「イノセンス」がモチーフのメダイを使ったリングです。
ウィリアム・アドルフ・ブグローはフランスの画家で、神話や天使、少女を題材とした絵画を多く残しています。
私は昔から天使のモチーフが好きだったこともあり、
ウィリアム・ブグローの絵が大好きで、
特にこの、小さな子供と子羊を一緒に抱いている母子像がお気に入り。
絵画なのに奥行きを感じるような、不思議な雰囲気を醸し出しているメダイを見つけ、好き過ぎて作品用とは別に自分用にも一つお迎えしたほど。
この絵は“何の罪もない純白な親子“の絵ですが、キリスト教美術において「子羊」=「イエス」の象徴なので聖母子像と捉えられているようです。
このメダイを、古い土レンガの建物や教会の礼拝堂の、こんもりとした壁の窪みの奥に飾られているような絵をイメージしたリングに仕立てました。
そして次に、フィレンツェ出身の彫刻家、ルカ・デッラ・ロッビアの聖母子像がモチーフのメダイ(シルバー製)を使ったリングです。
小さいながらも精巧な彫りが施されたとても美しいメダイです。
メダイの裏面にはシルバー、製造所の刻印があります。
以前この絵をどこかで見かけたとき、美しい細工が何重にも施された重厚な木製の額縁に入れられていたのが印象的だったので、リングにするときもがっちりとした額縁に入れるイメージで、そしてシルバーの白い輝きが神々しく感じられたメダイと同じ素材、シルバーでリングに仕立てました。
(こちらのリングはSOLDです。)
聖母子メダイシリーズ、
リング2点に続いての作品はペンダントトップです。
フィリッポ・リッピ 「聖母子と二人の天使」の、ロザリオ用センターパーツメダイをペンダントトップに仕立てました。
金色に縁どられた輪郭の中に、背景の水色や衣装の紺、手の袖口の赤がとても美しい、イタリア製のメダイです。
このフィリッポ・リッピの聖母子の絵は、大好きなフィレンツェのウフィッツィ美術館で見た絵。
楽しかった旅の思い出とノスタルジーを込めて、アンティークな絵画のイメージでデザインしました。
裏面にはラテン語でメッセージを刻みました。
『Omnia Vincit Amore』(愛は全てに打ち勝つ)
母の愛に勝るものはない、
聖母子像を見ているとそんな言葉がぴったりですよね。
ペンダントトップの素材の真鍮は、燻して少し赤みのある銅色に。
アンティークな風合いに仕上がっています。
LIBEROS最初のメダイ作品は、「聖母子」をテーマにしましたが、次回のメダイコレクションは、いよいよ「聖人」のメダイ。
ちょっとレアな聖人のメダイや特別な意味合いを持つ聖人に惹かれ、出会い、取り寄せたものを作品にしています。
持つべき人をイメージしながら作ってみようと思っていますので、作品を見ていただいたときに何かを感じていただけたら・・・そんな思いを込めて絶賛制作中です。
メダイって、「身に着けた者に幸運が訪れる」とか「身に着けていると難病を克服できる」とか、ただのアクセサリーではなく癒しやご加護を受ける大切なお守り、タリスマンの役割を担っているもの。
だから、特別なご縁で手に入れるものだと思っているのです。
メダイを含め、お守りとしてのアイテムは本当に星の数ほどありますよね。そんな中で、自分のもとにやってくること、自分が「これだ!」と思えるものに出会えること自体が、奇跡の出会い。
お守りって、そうやって出会うものに心を合わせることで願いが届き、叶うものだと思います。
必要なときに、不思議なご縁で手元にやってきてくれるメダイを、LIBEROSのお守りジュエリーとしてもご紹介していけたら・・・ということで、これからもご縁のあるメダイと出会いたいなと思っています。