【クリスマス特別企画】異世界のドラゴン達が「教会のクリスマス」について解説するそうです(待降節編)
■はじめに
みなさん、寒い日々が続きますが、いかがお過ごしですか?
私は、アニメ『小林さんちのメイドラゴン』のトールと申します!
こんな成りですが、異世界ではちょっと名の知れた、すごいドラゴンなんですよ?
私のことは、こちらの記事もご参考にしてくださいね!
さて、もうすぐクリスマスですね!
まあ、私としては敵であるアイツ(神)の子の誕生を祝うなどもってのほかなのですが・・・・
敵情視察、というわけで今年は「教会のクリスマス」を体験しようと思うのです。
とはいえ、まだクリスマスは来ていないんですけどね。
■待降節の過ごし方
ふん、甘いぞトール!駅前のパティスリーのクリスマス限定スイーツより甘いな!
エルマ!?なぜあなたがそんなことを?
エルマ「ふん、私は既にこの世界のクリスマスについての知識を蓄えているのだ。教会のクリスマスについてならかなり詳しいはずだぞ!何でも聞け!」
トール「・・・あなたに聞くのはなんとなく気が引けますが・・・」
エルマ「いいか?さっきお前は「クリスマスはまだ来ていない」と言ったな?たしかにそれはそうだ。だが教会は「待降節」というクリスマスの準備期間に入っているのだ!
「待降節」は「アドヴェント」ともいう。これはプロテスタントでよく使われる表現だ。以前このnoteでも触れたと思うが、プロテスタントはカタカナ語を多用する傾向が強いんだ。
この期間を象徴するのが、この「アドヴェント・クランツ」だ!
これは待降節になると飾られるものだ。待降節は第1主日から第4主日まであり、主日ごとに一本ずつ火を灯す。クリスマス(12月25日)に最も近い日曜日が第4主日。今年(2021年)で言えば12月19日だな。この日に4本全てに火が灯される。」
トール「11月28日に一本目のろうそくに日が灯され、12月5日に2本目、12月12日に3本目・・・というわけですね。」
エルマ「そうそう、待降節の有名な行事の一つに、『シュトーレンを食べる』というものがある。」
エルマ「写真のようなシュトーレンというケーキをクリスマスに向けて少しずつ切り分けて食べるんだ。これも「待ち望む」ということの象徴だな。ちなみに表面が粉砂糖で白くコーティングされていて、これは幼子イエスが白い布にくるまれている様子を表したものなんだ。
なんだか画像を見ていたら食べたくなってきたぞ・・・ジュルリ」
トール「相変わらず食い意地が張っていますねあなたは。まあ、そういうブレないとこ嫌いじゃないですよ。」
■典礼の特徴
エルマ「さて、アドヴェント・クランツで紹介した写真のろうそくは赤いものだが、このように紫色のろうそくもよく用いられる。
何を隠そう、待降節の典礼色は「紫」なのだ!」
トール「神父様の服も紫ですね。」
エルマ「紫というのは、キリスト教においては「準備期間の色」なのだ。紫が用いられるもう一つの時期に「四旬節(イースターの準備期間)」がある。四旬節もシリーズ化されてるから参考にするといいぞ。
ちなみに待降節も四旬節と同様に栄光の賛歌を歌わないという共通点があるのだ。
ではここで問題だ!四旬節が「キリストの死を偲んで節制に務める期間」であるのに対し、待降節はどんな期間だと思う?」
トール「どんなって・・・あなたさっき、「クリスマスの準備期間」と言ったではないですか?キリストの誕生を待つ期間だから「待降節」というのでしょう?」
エルマ「ふん、半分正解だな。この期間はもう一つ大切なものがある。それは「キリストの再臨を待ち望む」というものだ!」
トール「再臨?それは確か世界の終わりにキリストが再びこの世にやってきて、生者と死者を裁くというあれですよね?」
エルマ「そうだ。待降節前の最後の主日(日曜日)を「王であるキリスト」というのだが、これは世界の終末とキリストの再臨を待望する主日だ。待降節はこの流れを引き継ぐものだ。
そして重要なのは、教会暦、すなわち教会の一年は待降節で始まるということだ。」
トール「それって面白いですね。普通に考えればキリストの生まれたクリスマスをい一年のはじめに持ってきそうなものですが。」
エルマ「このあたりがキリスト教の奥深いところだな。「待ち望む」ということが根源にあるということだな。」
■待降節から降誕節へ
トール「そういえば明日(12月19日)は近所のプロテスタントの教会ではクリスマスの特別礼拝があるそうですね。いよいよ待降節が終わるわけですか?」
エルマ「甘ーーーーーいっ!シュトーレンよりも甘いぞトール!」(モグモグ
トール「・・・って、いつの間にケーキ買ってきてるんですか!」
エルマ「いいか?明日(クリスマス直近の日曜日)はあくまでも「待降節第4主日」であり、まだクリスマスではない!」
トール「どう違うのですか?」
エルマ「クリスマスはあくまでも12月25日だ。正確に言うと12月24日の夜からだな。」
トール「24日はクリスマス・イブ、つまり前日ということでは?」
エルマ「甘い!「クリスマス・イブ」の「イブ」とは「イブニング」、つまり夜。つまり「クリスマス当日の夜」ということだ。昔は「日が沈んだら次の日になる」と考えられていたんだ。」
トール「ということは、24日の夜はもう25日になっていると?」
エルマ「そういうことだ。これは復活祭の項目でも取り扱っているから参考にしてほしい。」
エルマ「典礼色に関しても、24日の日中はまだ待降節なので「紫」だが、日が沈んだらクリスマス当日、25日になるので、降誕節の典礼色である「白」に切り替わるのだ!」
トール「なんだか忙しいですね。」
エルマ「プロテスタントでは一般的に「クリスマス礼拝」は25日直近の日曜日に行い、24日の夜に「キャンドル・サービス」というろうそくを用いた礼拝を行うことが多い。25日、クリスマス当日は特に何もしない事が多い。
これに対しカトリックは、25日直近の日曜日は通常のミサを行い、24日の夜に「主の降誕ミサ(夜半)」、25日の日中に「主の降誕ミサ(日中)」を行う。夜半と日中はそれぞれ同一の内容だ。
教派によって色々違いがあるが、私はより典礼暦の意味を感じられるカトリック方式のほうが好きだ。とはいえプロテスタントも子供の頃から慣れ親しんでいるから好きだぞ。有名なクリスマスの賛美歌は大体がプロテスタントで生まれたものだしな。」
トール「「子供の頃」っていつの話ですか、あなた。」
■おわりに
トール「まあ、色々とツッコミどころはありますけど、なかなかわかりやすい解説でしたよ。あなたにしては上出来ではないですか?」
エルマ「私を誰だと思っている?誇り高きドラゴンのエルマ様だぞ?とにかくクリスマスを待ち望む気持ちが大切だってことをわかってくれればいい!
はあ・・・クリスマスが待ち遠しい・・・パーティーで美味しいご飯をたくさん食べられるからな!」
トール「やっぱりそれですか・・・」
エルマ「それはそうと、クリスマスについてのいろいろな知識を次回は教えるぞ!
愚かな人間どもも覚悟して聞くんだな、あーっはっはっは!」
トール「・・・最後だけドラゴンらしい振る舞いをするのやめてもらえますか?
ではみなさん、次回もお楽しみにしていてくださいね☆」