太鼓を打つ腕の動かし方①てこの原理
いよいよ太鼓を打つ時がきました。太鼓の真ん中を打ち抜くイメージです。実際いい音が鳴るかどうかはバチが太鼓の皮にたいしてどのような角度で降りてくるのかが影響します。さらには、この後出てくる大きな壁、それは手が回ると表現しますが、早いリズムに対応出来るかにも関係してきます。バチのあげ方、下ろし方は音にも速さにも効率的でなければなりません。
すこし話がずれますが、皆さんはてこの原理が分かるでしょうか。支点、力点、作用点という小学校の理科の授業でならったあれです。太鼓のバチの動きにもこれが当てはまります。
腕と手首と手、バチが一直線であった時、支点は「肘」になります。祭り囃子の太鼓は教本によれば目よりもバチ先をあげないとあり、実際でもそれほどおおきな振りかぶり方はしません。そうなると、前腕を動かす支点は「肘」となります。(誤解の無いように補足をすると、肘が全く動かないわけではありません。肘を動かしているのは上腕であり、その支点は肩となります。)
では、作用点はどこでしょうか。言わずもがな、太鼓を打つわけですからバチ先ということになります。支点は動かず、バチ先に大きなエネルギーを与えます。ではエネルギーの源である「力点」は?
肘を動かさず、前腕を上下するときに、一直線であるバチの先は一番大きく動くこととなります。そう「力点」は前腕ということになります。バチの先を動かすことで太鼓を打つのですが、実際に力をいれているのは前腕であることが分かります。
では、肘を支点として力点である前腕を動かし、作用点(バチ先)を動かし太鼓を打ってみてください。いい音がするのでしょうか。そう、ならないんです。てこにより動く距離は多くなる一方で、スピードは反比例することとなります。太鼓に必要なのは大きな動きとともに打ち抜くスピードが必要になるのです。それをカバーするのが「鞭の動き」です。次回は、鞭の動きを説明します。