【シリーズ・復活祭】〜アニメキャラが解説する「正教会の復活祭」編(後編)〜
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■はじめに
みなさ〜〜〜〜〜ん!
せーのっ!
「ハリストスふっか〜〜〜〜〜〜〜〜つ!」
・・・・
・・・・「ちょっとぉ!なんで黙ってるんですか!」
「いやいや、なんのことを言ってるのかわからないわよ藤原さん!」
藤原「あれ?知らないんですかぁ?正教会では、復活節の期間中は『ハリストス復活!』と言ったら『実に復活!』って返すのが決まりなんですよ?」
白銀「そうなのか?それは知らなかったな。」
かぐや「頭脳明晰で博学な会長でも知らないことがあったんですね。藤原さん、会長の上をいくなんてさすがは才女ね。」
藤原「えへへ〜それほどでも〜」
白銀「前回、散々話したとおり、復活祭(正教会では復活大祭)は正教会のとっては最も特別であり、数あるキリスト教諸教派の中でも段違いなんだ。今回はいよいよ復活祭本番の解説をしていくぞ。」
藤原「やっと本気を出しましたね会長!早くしないと復活節が終わってしまいますよ!」
かぐや「まあまあ落ち着いて藤原さん。会長の事ですからきっと的確に解説してくれますよ。」
■正教会における復活祭の呼び方と「過ぎ越し」について
白銀「ところで藤原、復活祭を英語で言うとなんと言うか知っているか?」
藤原「むぅー。いくらなんでもバカにしすぎですよ会長!」
藤原「イースターに決まってるじゃないですか!私学年トップクラスの秀才なんですからね!清楚系インテリガールの私が知らないはずないでしょう!」
かぐや「(清楚系・・・なんですって?)」
白銀「すまなかったな藤原。その通りイースターだ。これは主にプロテスタントがよく使う表現で、カトリックでは『ご復活』と言うことが多いと言うことも覚えておいてくれ。」
かぐや「カトリックは日本語の表現、プロテスタントは英語の表現が多いんでしたよね。」
白銀「そうだ。だが正教会では復活祭を『パスハ』と言うんだ」
藤原「へぇ〜、なんだか全然聞きなれない表現です」
白銀「パスハとは元々『過ぎ越し』を意味するヘブライ語に由来する。過ぎ越しとは旧約聖書の出エジプト記において、エジプトで奴隷となっていたイスラエルの民が、預言者モーセに導かれてエジプトの地を脱出したことを祝う祭りのことだ。」
かぐや「あの海を割るシーンで有名な話ですね。」
白銀「ああ。そしてその過越に羊を神の生贄に捧げなければならないのだが、キリスト教においてはイエス・キリストが過ぎ越しの時に、人類の罪を贖うために生贄となって神に捧げられた『神の子羊』であると信じられているんだ。イエスが十字架につけられたのは過ぎ越しの時期だったからな。」
かぐや「つまり、過ぎ越し=イエスの受難と復活ということで、復活祭を『パスハ(過ぎ越し)』と呼ぶわけなんですね。」
■復活大祭の段取り
藤原「呼び方は分かりましたけど、実際は教会でどんな事をするんですかぁ?カトリックやプロテスタントとは違うんでしょう?」
白銀「そうだな。だが正教会の典礼はかなり複雑で難解だ。正直に言おう。説明がめちゃくちゃめんどくさい」
かぐや「いやいや、会長!?」
藤原「何言ってんですかぁ!」
白銀「まあ落ち着け。具体的な内容については俺も知識が不足していてな。だからここでは正教会独自の特徴について解説する。」
白銀「まず正教会においては以前このクリスマスについての記事でも言及された通り、ユリウス歴を採用している。従ってカトリックやプロテスタントなどの西方教会とは日程が異なる。」
白銀「同日になる年もあるのだが、基本的には大体、西方教会より一週間程度遅くなる。」
かぐや「まあそれはある程度わかっていましたが」
白銀「そして大きな特徴として、正教会の復活大祭は、土曜日から日曜日に日付が変わる時間、すなわち真夜中に執り行われるということだ。」
藤原「真夜中に!?そんなの私じゃ絶対無理です!途中で寝ちゃいますって!」
かぐや「カトリックは『復活徹夜祭』とは名ばかりで、夜9時くらいには終わってしまいますけど、本当に真夜中にやるんですね!」
白銀「そうだ。午前0時に夜半課というものがあり、前回説明した十字行が行われる。続いて早課に移り、その後復活祭でお馴染みの卵が成聖(聖別)される。ちなみに正教会のイースター・エッグは生命や死を意味する血の色である赤い色であることが多いのが特徴だ。」
かぐや「独特の色使いがいいですね。」
白銀「教会によって違うのだろうが、伝統的にいわゆるイースター礼拝後のパーティーは、正教会の場合深夜の時間帯に行われる。その時間帯はなんと午前3時から5時の時間帯だ。もはや深夜というより早朝だな。パーティーでは卵や肉、乳製品などの断食が解禁され、豪華な食事が並ぶんだ。」
藤原「夜中に高カロリーな食事!?なんという恐ろしい暴挙ですかぁ!」
白銀「正教会の風習として特別な食べ物を食べるのだ。それがこの『パスハ』や『クリーチ』といった、卵や砂糖、乳製品をふんだんに使ったお菓子だ!」
かぐや&藤原「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー!!!!!!」
かぐや「なんなんですかこの悪魔のような食べ物は!砂糖の塊!見るからに甘そう!体に悪そう!でも美味しそう!」
藤原「正教会の厳粛なイメージを覆す恐ろしいスイーツですぅ!」
白銀「落ち着けお前ら。これらも司祭によって成聖される、神聖なものなんだぞ?これだけの悪魔的なものを食するくらい、正教会にとっては復活祭が重要だという事を覚えておいてくれ。」
■おわりに
白銀「ちなみに冒頭で藤原が言っていた『ハリストス復活!実に復活!』という挨拶は復活祭の時期特有のものだが、復活祭の後の一週間を指して特に『光明週間(こうめいしゅうかん)』と呼び、この期間は食事の制限はない。また、イコノスタシス(聖堂にあるイコンなどを設た壁)の『王門』(中央の門)が開けられる。一年でこの一週間限定だ。」
かぐや「お寺や神社で数年に一度ご本尊が公開されるみたいな感覚に近いかもしれませんね。」
藤原「・・・ていうか、会長、復活の挨拶知ってるんじゃないですかぁ!」
白銀「当然だろう。でなければこんな内容の解説はしていないぞ。とはいえこの俺でも正教会について知らないことはまだまだたくさんある。ぜひ読者の皆さんに教えてもらいたい。コメント待っているぞ。」
藤原「最後まで美味しいところを持っていきましたねっ!」
かぐや「まったく、会長ったら・・・(そんなところが好きなんですけど★)」