ぬい作りは案外簡単の話
この記事はMisskey.artアドベントカレンダー企画に合わせて書かれたものになります。
詳細と他の方の記事は以下よりご確認ください。
https://adventar.org/calendars/10510
https://adventar.org/calendars/10511
ごあいさつとして
はじめましての方も、知ってるやつだなという方もこんにちは。
わたしはナスの化物。
本来のHNはながる。普段はMisskey.artにて、うっすらと絵を描いたりMMDを触ったりぬいを作ったり飯を食ったりなどして活動している。
みなさんは外出先にぬいぐるみを持って出ることはあるだろうか。
私は最近になってちょっとだけそういうことをするようになった。
これはいわゆる<うちの子ぬい>というやつで、顔の刺繍から服まで全部自分の手で作った初めてのぬい。
こういうのがなんかもっと流行ってくれたら嬉しいなと思ったので、ズボラでも不器用でもやる気さえあればできるのだという備忘録的な記事を書こうと思う。
推しぬい、うちの子ぬいってどうやって作ればいい?
人型のぬいって顔の刺繍とかするんでしょ?ちょっと難しいな……、という人だってもちろんいるだろう。
しかしなんと便利な世の中か、最近は目や口をアップリケで付けられたり、刺繍をオーダー出来たりする。
ボディも既製品があって、髪型だけカツラのように被せて完成!という手もある。
髪と服を自分で作る……という厄介な手順は残りはするものの、不器用を補う手立てというは結構あったりする。
初めからハードルを上げきる必要はないのだ。
興味が出たら、まずは自分の手がつけられるものから始めてみてほしい。
……しかし、どうしても市販じゃ目や身体的特徴を再現出来ない……売ってる素体とは違うボディで作りたい……ということが起きた時。
そういう時のため、不器用がどのようなことを考えどのような道具を揃えて1からぬいを作るかを記しておこうと思う。
他の方の記事にもぬいに関するものがあるかもしれないが、この記事に関しては大雑把だったり不器用だったり、はじめの一歩を踏み出すのに躊躇する人にちょうどいいかもしれない。
専門用語については難しい言葉もそんなに使わないので、どうしてもわからない単語は作るぞ!となった時に調べるなどしてほしい。
作らない人は雰囲気で読んでほしい。
まずは何を用意する?
教本に型紙、裁縫道具、材料。本当に色々ある。
買ってよかったものなどを順に紹介する。
教本・型紙
参考にしたものは2冊
「もっとかわいくできる! 推しぬい 理想の「お顔」「髪型」つくりかたBOOK」 ぴよぴっこ 監修
1冊目は刺繍のやり方がすごく丁寧に載っていて、2冊目はその知識があれば理解出来るいわゆる中韓ぬい寄り体型のぬいが作れる本。
また、今回に関しては以下の書籍も参考にしながら作っていく。
体型のかわいさに加え、服の型紙本が別で出ており今回採用の決め手となった。パーツは多いが比較的縫いやすい型紙だと思う。
(が、今回は服については解説しない。あくまですっぽんぽんのぬいができるまでのことを書くものとする)
裁縫道具・材料
安く済ませられるものと安く済ませない方がいいものがある。私の使っているものを紹介するがあくまで一例として見てほしい。
・縫い糸
3色あるが今回は薄ベージュのやつを使う。安い糸はパヤパヤしていて引っかかりやすいので、できるだけちゃんとしたツルッとした良い縫い糸を買った方がいいだろう。
・糸切り鋏、裁ち鋏
100均で買った。個体差があるので安く済ませられるかは…運任せである。
・手縫い針
100均だったかも……消耗品だと思っているので数本用意している。錆びてる針は折れるぞ!気をつけろ!
・まち針
針のやつとクリップのやつそれぞれ。今回はサイズが小さく布が波打ちやすいため、クリップタイプのものを使っている。
・指ぬき
針の背で指を貫通したくなければ絶対あった方がいい。革製の指輪型のやつが使いやすい。
・チャコペン
赤と青とか紫と水色とか、2色あると便利。黒い布を使う場合は白も必要。時間経過で消えるタイプや鉛筆、チョークタイプは作業中に消えて困るので水か熱で消えるタイプにしよう!(1敗)
私は手汗が酷いので熱で消えるタイプを買った。
途中でアイロンすると消えてなくなるからちょっと困る。
・アイロン
チャコペン消しと接着芯をつける際に使用する。
アイロン台がぶっ壊れて以来床に布を敷いてアイロンするストロングスタイルを貫いている。
最低限の裁縫セット程度の裁縫道具は用意しておくといい。
・刺繍枠
作るぬいのサイズに合わせて買おう。10cmぬいなら12cm、それ以上なら15cm~くらい?
あまり小さすぎるものを選ぶと刺しづらかったりすることもあるので気をつけよう!私の愛用は100均のプラ製。
・刺繍針
フランス刺繍針。いいやつを買わないと布に引っかかるので注意!基本号数の大きなものしか使わない。
・刺繍糸
できるだけちゃんとしたものを買った方がいい。うちでは近所の手芸コーナーの都合でDMCで揃っている。
大体濃い茶色、白、肌色っぽいオレンジ系、鮮やかすぎない赤を全てのぬいに使用する。+目の色(2色くらい)、眉の色があれば良いだろう。
・貼らない刺繍シート
貼らないやつ(透明タイプ)にしよう(重要)
Amazonで買いました。
最初貼るやつにしたらどれだけ洗っても接着剤が落ちなくて泣いた。水で溶ける布っぽいやつはちぎれないから大変ってフォロワーが言っていた。好みかも。
・フリクションライナー
水性ペンで代用可能だが、糸への色移りの可能性があるため熱で消えるタイプがいい。
ボールペンよりマルチライナーが描きやすいが、ボールペンのほうが線が細いため小さいぬいに向いてると思う。
・接着芯(両面)
なんとダイソーで見つけたロールタイプと両面テープタイプしか見たことない。ダイソーのロールタイプはしっかりアイロンするとしっかりくっつくが、最近店先で見ない。
・目打ち
刺繍糸のヨレを直すとき、糸の絡まりを解くとき、塗ったものを裏返すとき、綿を詰めるときとなんでも使える万能アイテム。
・みやこ染め(コールダイホット)
ちょうどいい髪の毛の色がない!そんな時は染めてしまおう。染料で染まってもいい大きめ容器も用意しよう。
・布用両面テープ、ほつれ止め、裁ほう上手
服を作る時に使うので今回は出番がない。
・ぬい本体に使う布
肌は毛足短めのもの、髪はお好みで長いものを選んでも⭕️
100均のボアクロスは毛の密度が低めだったり薄っぺらかったりするから、お試しで作ってみるような時にはいいかもしれない。
本番用はユザワヤやオカダヤみたいな手芸店やぬい用品を売ってる通販で探した方がいい。
実際に作ってみる。
手をつける順番としては、
①型紙を用意する
②髪用の布を染める
③顔を刺繍する
④前髪を刺繍する
⑤ひたすら縫う
⑥綿を詰めて綴じる
なお、①髪用の布を染める、③髪だけ刺繍するはこだわりからくる余計な工程なので、省いて良い。
今回作るキャラはこれ↓
①型紙を用意する
お好きな型紙を印刷しよう!
20cmぬいを10cmくらいにするには50%縮小、15cmくらいなら75%縮小すると良い。
今回はwawaちゃんの型紙を10~12cmぬいになるように縮小した。
お顔を左右対象にしたい(希望)ので、印刷前のデータに直接刺繍用の顔デザインを書き込んでいる。
wawaちゃんは電子データがなかったので、書き写し→データ化→書き込み→縮小→印刷の手順。
ちなみに、自分で前髪の型紙を作る時は気持ち長めに作っておくとあとから調整が効くので、ぴったりサイズにして寸足らずだった!という事故が防げる。(2敗)
個人的には切る部分より縫う部分に印をつけたいので、縫い代なしで型紙を切ることが多い。
②髪用の布を染める
早速余計な工程です。髪の毛の布がちょっとイメージと違って黄色っぽかったので、もうちょい緑がかって落ち着いた色に染めたい。
使うのはみやこ染めのコールダイホットってやつ。色はスプリンググリーンとグレージュ。
鍋にお湯を沸かし、目分量で粉を入れる。
布は水で軽くすすいでから均一に染まるようにしっかり鍋に沈める。
ムラ防止にたまに動かしつつ、30分ほど置く。
置いたあとは差し水をしてゆっくり温度を落としつつ、中性洗剤をちょっとだけつけて揉み洗い。
毛流れにそって軽く整えてから乾くまで干す。
毛足の長い布は毛流れに反して固まってる場合があるから、細めのブラシとかで整えるとなんかいい感じ。アイロンをかけるとなお良い。
③顔の刺繍をする
写真を撮り忘れたので途中経過が全然ない。
まずは刺繍シートにフリクションライナーで顔のデザインと型紙を書き写す。
できればパーツごとに違う色、かつ糸で埋もれてわからなくならないように寒色の場合は暖色で、暖色の場合は寒色で描いた方がいいかも。
今回はちょっと……やってないけど……
刺繍枠にはめる時は出来るだけピンと張るように、ちょっと引っ張りつつはめる。叩いた時ポンポンいうくらいがやりやすい。
刺繍枠にはめたら上の画像のように、顔の型紙に合わせて断ち切り線と縫う位置をガイドとして縫っていく。あとで切るので、裏とかは適当でいい。
これができたらいよいよ刺繍を始める。
途中経過を完全に撮り忘れたので完成品を見つつ刺す順番を書いていく。
順番が大事なのは主に色が密集してる瞳部分。
①上まつ毛 ②瞳真ん中のハイライト ③瞳下部の明るい色
④瞳の暗い色 ⑤白目部分(目尻側のみ) ⑥目尻 ⑦下まつげ
他の独立してる部分は合間にちょこちょこ挟んでいくと気分転換になったりならなかったり。
顔の刺繍をするときのコツとしては、表から裏に糸を通した時、目打ちや針で糸をピンと張ってヨレてる部分を直すことかと思う。
あとは結構みっちり刺せば、まっすぐ綺麗に刺せなくても密度があって見栄えもよくなると思う。
ただし刺繍シートが途中で千切れる可能性が高まるので注意。
途中で刺繍枠がゆるんで布がたわんできたな?と思ったら軽く引っ張って直す。地道に頑張る。
ちなみにあとから出てくるけど裏面はそんなに綺麗にできていないです。
それでいいのだ。
④髪の刺繍をする
また画像を撮り忘れている。
今回は髪を捲れるようにかつ、ハネっ毛の表現が貼り付けだと難しそうだったので前髪だけ独立して刺繍をした。
刺繍の手順自体は顔と同じだが、
髪のみを縫う場合は前髪の垂れている部分をある程度形に合わせて切っておくと良いかも。これは前髪を顔の布に刺繍する時も同様。
上から、①刺繍シート ②髪の布 ③裏地の布or布製の刺繍シート の順で重ね、ずれないように慎重に枠にはめる。
顔と同じように型紙部分を縫い、刺繍部分もガイド線を縫い終わったらあとはひたすら刺繍をする。
線の折れ目ごとに区分けして、入り抜きのある直線をひたすら作っていくイメージ。
毛がはみ出してきたら、針で刺して裏側に押し込んでおく。
刺繍が完成したら枠から外し、上部分は型紙に沿って切る。
刺繍部分は刺繍糸を切らないようにはみ出した毛と裏地をすこしずつ切る。
これをやるなら小さい裁ち鋏を買うべきだった。反省している。
⑤ひたすら縫う
肌用の布に体の型紙を書き写す。
不器用なので縫う部分とガイド線はがっつり全部書く。
見ての通りの雑さであるが、書き写した外側の線に合わせて切る。
パーツごとちゃんとどの部位の左右どちらかわかるように分けておかないと後で痛い目を見るのでちゃんと分けるなり書くなりするべき。
そしてこれも半分くらい職場で縫っていたので途中経過の写真がない。
教本や動画のやり方を見つつ頑張ってほしい。
半かえし縫いとかいうやつでひたすら黙々と線に沿って縫う。
この型紙は結構ガイドの線が多いので、ガイドに合わせてクリップでとめる↠ガイドごとに少しずつ縫う↠クリップを移動するを繰り返して布同士がずれたまま縫ってしまうのを防止する。
人型のぬいは股の部分がかなり細かくて苦手だが、この型紙はかなり縫いやすかった。
見ての通り、刺繍部分の裏面はこんな感じでかなり雑。あと私は玉留めが死ぬほど苦手なので、ところどころめちゃくちゃになっている。
縫い終わったら、顔のガイド線を外してから綿詰め用の穴から慎重に表に返す。
表に返したら全部隠れるからそれで良いとあきらめるのが不器用なりのコツ。
⑥綿を詰めて綴じる
ぬいの綿はミチミチに詰める派なので、容赦なく隙間がないようにギチギチに綿を詰める。
ピンセットや鉗子、目打ちなどで手先足先にもまんべんなく綿がいきわたるよう、親の仇くらいぐさぐさ刺しては新たな綿を足していく。
この辺は好みの問題だと思うが、本当にパツパツになるまで詰める。
綿を詰め終えたらコの字綴じで綿詰め穴をふさぐ。
これ本当に苦手だけど、雑でも糸をしっかり引っ張ると目立たなくなる。
カーブ針なるものもあるらしいので、コの字綴じ苦手民は買うといいかもしれない。
穴をふさぎ終えたところで縫い目にアイロンをかけてある程度チャコペンを消した。
あとでまた綺麗にしよう……
⑦ひとまず完成!
可愛く出来たのではないでしょうか。もみもみして顎まわりや体形も整えるとなお良い。
完走した感想ですが……
ぬいって頑張れば丸4日くらいで出来るんだな、と思った。
12月中今のところ半分以上寝込んでてかなりのデスタイムアタックになったのだが、みんなも体調には気を付けて病み上がりに夜更かしをして飲み会に参加するのはやめよう。本当に。
ぬいを作るハードルを下げられたらいいなと思って書いたので、既にぬい作りをしている人には参考にはならないと思うが、
器用ではないからと足踏みをしている人がこれを足掛かりとして、おおざっぱでもやってみれば案外出来るんだな~と思ってくれたらとても嬉しい。
服はまた後日、備忘として記事にするかもしれない。
wawaちゃんは服用の本を出してるのでそちらを参考にしつつ……
また何かの機会にこうして自分のやっていることをまとめていくので、
気が向いたら見てやってください。