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ラグジュアリーシック

2022年4月3日(日)、正午過ぎの新宿駅

 この日は某ビスポークテーラーへジャケット(背広)をオーダーしに青山へ足を運んだ、その前に新宿駅南口ビックカメラで「写ルンです」を現像した。この「写ルンです」僕が高校2年生の頃、つまりは4年前、から使ってた、友人が好意を寄せる女子とやっとの思いで許可取れて撮った修学旅行での2ショット、6ヶ月前に行った京都嵐山での写真、どこでいつとったのか全く見当のつかないボケボケの写真、いろんなシーンが切り取られてた。「写ルンです」の魅力は一度シャッターを切ると元には戻れない、確認もできないという点にあるということは異論を認めないが、まさにその面白さを感じた。考えれば約4年という長い期間の記憶の追体験を、使い捨てカメラの現像という一行為で体験できるというのはコストパフォーマンスという観点においては高得点ではないか。これは決して撮り直しの効くフィルムカメラでは代替不可能であって、フィルムという点がどこか懐かしさと古臭い雰囲気を演出しているが副次的な魅力に過ぎない。

 いつだろうか、覚えてない、ただ場所は覚えてる。足を運んだ記憶もある、神保町の角にある古本屋なはず、懐かしい。村上春樹のノルウェイの森を上下600円で買ったのを覚えている。


 4月に入った、この時期は多感、かつ冬のわがまま生活も終わりを迎え腹の脂肪も落ちてくるタイミング、新年度の開始、少なからず自分にとっては1つの節目、そういう時はその時期時期に相応しいモノを買うのが自分の中のルール。もう自分へのご褒美を作ってもいいんじゃないか。ということで某ピスポークテーラーへアポイントを入れた。

 決して自分の作りたいジャケットの具体的なイメージがあったわけでは無い、ただただ過去のお客様さんのオーダー品からヒントを受けて自分に合うように微調整を行うだけ。薄手のウールで光沢感のあるベージュ、袖部分にも裏地無しというイカれた注文をしたが可能だった、これに関しては流石の縫製技術とパターンメイキングとしか言いようがないがまぁ要するにシャツのような薄手のジャケットである。気が向けばまた完成した後に写真にでも収めようと思う。

テラス席。仔羊が絶品だった。

 ラグジュアリーシック、これはチープシックの対義語として考えた自分の造語なんだけど僕はラグジュアリーな衣服でクラシカルに纏め上げるのが好きです、一方でチープさを取り入れるってことを今1番意識しています、例えばポールハーデン系の強めのジャケットにはチープなスニーカーやサンダル、パンツはコーデュロイでも決して良質ではない、寧ろ安っぽく見えるコーデュロイを選ぶ、自分なりのスプレッツァトゥーラの在り方を模索してます。つい1年前まではブーツ、ローファーでゴリゴリに仕上げてた、それも素敵だと思うんだけどちょっと違う、今の心のフェーズとのバランスを考えるとビーチサンダル、グルカサンダル(ちょいやり過ぎ)くらいがベスト、いやベターなんだと思う。

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