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木質セルロースとプラスチックの融合

日本の化学各社は、脱プラスチックやカーボンニュートラルへの対応に尽力していますが、単独技術だけでなく、天然素材を扱う他業種とのコラボレーションが進んでいます。
その事例をまとめましたので、紹介します。
技術確立し、普及が広まれば化石由来資源に頼らず、カーボンニュートラルに大きく貢献できる可能性があり、ワクワクする内容です。

木質バイオマスも間伐材などを活用すれば、サステナブルな技術にもなりそうです。

具体例

日本製紙 x 三井化学

木質バイオマスのセルロース繊維を主原料とする新たな成形材料の事業化に向けて連携すると発表しています。
取り組まれる新材料は、「バイオコンポジット」と呼ばれ、セルロース粉末を50〜80%の比率でポリプロピレンへ配合し、化石資源の利用を減らせる素材。

三井化学㈱ ホームページより

三菱ケミカル xリングローブ

三菱ケミカル㈱が植物由来の複合材「エコア」を製造・販売するリングローブ社(米 カリフォルニア)に出資すると発表されています。
エコアは亜麻などの天然繊維と樹脂との複合材で、成形性や耐久性にも優れており、写真のような木材のような見た目でありながら木材やラミネート材、プラスチック材、金属の代替として使えるサステイナブルかつCO2削減に貢献可能なカーボンネガティブな素材になるようです。鉄よりも比重を高めることができるようで、強度も強く、見た目も美しいまさに夢のような素材です。

ringrove社より

住友化学


欧州企業と独自の木材由来の再生ポリプロピレン材料を開発しています。

住友化学㈱ ホームページより


旭化成

セルロースナノファイバー(CNF)の開発をされています。
元々、ベンベルグという商品で廃棄されるコットン種子の周りのうぶ毛(コットンリンター)を原料に植物由来の製品を生産しています。
CNFにポリアミドなどを配合することで、強度のある複合素材ができることを発表されています。
ポリアミドもバイオマス由来に向けて動き出しているそうです。
摺動性や強度が高いため、ギアなどにも適用できる部材になることが期待されています。

メリットは?

これらの材料に共通するのは、ライフサイクル全体で温室効果ガスの排出削減に寄与するということです。
カーボンニュートラルのその先のカーボンネガティブということも視野に入れられています。
天然素材を使用しているにも関わらず、成形性は一般的な混練性は同等で、工業材料として使い勝手が良いとのことです。
また、セルロースを配合することで強度を高め、薄肉化により軽量化にも寄与でき、自動車や航空機の燃費を改善も期待できるようです。

天然繊維とバイオマスプラスチックとの組み合わせが可能となれば、さらに化石由来原料の使用比率下げられる期待もあり、今後のゲームチェンジャーになる可能性もあります。
課題は天然素材ゆえの組成の不均一があり、これをどのようにコントロールしていくことと考えます。

背景にはデジタル化によるペーパーレスが進む中、木材会社や製紙会社として新たな活用を検討された結果、今のコラボレーションがあると考えています。

COVID-19影響による生産量減少が目立つ

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