アークナイツ合同記事 テラにおける気候と食について
挨拶
私たち「ロドスの図書館」は、アークナイツの考察を好む人たちが、互いに意見を述べ、情報を共有しながら、アークナイツを考察することを目的とするDiscordサーバーです。
今回は有志により、テラの気候及び食についての考察を行い、それらをまとめて記事としました。本記事では計4名が考察をしています。
勿論、素人の人間の集まりのため内容に正確性を欠く、文章が読みづらい等もあるでしょうが、よろしければ前後編合わせて、お楽しみください。
*記事内で使用したアークナイツの画像及び音声はYostar様及びHypergryph様の著作物です ©2018 Yostar, Inc ©2017 Hypergryph Co., Ltd
気候編
[アークナイツ考察]テラの気候間の推移
緒言
本稿では、主にゲーム内イメージから読み取れる植生、建造物の特徴などから、テラにおける、気候同士の接点、変化点を考察します。
また、本稿は著者の調査に基づいて執筆されているため、情報の抜けなどにお気づきの際はご一報いただけますと幸いです。
今回の考察では、対象を下記の地図上に存在する『空白地帯』とし、2つの国家間などではなく、複数の国家に囲まれた空間を考察いたします。これは、現実世界でいうヨーロッパ一帯を『西岸海洋性気候』とまとめていることからもわかる通り、あまりにも隣接している国家間では、多少の差異はあれ同じ気候に落ち着くため、考察の必要性が薄いと考えるためであります。
加えて、ゲーム内で明かされている情報だけでは気候同士の考察は困難を極めるため、現実世界においてモデルとなっている実際の国々を、ゲーム内の国家と置き換えて考察を進める方法を主軸としたいと思います。ご理解ください。
※この考察ではその形態上、地域がひっきりなしに変化するため、地図通りのきれいな考察とはならない可能性が大いにあります。そのため、順番に関しましては、筆者が独自にルールを定めさせていただきました。どうか、ご理解ください。
テラの世界地図
まずはテラ全体の世界地図として、見やすいものとして以下を示します。これは2020年に公開された「TERRA EXPLORATION」のスクリーンショットにEDTA様が着色したものに、更にEl様が日本語のキャプションを付けたもののようです。
2022年に公開されたDISCOVERED TERRA 3.0 において、サーミ・ウルサスの北方、およびサルゴン南方の未探査領域に広大な土地が存在することが明かされましたが、本稿範囲には含まないものとします。
ボリバル・サルゴン間
ボリバル
サルゴン
まず、アークナイツにおいて、ボリバルは現実世界では、メキシコや南米における複数国家にまたがっていると推測される。
根拠は、ベネズエラ、コロンビア、ペルー、ボリビアなどの南米北部の複数国家にボリバルという地名が幾つも存在することや、ゲーム内のオペレーターであるテキーラの名前の由来であるテキーラが、メキシコ産の蒸留酒であること、ゲーム内イベント「ドッソレスホリデー」において登場する文言、「タコス」「サボテン」が、それらを代表する食材であることなどだ。
次にサルゴンだが、こちらは現実世界では、イラク周辺と南米を併せ持つような国家となっている。根拠としては、「サルゴン」という名前が、現在のイラクの位置に、サルゴンという王が古代アッカド帝国を支配していたことや、写真からもわかる通り、その広大な密林、ジャングルは、現代の視点で見てみると、アマゾンとして考察することが妥当であると考えた為である。
では、考察に移りたい。
まずボリバルの気候を南米北部一帯とすると、その気候は「熱帯雨林気候」に分類される。この気候は、一年を通して高温多湿であり、一年を通して大量の雨が降ることから、大量の水を必要とする作物の栽培がおこなわれている。これは、ゲーム内にテキストとして登場する様々なアイテムからも推察することができる。[ゲーム内イベント『ドッソレスホリデー』より]
次にサルゴンだが、こちらは、イラク周辺の「砂漠気候」と、南米の「熱帯雨林気候」、およびその中間に「サバナ気候」が存在していると思われる。イメージをしやすくするのであれば、乾燥地帯から徐々に草木が増え、密林へと変化する感じだろうか。サルゴン出身のオペレーターの故郷が、ガヴィル達の密林やカーネリアンなどの砂漠の奥地、スポットなどの現代都市など多岐に渡る点から、その広大な領土にそれぞれかなりの面積の気候が広がっていると推察される。[該当オペレータープロファイルより]
以上のことから、この二つの国家の間に広がっている空白地帯は非常に広大なものだが、いざ考察してみればお互いの気候は非常に似通っていることがわかる。つまり、この二つの国家間では、気候が同じなためジャングルや砂漠が続いているか、砂漠から密林、密林から砂漠、などが存在していると考えられる。
サルゴン・ヴィクトリア・イベリア間
サルゴン
ヴィクトリア
イベリア
※サルゴンについては省略
ヴィクトリアは、現実世界ではその名称もあって、イギリスに当たると考えられる。これは、イギリスの女王に「ヴィクトリア女王」が存在したことが最大の理由である。また、リードやバグパイプのプロファイルから読み取れるように、ヴィクトリアの歴史は現実のイギリスの歴史と似通っている部分が多くあること、9章で登場した食べ物などもイギリス特有のものであり、根拠となっている。[該当オペレータープロファイルより][アークナイツメインストーリー9章「暴風眺望」より]
次にイベリアだが、こちらもその国家から、現実世界でのイベリア半島が当てはまる。これは、その名称からだけでなく、オペレーターマゼランのプロファイルに登場する「水中火山」や、ソーンズのOST(オリジナルサウンドトラック)の背景なども、大きな証拠だと考える。[該当オペレータープロファイルより][該当動画より]
では考察にうつりたい。
サルゴンは先ほど述べたとおりである。
ヴィクトリアは、イギリスが「西岸海洋性気候」であることからも、同じような気候、一年を通して気温の変化は小さいもので、夏はあまり暑くならずすごしやすく、冬は長いが冷え込みは厳しくないという風な気候である。
イベリアは、該当するヨーロッパ南西部が「地中海性気候」であることから、夏には強い乾燥、冬に降雨が存在し、土地は豊かではないことが推察される。
以上のことから、考察に入る。
この三つの国家は、現実世界においてもそれぞれが離れているため、考察が非常に難しいが、現実では「西岸海洋性気候」「地中海性気候」が隣接しているため、気候としてはほぼ同じものだと考えてよい。細かな違いとしては、地中海性気候の方が一年を通して気温がわずかに高く、夏場は雨が降らないことである。つまり、ヴィクトリアとイベリア間の気候の差異はほぼないものだと考えられる。
次にこの二つとサルゴンの関係である。サルゴンは先に述べた通り、「砂漠・サバナ・熱帯雨林」の混合気候のため、考察が難しい。しかし、あえて考察するのであれば、ヴィクトリアはサルゴンよりも北に位置するため、サルゴンの高温多湿な環境から気温が徐々に下がり、肌寒い気候になっていると推察される。またイベリアは、サルゴンの砂漠・サバナ気候と似た部分が多いが、さるごんよりも南に位置するため、気温は少し下がり乾燥した気候と冬のみの降雨が追加されていく、気温は徐々に下がるが感想も増える推移となるだろう。
つまり、この三つの国の真ん中は、サルゴンから両国に向けて徐々に気温が下がり、乾燥した地域と緑豊かな地域が混在する気候になると推察される。
リファレンス
アークナイツ 公式チャンネル (https://www.youtube.com/@ArknightsStaff_JP)
アークナイツ「TERRA EXPLORATION」(2020/12) https://youtu.be/yP91VOoBoJU, YouTube
アークナイツ「DISCOVERED TERRA 2.0」(2022/07) https://youtu.be/dTt6sU00jxI, YouTube
アークナイツ 第九章「暴風眺望」アナウンスPV (2022/03) https://youtu.be/fxrXlClc77k, YouTube
El Brillo Solitario」Steven Grove(2021/01)
https://youtu.be/yqcjuBM90Cw
スマートフォン向けタワーディフェンスゲーム「アークナイツ」
ゲーム内ストーリー第9章「暴風眺望」
ストーリーにて登場した食べ物、飲み物
オペレーターサイラッハがヒロック事務所に持ち込んだ「バノフィーパ イ」「ショートブレッド」はイギリス特有の菓子)
ゲーム内イベント「ドッソレスホリデー」
イベント内のラベルに記されたアイテム群
ドッソレスホリデーのラベル「ソンブレロ・タコス」
ドッソレスホリデーのラベル「マークおじさんのドライサボテン」
[アークナイツ考察]シエスタの気候
緒言
本稿では、主にゲーム内イメージから読み取れる植生や言及などから、シエスタの気候を考察します。
また、本稿は著者の調査に基づいて執筆されているため、情報の抜けなどにお気づきの際はご一報いただけますと幸いです。
街路樹からの気温推定
建造物は十分に近代化されており、気候の推定には適しません。街路樹は葉の形状からヤシ科の植物と推定されます。
ヤシ科の植物の代表としてココヤシを考えると、成長について次のような特徴があるようです。
このことから、冬季に4℃以上、夏季に40℃以下程度の温暖な気候であると推定できます。
サンゴ礁が存在することからの気温推定
サンゴ礁は通常造礁サンゴの遺骸として形成されますが、造礁サンゴの生育条件は厳しく、次のような記述があります。
また、気温と水温の関係については、実際のデータを基に推定してみます。下に示すグラフは、サンゴが自生する沖縄県の、名護市の週毎平均気温と、沖縄美ら海水族館の沖合300m地点の水深20mから毎週金曜日の午前10時頃に採取した海水の温度を示したものです。
測定条件を完全に合わせられているわけではありませんが、このグラフから気温と水温の差は概ね上下5℃程度以内の差であると推定します。これらのことから、シエスタの気温については冬季に15℃以上、夏季に35℃以下の一年を通して温暖な気候ではないかと推定できます。
降水量の推定について
街路樹からの気温推定に関連し、ココヤシが必要とする降水量から、シエスタの降水量について推定できるでしょうか。引用元の文献を再度確認すると、次のような記述があります。
このことから、シエスタが湿潤な環境であることは推定できますが、降水量については推定できません。
シエスタのモデルにはハワイ、イタリアのサンレモなどの説があるようですが、ハワイの中でもホノルルや、イタリアのサンレモは降水量の少ない地域だったりします。一方で、ハワイについては山地の東西で降水量が大きく異なり、また、シエスタも近辺に巨大な火山が存在するため、風向きが分かれば降水の多寡についても推定できるかもしれません。
最終的な気温の推定について
最終的に、シエスタの気候はどのように推定されるでしょうか。降水量は推定できませんでいたが、気温の推定として、街路樹からは、冬季に4℃以上、夏季に40℃以下、サンゴ礁の存在から冬季に15℃以上、夏季に35℃以下との推定結果を得ました。これらの推定結果の共通部分を取り、冬季に15℃以上、夏季に35℃以下と推定します。
この推定結果から、シエスタはケッペンの気候区分における熱帯と温帯の境界近く、ないしは熱帯に位置すると考えられます。
リファレンス
アークナイツ 公式チャンネル (https://www.youtube.com/@ArknightsStaff_JP)
アークナイツ「TERRA EXPLORATION」(2020/12) https://youtu.be/yP91VOoBoJU, YouTube
食編
[アークナイツ考察]テラのワイン事情
はじめに
本記事では、地球のワインについて簡単に紹介しながら、アークナイツのゲーム内に登場するワインについて見ていく。ゲームに登場するワインについてちょっとした豆知識をからめて紹介しようという記事のため、ワインについての説明はごく表面的なものに留まることをご了承いただきたい。もしワインについて興味を持った方がいれば、ぜひ実際にワインを楽しみながら知識を広げていただければ幸いである。
ワインとは?
ワインとは、ぶどうの果汁を発酵させた酒のことである。黒い葡萄を用いたものを赤ワイン、白い葡萄を用いたものを白ワインと呼び、古くは紀元前7000年ごろから醸造されている。
現在では世界各地でワインが作られており、フランス・イタリア・スペインなどヨーロッパ諸国のほか、チリやオーストラリアもワインの生産地として有名。
造り方としては、収穫した葡萄を潰し、種子や果皮と一緒に発酵用のタンクに詰める。古典的な手法では果皮に付着している菌によって自然に発酵が始まるが、こうした菌の少ないブドウ品種の場合や、思い通りの仕上がりを狙って酒母、酵母などと呼ばれる菌を加えて発酵させることもある。
発酵の過程で葡萄の中の糖分がアルコールへと変化し、同時に酒類特有の様々な風味が生み出される。
さらに、赤ワインの大部分や一部の白ワインでは、マロラクティック発酵という乳酸発酵を行う。これによってリンゴ酸の尖った酸味が乳酸へと変化し、まろやかに変わりつつさらなる複雑な風味を持つようになる。一方、マロラクティック発酵を行わない場合はフレッシュな風味と酸味が残ると言われている(参考文献[1]より)。
こうして出来たワインは果皮や種子といった固形物と分離したあとオーク(ナラの木)の樽に詰められ、数ヶ月~数年は貯蔵される。その後、澱や不純物を濾し取ったら瓶詰めされ、市場で見るようなワインの完成である。
一般的にタンニンや酸の多いワインが長期熟成向き。赤ワイン用の葡萄品種は果皮にタンニンを多く含むので、熟成向きのワインの多くは赤ワインである。
アークナイツに登場するワイン
アークナイツのゲーム内のワイン描写について見てゆこう。
・ニアーライト
代弁者マッキーが燭騎士にワインを勧めるシーン。非常に高価なガリア・コレクションだと発言している。ガリアが滅亡したのは、メインストーリーのおよそ40年前と見られる(特別PV「リターニア:余燼」より)。だいぶ昔に感じられるが、長期の熟成を見据えて造られたワインであれば味わいがピークを迎えるまで30~40年ほどの時間がある。稀な例では100年を越えてフレッシュな味わいを感じられるワインも存在するので、当時のワインが残っていても不思議ではない。
マッキーが注文したのも、ガリア滅亡前に造られたワインの希少な生き残りかもしれない。
・孤島激震
産地は不明だが、リースリング種の葡萄から造られたワインが登場する。リースリングはドイツ発祥の白ワイン用葡萄品種で、フルーティで上品な味わいに仕上がる。酸味が強く、そのために白ワインながら熟成にも耐えるのが特徴。リンゴのような香りがあり、ミュルジスが気に入ったのもそこかもしれない。
・彼方を望む
ヒルデガルトことアルケットを見送ったシスターのセリフ。ワイン樽を「じじいの目を盗んで持ってきた」と言っているので小樽だろうか。
地球においては修道院がヨーロッパでのワインの発展に大きく寄与している。これは、キリスト教ではワインとパンがキリストの血と肉を表す象徴とされているためで、特にカトリックにおいてはワインは毎日のミサで用いられる重要なものであった。そのため、修道院は各々の土地で葡萄を育ててワインを醸造するようになり、ワイン技術の発展と拡散に繋がった(参考文献[4][5][6])。
いっぽうアークナイツに登場するランデン修道院は、ラテラーノの宗教を信仰する戦士たちを雇って組織された「ランデン護衛隊」がその起源となっている。「教皇やその他重要な神職者の身の安全を守る」ための傭兵集団だった護衛隊が、時代が下るにつれて外国の青少年も受け入れて信仰と戦いの技を教育する機関「ランデン修道院」に変化していったことがアルケットのプロファイルで語られており、信仰集団というより護衛を目的とした戦闘集団としての性格が強い。酪農や麦作は集団の維持費用を自給自足で賄うためのもので、宗教的な意味合いは薄そうに見える。
またラテラーノの宗教とワインの関連性についてはゲーム内で語られたことはなく、宗教の主な影響範囲もラテラーノとイベリアに限定されている。そう考えると、テラでのワインの発展と宗教はさほど関係がないと考えるほうが良さそうだ。ランデン修道院でもワインを醸造している可能性はあるが、宗教上の関連性は無いのではないだろうか。シスターの喜びようからして、ビールと違って常備されてはいないようで、ビールは自家用、ワインは販売用で収入源という可能性も考えられるのではないだろうか。
・未完の断章
ここでは、バイソンの父親ピーターズが、シエスタの市長ヘルマンにヴィクトリア産と思われるワインを勧めている。面白いことに、「ガリアの樽で熟成している」といいつつ、この樽は杉製のようだ。
日本語版だけかと思いCN版・EN版を調べたが、
高卢的木桶酿造,带着雪松烘烤的风味。
Barrel-brewed in Gaul with a light, cedar-baked flavor.
と書かれておりいずれも杉製のようであった。
普通のワイン樽はオーク樽、つまり楢製で、焦がし具合によっても変わるがワインにバニラのような香りを与えてくれる。一方、日本酒の樽酒などで使われる杉樽はかなり刺激的な香りがある。ピーターズはガリアの樽といえば杉製、とも受け取れる言い方をしている。ガリアワインで杉樽を使う手法が一般的だとすると、テラのワインは地球のものとはかなり違う風味になっている可能性があるだろう。
地球のワインで言うと、たとえばシラー種の葡萄で造られたワインはスパイシーな香りがある。こうしたワインに杉樽をあわせ、長期熟成によって香りを落ち着かせることを狙ったら面白いワインに仕上がるかもしれない。
・ドッソレスホリデー
このイベントでは、スパークリングワインの名前が複数登場する。南米をモチーフにした暑いボリバルでは、冷やしたスパークリングワインがことさら美味しく感じることだろう。
レアル・シャンパン(ボリバル)
シャンパンはフランスのシャンパーニュ地方で造られるスパークリングワインで、シャンパンを名乗るためにはいくつかのルールを守っていなければならない。シャンパーニュ地方産の葡萄を用いることや、瓶内で二次発酵を行い、最後にシロップやリキュールを加えて調整する伝統的な製法を守ることなどだ(参考文献[2])。
このレアル・シャンパンはガリア伝統の製法は守っているかもしれないがボリバル製。テラでは「シャンパン」という名称は地球ほど厳しく取り締まられていないようだ。
・バレンティア・カヴァ(リターニア)
カヴァはシャンパンと同じく瓶内二次発酵による伝統製法を用いた、スペインはカタルーニャ地方のスパークリングワイン。シャンパンと同じく葡萄の種類など様々な規定がある。ブランド力の差で安価に楽しめるシャンパン…という位置づけになってしまいがちなのが不幸でもある。
イベリアがボリバルを支配していた時代にカヴァの製法が伝わり、その後リターニア人がボリバルに残された製法を取り入れた、という流れのようだ。レアル・シャンパンと同じく製法のみを受け継いでいるわけだが、本場イベリアには伝統的カヴァが残されているのだろうか。
実際のシャンパンとカヴァを比較すると、製法は同じだが使用する葡萄品種の違いから味わいの差が生まれている。「味わいはレアル・シャンパンに酷似している」という記述から考えると、この2種のスパークリングワインは同じ品種の葡萄を使っているのかもしれない。
バレンティア・スパークリング(リターニア)
名前からして、バレンティア・カヴァと同じメーカーが醸造しているようだ。カヴァやシャンパンで用いられる伝統的製法はかなり手間がかかるので、察するにこちらはより安価で一般的な商品というところか。
イベント「塵影に交わる残響」では、ワインという明言は無いが地元の酒造名人の話題が出てきており、リターニアではワイン造りが盛んなのだろうと推測される。リターニアにはドイツの要素が入っているとみられるが、ドイツ同様甘口ワインが多かったりするのかもしれない。
・イーサンのプロファイル
イーサンのプロファイルには、好物として青葡萄のワインが登場する。青葡萄とは何かという点が疑問だが、EN版では「青葡萄のワイン」=コンコードワインとなっている。実際にコンコード種の葡萄には青いものもあるので、ここでは青葡萄=コンコードとして考察してみよう。
コンコードは食用品種の葡萄で、北米産だが日本でも多く栽培されている。ウェ○チのグレープジュースがコンコードを使っているので、味をイメージしやすいだろうか。コンコードを用いたワインも多く作られているが、食用品種のため果皮が薄く、タンニン感の弱い甘口のワインが多いようだ。
コンコードワインには独特の狐臭があると言われており、これは濡れた犬の匂いとも表現される(参考文献[3])。「ループス人が愛する」というのはこの匂いに由来する設定だろうか。ループスというとシラクーザのイメージがあり、テラではシラクーザで好まれているのかもしれない。
この狐臭はグレープジュースのような香りとも言われる。ムッとするような甘い香りと言ったほうが分かりやすいだろうか。
・その他
個別に考察するほどの例ではないものの、ヴィクトリア人やゼルウェルツァのドゥリン族たちもワインを楽しんでいるようだ。ヴィクトリア人紳士などは立ち絵からしてワインを持っていたりする。
テラのワイン生産地域
上記の地図は、ニココガタリさん(https://twitter.com/nicoco_taro)にご提供いただいた。
さて、ここまででワイン造りについて言及されている地域を赤でマーキングしてみた。テラの中央付近の国家で広くワインが親しまれていることがわかる。中でもブランド力が強いのがかつてのガリアで造られていたワインで、ワイン文化の面でも地球におけるフランスと同じ立ち位置にあることが分かる。
ボリバルを舞台とするドッソレスホリデーでワインのラベルが登場するのは、ボリバルに南米のモチーフが入っているからかもしれない。南米のチリもワイン造りが盛んで、高品質なワインが多数造られている。
ボリバルにワイン造りを持ち込んだのはイベリアだが、地球においてもスペインが植民地であるチリに葡萄の栽培を伝えたことからチリワインが始まっている。イベリア≒スペインであるから、まったく同じ構図である。
ここで挙げたほか、マウンテンの印ではクルビアでもワインが造られていることが分かる。また具体的な言及はないが、地中海をモデルとするミノスや、ロシアに相当するウルサスなどでもワインが造られていると考えられ、テラにおいてもワインは全世界的に親しまれているようだ。
参考文献
[1]著者:田中直美."ワインを造る上で味の決め手となるマロラクティック発酵とは".ワインショップソムリエ
.https://wsommelier.com/note/2020/08/15/post-2488/
[2]"シャンパンの製法とは?ソムリエが分かりやすく解説".VINOTERAS.
https://vnts.jp/wine-basic/8364
[3]"押さえておきたいワインの必須知識!フォクシー・フレイバーについて知ろう!" . 日本ワイン.jp.
https://nihonwine.jp/enjoy-wine-life/fox-flavor-style/
[4]著者:安田まり."修道院とワインの「密」な関係".Taste France magazine
https://www.tastefrance.com/jp/stories/article/xiudaoyuantowainnomi-naguanxi
[5]著者:西田美智留."キリスト教の聖書に登場するワインの重要性と歴史".ワインショップソムリエ
https://wsommelier.com/note/2022/12/24/post-2865r/
[6]"聖餐".Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%81%96%E9%A4%90
[アークナイツ考察]「統合戦略#2ファントムと緋き貴石」に登場する”食”に関する秘宝
はじめに
この記事では、アークナイツのローグライク「ファントムと緋き貴石」に登場する食べ物に関する秘宝についての考察となります。
※初めての考察なので至らないところがあるかもしれませんがご了承ください。
食べ物に関する秘宝一覧(番号順)
No.001 電気ケトル
No.062 銀のフォーク
No.079 ウルサスフリエーブ
No.080 苦行者のシュー
No.081 固いバゲット
No.082 試作チョコ
No.083 マカロン
No.084 ヴィクトリアケーキ
No.153 バニラルートビア
No.154 ボールジュース
No.155 羽獣のパテ
No.157 荒野テキーラ
No.158 リーダーモーガン・ラム
No.159 スピッタース
No.160 ロイヤルリキュール
No.168 青菜の缶詰
No.170 シラク―ザ人の憤怒
No.206 今日の献立
こうしてみると結構たくさんありますね。
食事に関する秘宝
No.001とNo.062、No.206は食べ物ではありませんが、食事に関する重要な秘宝となっております。
No.001 電気ケトル
統合戦略において、これほどまでお目にかかる秘宝は少ないだろう。ロドスの事務所にあるという点で、身近にある=よく手に入れやすいということだろうか。
夜中にインスタントラーメンを作るのは、たぶんドクターだろう。ちなみにドクターは特技が”口の中でインスタント麺を作る(ケルシーの話によると&シラユキが目撃している)”ようです。忙しいドクターはインスタント麺を日ごろからよく食べていそうだ。
No.062 銀のフォーク
一本目の”処理”、二本目の”片付ける”にはどのような意味が含まれているだろうか。
名前は銀のフォークだが、なぜかフォークの後ろにはお皿が描かれており、フォークがお皿に乗った状態になっている。これは食後のテーブルマナーとして、フォークはお皿の上に乗せるということを表していると考えられる。そうなるとお皿の上にフォークがあるということは、すでにフォークは”処理”及び”片付ける”のに使用された後だと推測される。
劇作家といえば、六層の裏ボスである彼のことだろう。
ボスの説明文だけ見ると、彼は創作に没頭し常に書いているような人物である。(集中しすぎて自分の世界に入り、外部の影響を受けない勇士と同じだ)そんな彼は食事中も創作をしていたために料理長の怒りを買ってしまい片付けられたのかもしれない。そんな彼がボスとして登場……幽霊?思わぬ遭遇のいちイベント「冒険者への依頼」によると、”ここでは深夜に幽霊劇場が催されている”とあることから、彼が幽霊として我々の前に立ちはだかっても何も不思議ではない。
最後の三本目”必要な人のため”とあるが、それは一体誰のことだろうか。
No.206 今日の献立
謎多きクリムゾン劇団だが、料理そのもの自体もまた謎に包まれているようだ。料理長が一体どんな食材を使用しているか。せめて口に入れるものぐらいは謎が無い方がうれしい。
食べ物、飲み物に関する秘宝
さっそく番号の若いものから見ていきましょう。
No.079 ウルサスフリエーブ
フリエーブとはロシア語でパンを意味します。ロシアのような寒い地域では小麦が育ちませんので、代わりにライ麦を使いパンを作ります。そのライ麦で作るパンにはサワー種というパン種を使うそうで、そのサワー種が酸味の原因です。サワー種に含まれる乳酸菌がその食品に酸味を追加するそうです。
(参考サイト:ライ麦粉を使うと酸っぱいパンになりますか?)
ウルサスフリエーブからは強烈な発酵臭がしていることから、発酵により乳酸菌が増え、酸っぱいだけのパンとなってしまったようです。クリムゾン劇団は移動式の劇団であったため、移動により長き時が経ち発酵が進んだということでしょうか?
No.080 苦行者のシュー
苦難(苦行)と聞いてどこかの陳述者を思い出しますね(笑)。
画像からはシュークリームが二個、大きいものの上に小さいのが乗っているように見えます。シュークリームを重ねると言えば、ルリジューズです。
ルリジューズはフランス発祥のお菓子であり、ルリジューズはフランス語で修道女という意味です。形が修道女の服装に似ていたためにそのような名前が付いたそうです。
修道女という名前、そして”誡めを得る”という事柄は繋がりはありそうです。クリムゾン劇団は殺し屋の集団ですので、これを食べて誡めを得ていたのでしょうか?
No.081 固いバゲット
固いバゲットは汁物と一緒にし、柔らかくして食べるのがよいでしょう。ですが秘宝の中に汁物となる食べ物が出てきていません。きっと汁物はすぐに食べてしまうので秘宝として残すことができないのでしょう。
No.082 試作チョコ
塩漬け卵黄=塩卵黄は保存がきくようで、それを使ったチョコということですね。実はローグライク以前に「塩卵味チョコレート」というアイテムがゲーム内には存在していたようで、それがこちら。
2020年1月22日~28日の期間中、毎日配布されたもので、クロージャのメッセージと共にプレゼントされた。これはリリース記念キャンペーン第2弾の一環として配られたものである。初期のころは石を割ることのできる回数に制限がかかっていたため、理性が回復するアイテムはとてもありがたいものだった。
クロージャのメッセージによると、これを商品化して売り出そうとしていたところ、とあるオペレーターからの反対にあい、商品化計画は白紙になってしまった。それでも彼女はなんともないと言っている。
試作チョコのテキストの”開発者”とはクロージャのことだろう。この試作チョコはクロージャが「塩卵味チョコレート」というものを売り出す前に試作として作ったもの。パリッした食感を出せたことにより商品化へ踏み切ることになったのだろう。
(結果として商品化はできなかったが……でも、現実では商品化されてたりする)
No.083 マカロン
マカロンと言えばフランスのお菓子というイメージですが、発祥はイタリアです。元はマカロンとは一枚のクッキーのようなお菓子でしたが、フランスにて二枚の間にクリームを挟む形になり、それが世界中に広まりました。
このガリアマカロンはマカロン・パリジャン(マカロン・リス)という着色した二枚の生地にクリームを挟んだもののように見えます。表面の光沢も特徴の一つです。
No.084 ヴィクトリアケーキ
ヴィクトリアケーキとインターネットで検索すると、美味しそうなスポンジケーキがたくさん出てくる。スポンジ生地の間にはジャムがサンドイッチのように挟まれているようだ。名前は同じだが、どうも秘宝のヴィクトリアケーキはミルフィーユ状になっており、検索で調べたヴィクトリアケーキとは違ったもののようです。
ヴィクトリアケーキの由来はヴィクトリア女王が夫を亡くし悲しんでいるので励ましの為に開いたパーティで、スポンジ生地にジャムを挟んだケーキを好んだこととされています。
(参考サイト:ビクトリアケーキの名前の由来や発祥は?歴史を調査)
見た目は違えど、国のトップを労う(祝う)気持ちのケーキという点では共通しています。
No.153 バニラルートビア
ルートビアとはアメリカ発祥の様々なものを入れたハーブ飲料のことです。ルートは植物の根、ビアが発酵製飲料を意味しています。
その名の通り、植物の根から搾り作られた飲み物であるために、美味しいというよりも健康にいいというイメージがある。もちろん、入れるものによっては美味しいものもある。(あくまでも個人による)
No.154 ボールジュース
ジュースと名を付けている割にはお酒という、なんとも子供泣かせである。特に何と分からないので考察のしようがない。しいて言うならば、名前のボールはハイボールのボールであるかも、ということぐらいだ。
ハイボールの名前の由来に、ウィスキーのソーダ割をしているところに高く打ちあがったボールが飛び込んできて「これがハイボールだ!」と言ったことが由来という説がある。ほら、ボールジュースのラベルに赤く丸い”ボール?”が描かれているでしょ。そういうことです。
No.155 羽獣のパテ
パテとは本来は細かくした野菜やお肉をパイ生地に包んで焼いたものを指します。最近ではパイ生地で包んで焼いたものではなく、細かくした野菜やお肉の練り物をパテと呼ぶそうです(パテの語源がパイ生地”pate”から来ているのに)。この秘宝は後者の方のようです。
羽獣はロドスキッチンにも度々登場していることから、そこまで高級なものとは考えられにくい。しかし、このパテは高級品のようなので羽獣のレバーが貴重なのか、一緒に入っているものが貴重なのか、はたまた製法が貴重なのか、正解は分からない。
No.157 荒野テキーラ
BSWやライン生命、レイジアン工業があったりとクルビアは多くの大企業が存在しており、今もなお開拓をおこなっていそうである。開拓者はお金を求めてやって来た出稼ぎの人が多く、だから安いお酒が人気なのかもしれない。
No.158 リーダーモーガン・ラム
何とも特徴的な形をしていますね。これはスキットルという容器で、水筒のように飲み物を持ち運ぶことができます。
中身のお酒についてですが、リーダー=キャプテン、モーガン=モルガンとすると、キャプテンモルガンというラム酒が現実にはあります。キャプテンモルガンは海賊の人が名前のモチーフになっているように、リーダーモーガンは海があるイベリアが原産ということで繋がりがありそうです。
No.159 スピッタース
流石はウルサス人、お酒に強いとは。エフイーターのプロファイルによると「休みの時、~酒場で人と飲み比べたりするのが好きだ」とあることから、ウルサス人は(個人差はあるだろうが)確かにお酒に強いということがうかがえる。
現実にはスピリタスという度数が96%というお酒が存在しており、それが元ネタだと思われる。このスピリタスはアルコール度数が高すぎるがゆえに、原産地のポーランドでは消毒薬として使用されてたりもする。
(アルコール度数が高いため火気厳禁。イフリータやスカイフレアには特に注意が必要である)
No.160 ロイヤルリキュール
リキュールとは酒税法の酒類の分類及び定義によると、「酒類と糖類等を原料とした酒類でエキス分が2度(2%)以上のもの」と決められている。と、まぁお酒の説明をしたところで作者自身が知らなかっただけである。
テキストから分かるように、すでに滅亡した国のモノが後世になってからレア物になることはあり得ない話ではない。そんなレア物をクリムゾン劇団の誰かが持っていたのかもしれない。
No.168 青菜の缶詰
これの元ネタはポパイと言われている。ポパイというのはアメリカの漫画の主人公であり、ほうれん草を食べるとパワーアップする。
缶の中身は青菜=ほうれん草だとすると、確かにほうれん草は栄養が豊富で、動脈硬化の予防や高血圧の予防といった効果が期待できるが、無限のパワーというデカいものまでは手に入らない。
(参考サイト:ほうれん草に含まれる栄養と効果・効能)
No.170 シラク―ザ人の憤怒
2022年9月、統合戦略月次記録「超シラク―ザ人」ではこの料理についての会話が出てきています。簡単に説明すると以下の通り。
料理の下手なコックがファミリー(シラク―ザだからね)から追い出され、ガリアに行きシラク―ザの名コックとして嘘をついて料理を提供し続けたところ、本当に名コックとして知れ渡るようになってしまった。そんな彼が開発した料理の数々は本当のシラク―ザ人を怒りに狂わせたようで……
この秘宝の料理の名前は「チョコレートスパゲティ」(そのまんま)で、彼はその他にも「マーマレードマカロニ」などの料理を開発したようです。(そりゃシラク―ザ人でなくても怒るよ)
ただ意外なことに、このコックの料理はガリアの人にとっては好評だったという。シラク―ザ人であるキアーベも興味津々ではあるが……
もしかしたらガリアの滅亡はコルシカ1世のせいではなく、大本はこの料理のせいだったりするかもしれない。
おわりに
\特になし!!!/
これでいい? え、ダメ! 分かりました、ちゃんと書きます。
(深呼吸の音)
初めての考察生地でしたがいかがでしたか?(こねこねしました)
調べれば調べるほど次々と気になる情報が出てきてつい書き足したくなりましたが、話が脱線し訳が分からなくなりそうだったので抑え気味に書きました。(文字ばかりだな~と思ったのは内緒)
合同記事ということもありますので、これで私の終わりの挨拶は終わりです。最後まで読んでくださりありがとうございました。それではまた次の機会に(あるかどうかは分からない)。
終わりに
以上を持ちまして本記事は終了となります。最後までお読みいただきありがとうございました。
最後となりますが、私たち「ロドスの図書館」はいつでも参加希望者をお待ちしております。参加をご希望される場合は、下記リンクよりお願い致します。
重ねてとなりますが、最後までお読みいただきありがとうございました。次回はまだいつになるか決まっていませんが、よろしければまたお読みください。