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富谷雄一郎~再就職支援サービス現場の優しき門番~【私の職務経歴書】

こんにちは。LHH Branding & Marketing部の木谷です。LHH Japanの”人”に焦点をあて、紹介していく【私の職務経歴書】シリーズ(不定期更新)。
記念すべき初回は、様々な人財サービスを提供するLHHにおいて『再就職支援(Career Transition & Mobility)』部門のエンゲージャー(engager)として活躍される富谷雄一郎さんにお話を伺いました。


profile

富谷 雄一郎(Yuichiro Tomiya)
LHH Japan CTM/LD部 オペレーション&クオリティ課 Sr. Engagement Specialist
2020年5月より現職。LHH Japan初のエンゲージャー(engager)として再就職支援サービスの利用を検討している方向けのキャリア相談に対応している。

経歴

富谷:キャリアの中では人財業界が一番長く、前々職では再就職支援サービスの法人向けの営業職、前職では医師向けの転職エージェントで、キャリアアドバイザーをしていました。
医師の方の転職に関わることは社会貢献性も高く、充実していたのですが、自身のキャリアの締めくくりが見えてきて、この先を考えたときに、もう一度再就職支援に携わりたいと考えて、その時に求人が出ていたLHHにjoinを決めました。

ーー他にも人財サービスがある中で、再就職支援に戻った理由は何でしょう?

富谷:再就職支援だと、より腰を据えて1人ひとりのキャリアと向き合うことができるからです。超売り手市場で、スピード感が求められる世界は一度経験したので、キャリアの方向性についてじっくり話したりだとか、声がかかりやすい職務経歴書やLinkedInのプロフィールをつくるためにはどうすればいいか一緒に考えたりとか、一つ一つの工程に時間をかけることが必要な再就職支援の現場で、個人の転機に関わりたかった。

ーー利用者が次の職を得るために、より”作戦”が求められるといったことでしょうか。

富谷:再就職支援を利用される方の年齢は20代~60代まで幅広くいらっしゃいますが、中でもボリュームゾーンは40~50歳以上の方。昔より40代以降の方にも転職の道は開けているとは言え、一社でずっと経験を積まれてきた方もいらっしゃり、どう自身を売り込んでいくか、どんなキャリアを描いていくか、といった戦略が必要になります。

それに加えて、再就職支援は、個人の転機でもあり、企業の転機でもある。喜んで早期退職を募ったり、ポジションをクローズさせる企業はなく、痛みを伴って再就職支援を必要とするわけですから、その企業と個人、両方に誠実に課題解決思考で向き合える、再就職支援に魅力を感じたんです。

再就職支援とは

ーーここで一度、再就職支援について教えていただけますか?

富谷:もちろんです。再就職支援とは、従業員の方々が会社都合で退職する際、新たな職や進路にスムーズに着地できるよう、転職や再就職を支援するために企業が従業員に提供するサービスです。
人材紹介(転職エージェントなど)の場合は、採用企業が人材紹介会社に報酬を支払いますが、再就職支援は、出身企業が再就職支援会社に報酬を支払うのが特徴です。

ーー会社都合とは、企業の事業再編(リストラクチャリング)に伴う、部門やポジションのクローズのことでしょうか。

富谷:はい、会社から退職パッケージの提案を受けて、退職を決断することです。また、再就職支援サービスは企業間の契約です。だからこそ、再就職支援を利用するかどうかは従業員の方に委ねられます。

ーー利用は強制ではないということですね。

富谷:そうです。もちろん、自力で転職活動をされる方もいらっしゃいます。

LHHでの呼称、CT&M(Career Transition & Mobility)に込められた想い

ーーLHHでは、「再就職支援」のことを「Career Transition & Mobility」と呼びます。ここにはどんな想いがあるんでしょうか。

富谷:「再就職支援」を単純に英訳すると"Outplacement"なんです。これでも意味は伝わるんですが、これは会社側から見た言い方です。従業員を外部に配置する、という。
LHHは、個人のCareerのTransition(転機)をサポートする、という利用者の側から見た世界を大切にしていて、より個人に立脚した言葉を使う、という意図で、サービス名称が”Career Transition & Mobility”なんです。

ーーアデコのビジョン「人財躍動化を通じて社会を変える」ともつながる、LHHらしい考え方ですね。

LHHでの仕事内容

ーー富谷さんは今「エンゲージャー(engager)」として働かれているとお伺いしています。日本ではまだ耳慣れない職種だと思うのですが、どのような仕事ですか?

富谷:実は海外だと普通にある職種なんですよ。
メインの仕事は、再就職支援サービスを利用検討している方へのキャリア相談の実施です。1対1でお話をお伺いして、サービス内容の説明をしつつ、その方に合ったキャリアに関するアクションを提案します。

ーー行動しだすと前に進めているという実感もあって、不安が減りますものね。

富谷:ただ、一番大切にしているのは、こちらが沢山話したり提案することではなくて、「受け止めること」「過度な不安を取り除くこと」です。

相談に来られる多くの方が、意図せずキャリアの転機を迎えることになったという点で皆さん共通した事情を抱えています。たとえば外資系企業に長く勤務し、このようなシチュエーションに触れる機会が多くあった方であっても不安な気持ちは同じです。
最初はまだ気持ちの整理が付いていない、と暗い顔だった方から、相談の最後に「元気を貰いました」と言っていただくこともあって、それが励みです。

仕事をする上でのポリシー

ーーまさに相談者の方をエンゲージしている富谷さんだと感じました。このお仕事をするうえで気を付けていることや、モットーはありますか?

富谷:自分自身がオープンな人であること」です。
凝り固まって、「絶対こうだ」って価値観を押し付けるのではなくて、相手が話しやすい、この人になら何を言っても大丈夫、と感じる人でないといけないと思っていて。

ーーどんな悩みや考えが来ても、入り口を開けておく、ということでしょうか。

富谷:そうです。相手を受け止めるために、オープンでありたい。それは、どんな方が来ても臨機応変に対応するということでもあります。

もう一つは、「気持ちの状態をフラットにすること」です。自分自身が浮足立っていたり、逆に沈んでいたりすると、相手の気持ちを受け取るセンサーが鈍ってしまう。

ーー確かに、自分が落ち着いていない時に友人から相談を受けると、うまく受け取れないことがあります。

富谷:だから体調も含めて、「いつもベストコンディション」に整えるようにしています。
そういう意味ではアスリートに近いかもしれません。
一日に5名の方とお会いする日もありますが、パフォーマンスの質を保つために、相談と相談の間には必ず10分以上時間を空けてリセットする等の工夫もしています。些細なことかもしれませんが、そうじゃないと良いセッションにならないんです。

ーー細かな工夫の積み重ねが、日々イレギュラーが起こるビジネスの場で「いつも通り」を保てる秘訣だと感じます。

現在の再就職支援サービス市場

ーー2024年の今、再び早期退職を募る企業が再度増えていますが、富谷さんから見た市場について教えて下さい。

富谷:以前は経営状況の悪化から、泣く泣く最後の手段として、人員削減をして再就職支援サービスを利用するという世界でしたが、今は業績に関係なく利用する企業もあるといったように市況が変わってきました。

企業は競争に勝ちぬくために、スピード感を持って社会に求められる形に変化し、成長していかないといけない。その変革の際、事業が変われば企業が必要とする人財が変わることがあります。本当の意味での”Restructuring”(事業の根本的な部分からの再構築)です。

個々人を見ていくと、現在所属している企業では役割を終えたかもしれないけれど、他社からしたら採用したいスキルを持った方がいらっしゃいます。
また、社会と企業が変化すると、私たち働き手に求められることも変化しますよね。例えば、インフルエンサーマーケティングという職種は昔はなかったけれど、必要とされて生まれた職種です。逆に、AIの登場等によって、なくなっていく仕事もあります。

企業が人財のポートフォリオを社会の変化に合わせてスピード感をもって変えていく必要がある時代になったからこそ、再就職支援サービスニーズの高まりが起こっていると、現場からは感じます。

記事を読んでくださった方に伝えたいこと

富谷:再就職支援サービスは個人にとってセンシティブなものであると同時に、喜んで人員削減をする企業はなく、企業にとってもセンシティブであるということです。
Career TransitionのTransitionは転機という意味ですが、個人と企業、両側の転機を支える事業である、ということは今一度お伝えしておきたいです。

ーー富谷さん、貴重なお話をありがとうございました!

編集後記

自身が意図していなかったタイミングで、急遽次のキャリアに続く新しい門をくぐることになった方に門を開け、話を聞き、道案内する優しき門番、富谷さん。
ごくごく自然に、相手の状況を織り込んでお話をされる方で、今回も再就職支援サービスについて詳しくない私の立場でお話をしていただきました。
考えながら話す私の言葉を待ち、聞き、否定せず受け止め、そして甘い希望的観測は交えず誠実に返してくださる。だからこそ、富谷さんの言うことは信頼できる、と感じる相談者の方は多いのではないでしょうか。

写真を撮る際、「笑ってください~」とリクエストすると、「写真はあんまり得意じゃないんです…」と言いながら、お顔をムニムニとマッサージ。チャーミングでありつつ、こちらの要望に応えようとして下さる優しさをここでも感じました。

お話を聞く前は、再就職支援というサービスは、普段はあまり表に出てこないものであり、万が一の際に緊急的に使用するサービスだと思っていました。
けれどインタビュー後には、時に企業が大胆な手段をとって形を変え、事業の継続や成長を図らなければならないように (本来の意味での”Restructure”)、人財も今求められる自分に自分をトランジションさせ成長する必要があること、そしてLHHの再就職支援サービスはそういった方々を力強くサポートするためのプロフェッショナルなサービスである、と認識が変わりました。

再就職支援サービス、奥が深いです!

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