CF計算書作成上の注意点
キャッシュ・フロー計算書を作成する際、未払金と未払費用の入り繰りや営業外損益項目のチェックが必要です。
1.未払金と未払費用の入り繰り、設備未払金との区別
キャッシュ・フロー計算書を作成する場合、未払金の中に利息の未払(未払利息)や固定資産等の未払金(設備未払金)が含まれていないかのチェックをする必要があります。
・未払金に含まれる未払利息
上場会社の子会社や孫会社では、未払金と未払費用を区別せずに記帳を行っている会社も少なくありません。
この勘定科目の区分をしていない場合は、未払金明細に「○○銀行」や「利息」という文言が無いかチェックしましょう。
本来、利息の支払い「利息の支払額」として営業活動によるキャッシュ・フローの小計より下、もしくは財務活動によるキャッシュ・フローの区分に記載します。(連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針11項)
しかし、上記のチェックを失念すると、本来支払利息と調整すべき未払利息が営業活動によるキャッシュ・フローの小計より上で「未払金の増減額」等に含まれて開示されることになり、利息の支払額が正しく開示されないことになります。
・未払金に含まれる設備未払金
固定資産等を購入した際に支払が翌期となるケースでは、未払金の調整が必要です。
固定資産等の取得によるキャッシュ・フローは、投資活動によるキャッシュ・フローに区分されます。(連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針8項)
そのため、未払金の中に固定資産の取得に関するものが無いかチェックしましょう。
多くの上場会社ではこの対策として「設備未払金」という勘定科目を使用して通常の未払金と区別しています。
2.営業外損益項目に投資活動や財務活動に関する損益がないか、
営業外損益項目で「雑収入」や「雑損失」を多用している会社は、その中に不動産収入が含まれていないか確認してみましょう。
会社の定款に事業目的を記載する欄がありますが、そこに「不動産の賃貸」などが記載されていない場合は、不動産の賃貸による収入が主要な営業活動として認められない可能性が高く、損益計算書の「売上高」として計上できないことになります。
売上高に計上できない不動産収入は、営業活動によるキャッシュ・フローに含めることもできないため(連結財務諸表等におけるキャッシュ・フロー計算書の作成に関する実務指針7項1),投資活動によるキャッシュ・フローで「賃貸による収入」等の適切な名称で開示することになります。
【2の補足】
不動産を賃貸として貸し出している場合、その対象となる不動産は貸借対照表上、固定資産の投資その他の資産で「賃貸等不動産」として記載すること及び賃貸等不動産の内容について注記する必要があります(※)。
※不動産賃貸業等の会社は除きます。
・賃貸等不動産の定義
「「賃貸等不動産」とは、棚卸資産に分類されている不動産以外のものであって、賃貸収益またはキャピタルゲインの獲得を目的として保有されている不動産をいいます。」(賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準4項(2))
・賃貸等不動産の注記
財務諸表において、賃貸等不動産の時価等の開示として4項目の注記が求められています。(同会計基準第8項)
①賃貸等不動産の概要
②賃貸等不動産の貸借対照表計上額および期中における主な変動
③賃貸等不動産の当期末における時価およびその算定方法
④賃貸等不動産に関する損益