【シリーズ・復活祭】〜アニメキャラが解説する「正教会の復活祭」編(前編)〜
■はじめに
「今日もリベラのnoteへようこそ。俺はアニメ『かぐや様は告らせたい』の白銀御行(しろがねみゆき)だ。よろしく。」
今日は復活節の今、知っておきたい「正教会の復活祭」について解説していこうと思う。
現在の国際情勢で俄然注目を集める東方正教会について、少しでも理解を深めることはとても重要と思ったのでな。
「さすが会長。いい心がけですね。」
白銀「四宮か。」
かぐや「カトリックやプロテスタント諸教会ばかりが注目されがちですが、この機会に東方正教会についても知っておくことはより視野を広げられますね。」
白銀「ああ。だが俺は正教会の礼拝に参加したことはなく、色々な文献で触り程度の知識を得たに過ぎん。正教会は知れば知るほど奥が深く、緻密で複雑。だから正教会の信者や知識が豊富な人間からすれば色々と突っ込みどころは多いだろう。不備や補足がある場合は是非コメントで指摘してもらえるとありがたい。」
かぐや「なるほど・・・」
(・・・キャー!!!なんなの会長!超謙虚すぎるんですけど!?読者の意見に真摯に向き合い更に自分を高めんとする姿勢ちょーーーーーーーカッコイイ!!!会長好き好きだーーーーーい好き!!!!)
■正教会における復活祭の位置付け
白銀「復活祭がキリスト教における最大の祭日であり、最も大切にしている日であるということはこれまで何度も言及してきた。だが、とりわけ正教会においては復活祭は別格なんだ。
以前も紹介した『なんでもわかるキリスト教大事典(八木谷涼子著)』という本には、東方正教会の項目にこうある。「原罪やキリストによる十字架上の贖罪よりも、キリストの復活によって実現した救いの喜びを強調する」と。とにかく「復活」というものに対する強調がすごい。それは教会の聖堂を見れば一目瞭然だ。」
かぐや「聖堂内ですか。正教会というとカトリックを凌ぐほどの豪華絢爛な装飾や、イコン(聖画)が特徴的ですが・・・」
白銀「いや。そこじゃない。よく見てみろ。カトリックやプロテスタントとは違い、聖堂内のどこにも会衆が座るための座席がないだろう?」
かぐや「・・・確かに!みんな立ったままお祈りをしたり、歌ったりしていますね。」
白銀「そう。これは立った状態=死の眠りから覚めて立ち上がった、つまり復活を表しているからなんだ。ここからすでに正教会がキリストの復活というものをどれだけ重要視しているのかがわかるだろう?」
かぐや「本当に徹底しているんですね。」
白銀「更に言えば、カトリックやプロテスタントでは『復活祭』と言うが、正教会では『復活大祭』と言う。『大』が付いている。それだけ重要ということだ。」
かぐや「正教会の用語はかなり独特というのもよく言われていることですね」
■復活祭までの準備期間
白銀「さて、カトリックやプロテスタント(以下、「西方教会」と記述する)では復活祭までの40日の準備期間を『四旬節』とか『受難節』『レント』などと呼び、祈りと節制に務めるというのは以前も紹介した。当然正教会にもそういった期間がある。正教会ではこの期間を『大斎(おおものいみ)』と読んでいる。大斎に入る前の最後の主日(日中)を『赦罪(しゃざい)の主日』といい、日没とともに大斎に入る。」
かぐや「いかにも正教会らしい独特な言葉ですね。西方教会のように祈りと節制に務める期間、と考えていいのですか?」
白銀「ああ。だがこの節制は西方教会に比べるとかなり厳しいんだ。食事に関してもかなりの断食が求められる。カトリックの断食については覚えているか?」
かぐや「ええ。灰の水曜日(四旬節の始まりの日)と聖金曜日にそれぞれ、一日3食のうち2食を少なくする『大斎』と、獣の肉を避ける『小斎』を守るというものですよね。」
白銀「さすがだな。だが正教会の場合は大斎の期間は、
・平日→卵、乳製品、肉、魚、オリーブ油、酒
・特定の土曜日と主日→卵、乳製品、肉、魚
これらの断食を行うんだ。」
かぐや「厳しいんですね!これは驚きました。と同時にカトリックはかなり緩いんだってことがわかります!」
白銀「カトリックも元々は卵や乳製品を禁じていたのだが、時代の変化に応じてかなり緩くなったらしい。だが正教会は厳格、かつ時代の流れにとらわれない、ある意味で不器用な教派なんだ。とはいえ、そういった伝統を忠実に守る姿勢に惹かれる人間も多い。また正教徒に言わせれば、一般に思われているほど堅苦しくはないし、気さくでフランク、自然体な信者が多いらしい。」
かぐや「でなければ、あんなに(信者数は全世界に2億人)広まっていませんしね。」
白銀「ちなみにこれは豆知識だが、大斎の期間は油の摂取に制限があるものの、ひまわりの種や油は対象外だ。そのため、ロシアなど正教徒の多い国ではひまわりの種子の摂取量が伝統的に多いそうだ。」
かぐや「ひまわりの種、ですか。ハムスターを思い出します。可愛いですよね〜」
白銀「おいおい四宮。なにを脱線しているんだ。」
(・・・・えぇーーー!!!???何この子ハムスターに萌えてるの?普段はクールなのにめちゃくちゃギャップがあるんですけど!?ギャップ萌えかわいいかわいいかわいい!!!ハムスターよりお前のほうがかわいいよ!!!!)
■正教会の聖週間
白銀「大斎の期間は、普段とは違う祈祷文が用いられたり、典礼も違うのだがここでは割愛する。なにしろ正教会の祈祷文やら典礼やらは複雑で種類も多く、あまりにも奥が深すぎるからな。
そして復活の主日の一週間前の主日は「聖枝祭(せいしさい)」。西方教会でいうところの『枝の主日』『棕櫚の主日』『受難の主日』だ。これをもって「受難週間」に入る。
ややこしいが、『受難週間』はカトリックでいう『聖週間』プロテスタントでいう『受難週』だ。」
かぐや「この辺は本当にややこしいですね。」
白銀「カトリックでは聖木曜日からの三日間を『過ぎ越しの聖なる三日間』として特別な典礼を行うが、正教会では月曜日から水曜日も特別な典礼を行うとのことだ。ここはさすがとしか言いようがない。具体的にどのようなことをするのかは適当な資料が見つからなかったので割愛させてもらうぞ。」
そして復活大祭前日の『聖大土曜日』(聖木曜日、聖金曜日にもそれぞれ『大』がつく)には『十字行(じゅうじこう)』という行進が、教会の外で行われる。」
かぐや「なんだかとても神秘的です」
白銀「そしていよいよ復活大祭・・・といきたいところだが、今回はここまでにしておこう。なにしろ著者の体力とメンタルが心配だからな。続きは次回にする。」
かぐや「著者の心配をするなんて、さすが会長ですね。」
■おわりに
あれあれ〜?二人ともなにしてるんですかぁ〜?
かぐや「あら、藤原さん。」
かぐや「いま会長が正教会の復活祭の解説をしてくださっていたんですよ。」
藤原「面白そう!私も混ぜてくださいよぉ〜」
白銀「悪いな藤原書記。今回はここまでだ。また次回な。」
藤原「えぇ〜!?」
かぐや「著者の方のメンタルのこともありますし、ね?」
藤原「かぐやさんがそこまで言うのなら仕方ないですね。じゃあみなさん次回はこの名探偵・藤原千花の活躍に乞うご期待!なのです!」
かぐや・白銀「また面倒臭いことになりそうな予感・・・・・」
つづく