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「ウマ娘 プリティーダービー」で学ぶキリスト教知識(チーム・スピカ編)

■はじめに

皆様こんにちは。ゴールデンウィークなど関係なく、毎日働いているリベラです。

今日も仕事なんですが、かなり暇なので仕事中に昨日から書き始めていた記事の続きを書き、アップすることができました。

社会人になって10年以上経ちますが、カレンダー通りに休める仕事に就いたことがありません。ニュースなどで流れるお盆、年末年始、ゴールデンウイークの行楽・帰省ラッシュの話題。それを見て疎外感を感じる人もいるんですよ。だから、あの手の報道はもうやめましょうよ(誰に言ってるんだ?)

■「ウマ娘 プリティーダービー」とは?

さて、今回は目下大ブレイク中の「ウマ娘 プリティーダービー」でキリスト教知識を学びます。この記事この記事でも話題にしていますので今更感がありますね。実在した競馬の競走馬を擬人化(美少女化)したアニメ及びゲームで、競馬の史実に沿ったストーリーや、それぞれの馬の特徴を的確にとらえ、活かしたキャラクター設定は、現実の競馬ファンからも評価が高く、また、今まで競馬に興味のなかった人が競馬を見るきっかけにもなり、ファンの拡大にもつながっているとのこと。

私リベラ、あまり声を大にして言えなかったのですが実は以前から競馬ファン。高校生のころから見ており、観戦歴は今年で20年になります。そもそも興味を持つきっかけとなったのは、週刊少年ジャンプで連載され、アニメにもなった漫画「みどりのマキバオー」

「クリスチャンのくせにギャンブルかよ」とか思う人もいるかもしれませんが、ギャンブルとしてではなく、スポーツとして好きです。馬を取り巻く様々なドラマは時にフィクションも超えるほどのロマンや夢があります。

そんな僕のように今、アニメをきっかけに競馬ファンが増えているのはよい事ですね。馬券も買うことはありますがほんの少額ですよ。馬券の売り上げで競馬を運営しているわけだし、回り回って好きな馬のエサ代になっていると考えれば悪くないじゃないですか。要するに「推しへの投資」ですよね。教会で献金を払うのとそんなに変わらない感覚ですよ。(そんなこと言ったら怒られるかな?笑)

■ウマ娘で学ぶキリスト教知識

さて、それではウマ娘達でキリスト教知識を学ぶとしましょう。登場キャラクターはかなりの数なので、今回は主にアニメ第1期・第2期で活躍したウマ娘達、その中でも主役級のキャラクターが所属する「チーム・スピカ」のメンバー達ををフィーチャーしていきます。合わせて元ネタになった現実の競走馬についても紹介していきたいと思います。

まずは、アニメ第1期の主人公であるスペシャルウィーク

モデルとなったのは、1990年代末に活躍した競走馬。競馬を知らない人でも名前くらいは知っているであろう、あの武豊騎手に初めて、騎手のとって最高の栄誉であるダービー制覇をもたらしたことで有名な馬です。

同世代にたくさんの歴史的名馬がいる「史上最強世代」と称される世代の馬で、その中でも王道のビッグレースで名勝負を繰り広げました。名前の意味は「特別な週」。キリスト教で特別な週といえばやはり聖週間(復活祭前の一週間)。シリーズでも取り上げていますのでご参考のほど。

スぺちゃんは「母親が二人いる」という設定ですが、これは現実のスペシャルウィークが、生後すぐに生みの母親を亡くし、別の馬が育ての母親となったということに由来するものです。キリスト教で母親といえば聖母マリアが浮かびますが、実は「聖母マリア」という言い方をするのは原則カトリックと聖公会のみです。正教会では「生神女(しょうしんじょ)マリヤ(マリアではなくマリヤ)」、プロテスタントでは単に「マリア」と呼ぶのが一般的です。さらにマリアに「様」をつけるのはカトリックと聖公会のみです。

スペシャルウィークの先輩として登場するのがサイレンススズカ

モデルとなったのはスペシャルウィークの一つ年上で、「史上最強の逃げ馬」と称された競走馬です。

レースではスタートしてすぐハイペースで逃げまくり、そのままぶっちぎって勝つという常識破りのスタイルで、この馬こそ歴史上最強だったとするファンも少なくありません。

しかし、人気も実力も絶頂だった頃に出走したレース中に突然の骨折。怪我が重度のため安楽死処分となってしまったという悲劇の馬です。アニメやゲームでは安楽死とはなりませんが、いずれにしてもレース中に起こった悲劇は衝撃的であり、実況アナウンサーが「沈黙の日曜日!」と叫んだことは有名です。

この「沈黙の日曜日」というフレーズは、サイレンススズカの父親である「サンデーサイレンス」の名前から連想されたものです。サンデーサイレンスはアメリカで活躍した馬で、馬主が「教会の日曜礼拝の静けさ」から命名したとされています。

ちなみにスペシャルウィークもサイレンススズカと同じサンデーサイレンスの子供ですが、競馬では同じ父親を持つ馬は何百頭といるため、人間と違い「腹違いの兄弟」とは言いません。競馬で兄弟姉妹と呼ぶのは母親が同じ場合のみなのです。

ウオッカは2000年代後半に活躍した牝馬(メス馬)。※ウマ娘ではオスもメスも全員女性化した姿で描かれています。

2007年、牝馬として実に64年ぶりとなるダービー制覇を成し遂げました。

名前の由来はお酒のウォッカ。彼女のお父さんはダービー馬のタニノギムレットという馬なのですが、「ギムレット」はカクテルの名前。その父親より強くなってほしいと考えた馬主が、より度数の高いお酒であるウォッカと名前を付け、さらに冠名(馬主が馬につける屋号のようなもの)の「タニノ」を省き、「ストレートに強く」との願いから単に「ウオッカ」という名前にしたのです。その名前通り、ダービーでは史上唯一となる父娘制覇を成し遂げ、芝コースで行われるG1レース(競馬で最高ランクのレース)を当時の歴代タイ記録となる7勝を挙げる歴史的名馬となりました。

「ギムレット」と同じくジンベースのカクテルに「セブンスヘブン」というものがありますが、この名前はキリスト教やイスラム教で天国の最上階層とされる「第7天国」を意味します。このほかにもキリスト教由来の名前のお酒や、修道院で作られたお酒など、とにかくキリスト教とお酒は切っても切れない深い縁があります

ウオッカの同世代で最大のライバルがダイワスカーレット

デビューから引退までのすべてのレースで1着か2着という、抜群の安定感を誇った馬です。ウオッカとは宿命のライバルであり、特に2008年の秋の天皇賞では死闘の末、ウオッカにわずか2cmの差で敗れるという歴史的名勝負を演じました。

そんなスカーレットの名前は、映画「風と共に去りぬ」の主人公・スカーレット・オハラからとられました。僕は映画は観たことはないのですが、劇中には「負傷兵が収容された教会で牧師が詩編23篇を読む」というシーンがあるそうです。ネットで調べたら出てきました。いやあ、ネットって本当便利ですよね(笑)

「ゴルシ」の愛称で知られるゴールドシップ

モデルは2010年代半ばに活躍、G1レースを6勝もした名馬です。

劇中ではよく自由気ままな行動をしていますが、実際の馬もかなり自由奔放で、気分が乗らないとまじめに走らなかったり、スタートで出遅れたりと、何かとその手のエピソードに事欠かない個性派でした。

「気ままで自由奔放」といえば、聖書で有名な「放蕩息子のたとえ話」でしょう。このイエスのたとえ話は、自由奔放に生き、父親からもらった財産を好き勝手に使ってしまった放蕩息子が、やがて自分の愚かさを悔い改め、父親の元へ戻ってくるという話で、悔い改めの大切さ、神の愛の大きさを説いたものです。たしか、以前もどこかの記事で取り上げましたよね。聖書の福音書には、他にもいろいろなたとえ話が出てきます。イエス様はとにかくたとえ話が好きなんです。というのも、イエスは社会的に低い立場にいた人達に寄り添った人物であるため、知識や教養のない人たちにもわかりやすく神の教えを伝えるためにたとえ話を多く用いたんです。

アニメ第2期で主人公となるのがトウカイテイオー。僕の推しキャラです。

1990年代初頭に活躍しました。父親は「皇帝」と称された名馬シンボリルドルフ(シンボリルドルフもウマ娘に登場しますがここでは省きます)で、父親と同様にデビュー以来順調にエリート街道を歩んできましたが、度重なる怪我に見舞われて挫折。それでもくじけずに立ち上がり、怪我から一年ぶりに出走したG1レースで見事優勝します。1年ぶりに出走してG1を勝つという記録はいまだに破られていない大記録です。このことからこの復活劇は「奇跡の復活」と称されています。

「奇跡の復活」といえばやはりイエス・キリストの復活でしょう。十字架にかかって死に、その三日目に復活した出来事は、イエスが起こした最大の奇跡です。今日でもイースター、復活祭はキリスト教最大の行事として盛大に祝われています。イエスの言行録である福音書は4つありますが(マタイ、マルコ、ルカ、ヨハネ)、イエスの誕生、すなわちクリスマスの出来事はマタイとルカにしか記述が無いのに対し、イエスの復活は4つの福音書すべてに記述されています。このことからも、いかに復活祭がキリスト教において重要なものであるのかがわかると思います。「シリーズ・復活祭」の方もぜひご参照ください。

最後にメジロマックイーン

モデルは1990年代初頭に活躍し、主に長距離のレースを得意とした名馬です。

劇中では「名門・メジロ家のお嬢様」という設定で、口調も「~ですわ」とお嬢様チック。その設定どおり、メジロ牧場はかつて競馬会を牽引する存在であり、幾多の名馬を輩出していきました。「メジロ」の冠名を持つ馬はウマ娘ではほかにもメジロライアンやメジロパーマーなどがいます。

メジロマックイーンの名前はアメリカの名優、スティーブ・マックイーンから名づけられました。

スティーブ・マックイーンはカトリック教徒の家に生まれ、カトリック教徒として育てられましたが、晩年にプロテスタントの福音派に改宗しました。アメリカのリバイバル(信仰復興)運動の中核を担った牧師、ビリー・グラハムとも交流があったそうです。

■おわりに

というわけで、ウマ娘の主要キャラクターでキリスト教知識を学んでいきました。キャラクターというか、ほとんど元ネタの馬の解説になってしまいましたね(笑)

そして気づいたのですが、今回は一度も守護聖人ネタが登場しませんでした。これは史上初の快挙なのではないでしょうか?(笑)

競馬はコロナのご時世でも一度も休止されず開催されてきました。みなさんも興味があったら、ウマ娘も競馬も見てみてはいかがでしょうか?ただし、ギャンブルはほどほどに。そして未成年の方は馬券買っちゃダメですからね!(僕ももちろん成人してから買いました)

ウマ娘のキャラクターはたくさんいますので、また続編も書いてみようと思います。

それではまた!

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