ドリームノート
私、以前、飲食店で働いていたことがあります。
調理、接客、管理などすべてをこなしていましたが、
コミュニケーションが好きな私は、
瞬間、瞬間のお客様との接点の心の動きを愉しみながら働いていました。
飲食店と言えば、アルバイト学生さんに支えられています。
あれっ!?
コーチングが大好きな私にとって、
コーチングが必要な人に囲まれながら仕事をしているこの状況…。
これは、この状況は、チャンスではないか!
とは言え、
仕事中に、
「あなたは、本当はどうしたいの?」
なんて質問するわけにはいかないし、
深く対話するわけにもいかない。
飲食店は忙しいのだ。
しかし、飲食店には、
お客様の来ない時間帯、
アイドルタイムという時間帯がある…。
そして、コーチングをしていると悟られては、
学生さんは警戒する。
だから、私は、アイドルタイムに、
いつも真面目に仕事に取り組んでいる学生さんに、
楽しみながらも、
自分の内面を見つめる質問を考えてみた。
学生さんに質問してみた。
「ねえ、デスノート」って知ってる?
「えっ?」
「ほら、ドラマであった、名前を書かれた人が死んじゃうノート・・・。」
「あ~、はいはい・・・。」
「それでね、書いたことが必ず実現するドリームノートがもしあったら何を書く?」
「え~っ・・・。」
「何でも書いたことが実現するノートにひとつだけ書くとしたら、何を書く?」
「う~ん・・・、美人になる!」(と、書く。)
「え~っ、もったいない。美人になって、まわりからチヤホヤされても数年でしょう。人生80年のうちのごく一部のためにドリームノートを使うのはもったいないよ。」
「今すぐ、答えはでなくていいから、ちょっと考えてみて。」
また、別の学生さんにも同じ質問をしてみた。その学生さんは躊躇なく「金、お金が欲しい。」(と、書く。)
「いや、いや、確かにお金は大切だけど、お金のために生きているわけじゃないからね、もし、お金に困らないとして、なんでも実現するドリームノートにひとつだけ書くとしたら何を書く?」
「え~っ、わからん・・・。」
その学生さんは、美容師の勉強をしているので、
「カリスマ美容師になると書かないの?」と、私が聞くと、
「なりたいけど~。」
「じゃあ、宿題ね。ゆっくり考えてまた、教えてね。」
そうこうしているうちに、学生さんどうしで、
「○○さんは、ドリームノートに何を書く?」と楽しそうに話をしていた。
「え~、そんなこと考えていたんだ!」
なんて、声も聞こえてきた。
なぜか、その日の仕事は、全体的にスムーズでスタッフにも集中力がいつもよりあったような気がした。
そして、いつもよりみんな積極的だった。
ちょっとしたコミュニケーションで仕事場の雰囲気や生産性は大きく変化する。
私は、ドリームノートをネタに、学生さんのビジョンや価値観・信念が聞きたかっただけですが、思わぬ副産物を発見した。