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鈴野広実からティーヌさんへ #LGBTQA創作アンソロジー リレー日記

皆様こんにちは、はじめまして。鈴野広実と申します。
このたびのLGBTQAアンソロジーでは、なんと恐れ多くも、拙作「灯火」がいちばん最後を飾らせていただきました。
今回またこうして、アンソロジーの執筆者として文章を発信できることを、とても嬉しく思います。

1.近況

筋金入りのオタクなので、現在ハマっているジャンルがそのまま近況です。
現実が無理なので、現実とフィクションをわざと混同して、それを頼りに生きるタイプのオタクです。最近知った用語ですが、フィクトロマンティックというやつかもしれません。
最近は主に、ウルトラマントレギアと歌仙兼定(刀剣乱舞)のおかげで生きています。

トレギアさんは悪役ウルトラマンなのですが、光の国、というウルトラマンたちの故郷の星にあって、自明とされている「光」が、理解できなかった人なんです。そして理解できないからこそ、光とは何かを問い続ける。光しか見ようとしない人々に、厳然と存在する闇を見せつける。
その姿に、さながらシスヘテロ至上主義の世界に生まれてしまったマイノリティ、のようなものを勝手に重ねて、シンパシーを感じています。ウルトラマンはたくさんいますが、きっと自分を見てくれるのはあの人だけで、なんならあの人の在り方は自分そのもの、とまで思っています。

また、歌仙兼定だけに限らず刀剣男士たちにハマっているのですが、彼らはあくまでも「刀剣の付喪神」であり、人間の男性ではないんです。だから、私の勝手な解釈では、彼らには身体の関係という概念がありません。身体のことを考えずに、心行くまで、恋人に限らないさまざまな親密さを妄想しては楽しんでいます。

近況といいつつただのオタク語りですが何卒ご容赦ください…
あ、小説も書いています。初めての長編を書いてみよう!と思ってから約3年、6万字弱の小説が、ようやく完成しそうです。

2.自作解説

最初の着想は、劇場版おっさんずラブからでした。というわけで、ここでもまずオタク語りをすることになってしまいますが…

おっさんずラブ、大好きです。単発から連ドラ、映画、シーズン2まで、全部美味しくいただきました。サントラを聞いて余韻に浸る日々です。
作品に関しては、確かに現代日本でゲイが生きる困難さを直視していないという声もありますが、それを差し引いても、すごく好きです。きっとあれは、ほんの少し未来のユートピア日本、だと信じたい。
自分が特に好きなのは、男女関係では時に身体接触描写を以てなあなあにされがちな、好きとはどういうこと?というのを、丁寧に描いてくれたことです。それぞれの登場人物によっても、また同じ「春田」という主人公にとっても物語によって少しずつ異なる、「それぞれの好きのかたち」が詰まっているから、愛のある作品、と呼ばれるのだと思います。それと同時に、恋愛以外の人と人との関わり方も、恋愛より上でも下でもなく、ただそこで愛おしむものとして描かれているのも好きです。
加えて、そもそも男性が恋に仕事にドタバタしてる姿を描いた、というのが、旧来的な男性像ではないな、新しいな、と思っていました。男らしさとか強さとか、そういうの、いいから、と言っているようで。男性に限らずですが、登場人物たちがみんな、性別や年齢を脱いだ、「一人の人間」として精一杯に生きていて、みんながみんな、真心でぶつかっている愛の話、だと思っています。

…脱線がひどいですね。自作解説です。
「灯火」の前半のイメージは、2018ドラマ版の後半にて、春田が牧の実家に挨拶に行ったところです。お母さんと妹は歓迎してくれるけれど、お父さんはそうではない、という部分も、重ねています。春田と牧、二人の愛情は大好きなんですけど、そもそも結婚するのに家に挨拶行かなきゃダメですか!?ってところに引っ掛かってしまって。二人の意志で二人で生きたいって決めようとしているのに、そこで家族出してくるー!?って思って。
そりゃもちろん、全ての同性愛表象が異性愛規範へのアンチテーゼとして気を張る必要はないですけれど、せっかく男性同性愛=女性が入らない関係なんだから、そんなところで、「娘を嫁にやる」的な家父長制を模倣しなくても!
しかも、現状では法律婚ではないわけですから。もちろん変わるべきだとは思いますけど、今のところは、戸籍や名字が変わるわけではない。だから余計に、実家関係なくない!?って思ってしまって…。いやまあ法律婚できるようになったとしても、どこかの自治体でパートナーシップを結ぶにしても、実家は関係なくないですか…。
と、上記のような違和感から、由香理の実家を描きました。そういえば、交通事故に遭ったのになんともなかった、というイメージも、ドラマ版で、春田が鉄骨の下敷きになったのに無傷だった、というイメージから来ているような気がします。

そして後半は、劇場版での牧母のセリフへの強烈な違和感を原動力にして書きました。牧の実家に行った春田が、牧父に別れてくれと頼まれた後、牧母が春田にフォローを入れる場面。お父様は男同士ってのを気にしてるのかな、と悩む春田に、牧母は、そんなの関係ないわよ!と一蹴します。
何の邪念もなく見たら、良いシーンなんですけどね。でも、結局は、誰かを好きになることは素晴らしい!っていう前提ですよね?って思ってしまうともう、ウワーーーっとなりました。もう相手が同性でも異性でもいいから好きになれ、ってことですか!?みたいな。
結局、同性愛の受容のされ方ってこれなんですよね。好きになるのは素晴らしいこと、という前提で、その相手は問わないよ、っていう。誰かを好きになりなさい、という前提があまりにも大きすぎて、その相手がどんな人かなんて気にしないよって言われたって、小手先の多様性にしか見えないのですが…。
というわけで、その牧母に相当するセリフを作中の父に言わせました。でも純果はその父こそを家族として愛している、という、絶対に報われないエンド。そのあとに少し前向きになって終わるのですが、ハッピー100%エンドにするのは自分はやりたくなくて、あくまで、ままならないことをままならないままに、慈しみ、苦しみ、生きる物語が書けたらいいなあ、と思っております。
主人公の純果という名前が、連ドラシーズン2の主題歌アーティストsumikaと重なったのは、全くの偶然です。「時々起きては眠ってね」ってすごい歌詞ですよね…。

3.作業環境

アンソロジーの原稿は、大学時代から長年連れ添ったLet’s noteや、同じく大学の講義にも大活躍してくれたpomeraで書いていました。
2月に念願のSurfaceを買いまして、今は、写真のような状態で作業をしています。Surface純正のBluetoothキーボード、一枚板のような美しさで、打鍵感も最高です。

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執筆時間は、毎朝仕事に行く前の30~60分。朝を聖域の時間とすることで、どんなに仕事が忙しくても書けるようにしています。もっとも、アンソロジーの〆切近くは、帰宅後も必死に書いていました。

執筆BGMは、最近は雨の音です。アンソロジー執筆当時は、波の音×オルゴールがお気に入りでした。こないだの梅雨の時期、やたら調子がよかったので、これは雨の音が自分に合ってるのでは?と思って執筆BGMを変えたのですが、これが大当たりでした。水泳をやっていたこともあってか、波や雨など、水の音に親和性が高いようです。


小説の作り方は、まず短いあらすじ文を書いた後、人物の設定を決めたり、入れたい要素を紙に書きだして並べたりして、場面①からシーンごとにプロットを作ります。長いものだと、Excelに季節や各登場人物の心情などを整理することもあります。好感度70→80、なんて書いたりしてますが、本文執筆時にそれが役に立っているかは微妙です。
「灯火」のプロットは、昨年の8月、帰省中の実家から逃げ出したカフェでほぼ一気に完成しました。あのときはノリにノッてましたね。

4.宣伝、お題

上述のとおり、一人で3年かけて長いものを書いているので、今お見せできるようなものは残念ながらあまりありません…
オタク活動としましては、noteにて、しち面倒くさい感想や考察ばかり書いています。もし気になるジャンルがありましたら、覗いてやってください。

そしてここに来るまでに、次の人へお題を出すのが恒例になってきたようですね。
めぐるさんからいただいたお題は、「おうち時間を共にする飲み物」でした。
これはもう、コーヒー一択です。朝、昼、休憩時間と、1日3杯は飲みますし、なんなら夜にもノンカフェインで飲みます。
家にあるのは、普通のコーヒー粉、ノンカフェイン、牛乳に溶かす用のブレンディの粉、ブレンディスティックとかのいろんな味のやつ、果ては牛乳や水で割るラテの原液みたいのまで…さらに、ドリップの作業をしてくれるだけの簡易的なものですが、コーヒーメーカーもあります。
しかし、調子に乗って一気飲みでもしようものなら、確実に腹痛を起こすので、ほどほどを心がけています。

次はティーヌさんへバトンをお渡しします。
ティーヌさんに聞いてみたいことは、「自宅で一人でできる気分転換法」です。
すでに同じテーマが出ていますが、やっぱりこのご時世ですから、いろんな方の気分転換法をぜひ聞いてみたいと思います。

すみません、思うがままに書いていたら、こんな長さになってしまいました。
ここまでお読みいただきありがとうございます。
そして、ティーヌさん、次の日記をよろしくお願いいたします。

鈴野広実


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