ARA2E 大規模戦闘デザインのテクニック その4 《ソロエネミーは再配置対象外》
大規模戦闘のうち、特にエネミーと戦う通常の戦闘部分について一つ扱いの難しい問題があります。それは本陣にいる敵将を強襲する、いわゆる暗殺戦略をどう捉えるかということです。
多くの場合、敵将が戦闘不能になることは大規模戦闘の勝利条件の一つに設定されているでしょうしフレーバー的にもそれが自然です。しかし敵本陣への攻撃は突出ないし戦線崩壊からの遠距離攻撃がほぼ必須となり高リスクの行動となります。開始ラウンドに敵のボスが《リゼントメント》と投擲武器からの《ボルテクスアタック》によって頓死してはたまらないので敵将はそれ相応のHPを持っているでしょう。つまり暗殺戦略はお膳立てに手間がかかる上に成立するかどうかは運次第となるのです。
一度きりのセッションでこのリスクを負えるプレイヤーはそう多くないので、適切にデザインされたアリアンロッドの大規模戦闘において暗殺戦略が採られることは基本的にまずないでしょう。
もちろん敵ボスを倒してほしいシチュエーションなら話は別であえてボスを前線に配置したりすることも有りえます。今回はそういう場合ではなく、本陣に敵将がいてそれを倒すことなくFS判定の完了で勝つことを前提とした大規模戦闘の話とします。
敵将が強襲されて頓死する可能性はあまり問題として取沙汰しなくても良さそうだということが分かりましたが、これによってもう一つの問題が浮上します。上にも出てきた《リゼントメント》などの「必殺技」は敵将に撃たないのなら誰に使えばいいのかという問題です。
現実的には敵の副将やそれがいない場合は比較的強そうなソロエネミーということになるのでしょうが、エネミーは毎セットアッププロセスに再配置されるためこういった必殺技の対象としてはカタルシスに欠けます。そこでソロエネミーはNPCは再配置されないルールに準じて再配置されないエネミーとしてしまうことにします。戦闘における実質的なボスの役割をこういったソロエネミーに移譲するわけですね。
アリアンロッドにおけるソロエネミーとモブエネミーのデータ上のデザイン空間の差はそれほど大きくありません。トループリーダーだろうとスナイパーだろうと倒された時に再配置したい場合はモブエネミーに、再配置したくない場合はソロエネミーとしておけばいいのです。
再配置されないエネミーを倒すことはその2で話した行動後のメリットの変化で言うならば「戦闘を行って戦闘のメリットが減る」変化となりますが、プレイヤーには強敵を倒したという純然たるプラスの報酬が残るのでモチベーション的にも問題がなくむしろ正着の変化に好影響をもたらすことができます。
ex.
敵将が魔法使いを多数引き連れているという設定だったので中衛に配置していたソロエネミーの魔術師をモブエネミーに作り変えた。
敵将以外に名有りのNPCを出すつもりがなかったがモブエネミーのうち一つを〇〇エリートという名前のソロエネミーに作り変え中ボスをやらせることにした。
特に何もないけど投げ銭できます。