ファシリとワークショップのコツが学べる「問いのデザイン」を読んだのでメモ
この記事は本から得た情報をもとに重要と思ったポイントのメモや、そのメモを元に今後に活かすための思考を書いています。自分のために書いたものですが、見ていただいている方にも興味を持っていただける内容にしたいと思い、ほんの一部ですが気になったポイントをアウトプットしています。気になったらぜひ本を買って読んでみてください。全ては書いていません、ここに書いているのはほんの1部の気になったポイントだけです。
なぜ読んだか
問題の本質を捉え、解くべき課題を定めるための思考法を学びたい
関係者を巻き込みながら創造的対話のための「ワークショップ」、「ファシリテーション」の技術を学びたい
「問いの立て方」を見直し、より創造的な「問い」とは何かを知りたい
ゴール
創造的なワークショップ、ファシリテーションの技術を知り創造的な問いができるようになる
「問い」とは?
問いの設定によって導かれる答えは変わりうる
問いは思考と感情を刺激する。
問いは集団のコミュニケーションを誘発する
対話を通して問いに向きあう過程で、個人の認識は内省される
対話を通して問いに向き合う過程で集団の関係性は再構築される
問いは創造的対話のトリガーになる
問いは創造的対話を通して、新たな別の問いを生み出す
問題と課題の違い
問題はある人にとっては問題で、ある人にとっては問題ではないので、課題にはならない。
問題:目標があり、動機付けられているが到達の方法や道筋がわからずに試してもうまくいかない状況
課題:関係者の間で「解決すべきだ」と前向きに合意された問題のこと
ワークショップデザインの本質
普段とは異なる視点から定義した課題に思考をめぐらせ、当事者同士で対話をしながら新たなアイデアを生み出していく。その過程で集団が囚われていた認識と関係性が編み直されていく経験プロセスに導くこと
※認識と関係性
認識:当事者に暗黙のうちに作られた認識(前提となるものの見方や固定観念。思考が凝り固まって創造的な発想が阻害されていること)
関係性:相手との関係性によって抵抗が出たり、前提を決めつけて創造的なコミュニケーションができない状態のこと。
例:
・「この人は他人の話を聞かないから相談を持ち掛けても仕方がない」
・いつも悩みの相談を受けていた後輩に対して逆に相談することをためらう
など
ワークショップの基本構造
導入(趣旨と概要をファシリが話、アイスブレイク)
知る活動(講義や資料の調査を通して新しい情報を得る)
創る活動(新しい意味をグループで創る)
まとめ(作り出したものを発表する)
※いきなりのブレストはたいていうまくいかないので上記の流れが重要
ワークショップでは経験を細分化してそれぞれに対して上記の基本構造を入れていくのがいいよ!とのこと。
問いを作成するポイント
①探索の対象を決める
②制約を設定する
③表現を検討する
問いの制約を設定するテクニック
①勝ち基準を示す形容詞をつける
②ポジティブとネガティブを示す
③時期や期間を指定する
④想定外の制約をつける
⑤アウトプットの形式に制約をつける
課題を細かく分割しながら問いにつなげていく重要性
本書で紹介されていた「課題を分解してそれに対応する問いのセットを作成する」っていうのが、いきなり大きな問題に対して会話しようとすると破綻すること多いんで参考になりました。
複雑な問題こそ、小さな課題に分解し、それぞれに対して具体的なアクションを取ることで、全体の問題解決を目指すやり方。
例えば、「痩せたい!」っていう課題があったとして、この課題に対していきなり解決策を考えると、問題が多すぎてうまく創造的なアイデアが出にくかったりします。
「痩せたい」という課題を自分なりにワークショップを企画するとしたら?を考えて分解してみました。これはワークショップに限らず、会議、イベント、授業などワークショップの要素を活かしたい場合に使える基本構造とのこと。
導入
まず、「痩せたい!」という大きな課題を導入部分でしっかりと定義します。導入は、参加者全員が共通の理解を持つために非常に重要です。
背景の説明
痩せることが健康や自己満足、自己肯定感の向上にどのように貢献するのか?
目的の設定
このワークショップの目的は、「痩せるために具体的な行動計画を立て、持続可能な方法を見つけること」
知る
次に、「知る」フェーズでは、現在の状況や問題点を明確にします。
問い1:「現在の食生活で見直すべき点はどこですか?」
問い2:「現在の運動習慣で足りない部分はどこですか?」
問い3:「痩せたいという目標を達成するために、どのようにモチベーションを維持しますか?」
創る
「創る」フェーズでは、具体的なアクションプランを立てます。
問い1:「どのような食材や料理を増やし、どのようなものを減らすべきですか?」
問い2:「どのような新しい運動を取り入れると効果的ですか?」
問い3:「ストレスや挫折に対処するための方法は何ですか?」
まとめ
最後に、「まとめ」フェーズでは、得られた知識や決定事項を整理し、次のアクションを明確にしたうえで言語化します。この流れでワークショップの一通りの流れは完了。
創造的な問い…
みんなが「なぜやるのか」を自分事として捉えた状態であることを前提で様々な視点から問いを投げていくことで創造性が生まれます。
オープンクエスチョン
創造的な問いは、イエスやノーで答えられる閉じた質問ではなく、5W1Hを含む問い
想像力を刺激する
既存の知識や常識にとらわれず、新しいアイデアを考えるきっかけとなる質問。ときに固定観念を壊すような問いもしてみる。
深い思考を促す
表面的な回答ではなく、深く考えさせる質問。
多様な視点を引き出す
問題や課題に対して、異なる視点から考えるような質問。
ファシリにおける導入の重要性
印象的だったのは、ワークショップやミーティングの導入部分の重要性についてです。導入がしっかりしていないと、参加者が目的を理解できないので主体的に、会話に参加できなかったり、発言が少なくなりがち。
ファシリの課題と求められる能力の一つに、「いかに参加者全員に創造的な対話をしてもらうように促すか」ってのがあると思いますがその導入についての問いの仕方などが本書で解説されていました。
アイスブレイクでよく活用される「朝ご飯何食べましたか」は、簡単に答えられる分、当たり障りがない質問でしかなく、「課題解決のための経験のプロセス促進」の観点だと滑りやすいとのことで、「いかに導入であるアイスブレイクから、そのワークショップで話したい本題のテーマに接続できるか」というのを考えてデザインしていくことが重要だそうです。
アイスブレイクの時点で本題に接続ができると、そのワークショップに参加している目的をみんなが理解しやすくなります。
最後に
本書はワークショップとファシリにおける「問い」について、同デザインしていけばいいかの具体的な解決策が書かれています。今回メモしたのはその一例であり、辞書的にワークショップをファシリするときがあれば、これを読み直してデザインしてみようと思っています。
問いを繰り返すスクラムマスターなんかも読んでみると、とても役立つかと思います。