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B青年のGo遊旅行(21)

いよいよ今回が感動のない最終回となります。
長らくお付き合いいただきありがとうございました!

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香港は正味4時間程度の滞在となる。
観光地を巡ることはできないので、買い物をすることにした。スニーカーを扱っている店が多く固まっているエリアがあるとのことで面白そうだ。ホテルからちょっと遠いが市内観光がてらそこまで歩くことにした。

それにしてもここ香港は、昨日までいたオーストラリアとはあまりに雰囲気の違う国であった。
まず人が圧倒的に不愛想である。店に入っても店員は笑顔の1つもない。皆怒っているように見える。オーストラリアのように「はあーい!」などと気安く声をかける雰囲気は微塵もなかった。何だかこっちにまで不機嫌が伝染ってしまうようで、目つきが鋭くなってきた。
そして街も圧倒的にせせこましい。道の両側はビルで細かく埋め尽くされており空は狭い。道は車と建物の看板で埋め尽くされている(99%は日本車である)。その車は人を虫けらぐらいにしか思っていないのか、ビュンビュンと人の間をすり抜けていく。人も人で空いていれば赤信号などお構いなしに道を渡っていくのである。
騒音もすごい。耳を澄ませていると世の中の音という音が全て聞こえるようであった。
俺は生まれて初めて都会に来た田舎の青年の心境であった。軽くめまいがした。

まるで悪口ばっかり書いているようだが、これは人の好みの問題でもあり、確かに活気があるといえばそうである。このゴチャゴチャ感は好きな人にはたまらないと思う。
それに食べ物はおいしかった。昼食に立ち寄った店は、屋台に毛の生えた程度の雰囲気であまり期待はしていなかったのだが、青椒肉絲定食とラーメンのセットはおいしかった。パンばっかり食べてきた体に油がしみわたる。
本格的な店で食べればもっとおいしいのであろう、この時ばかりは目つきも和らいだ。

スニーカー街は旺角と言うエリアにあった。
通りに入ると、Nike、adidas、PUMA、K-Swiss、asics、CONVERSE、L.A.GEARといったブランドの看板がぎっしりとぶら下がっている。
ざっと見る限り靴屋だけで何十件もあるであろう。スニーカー好きならこの光景を見ただけで失禁ものである。
散々迷った挙句adidasの$649のスニーカーをを買うことにした(1HK$=15円)。これでも日本で買う価格の半分ぐらいである。さすが安い。
スニーカーを買った俺は空港へ向かった。香港でやったことといえばこれくらいである。
オーストラリアとのギャップがあまりに大きくちょっとビビってしまったが、観光地は全く巡っていないので、また来たいと思った。

機内アナウンスがまもなく大阪伊丹空港に到着することを告げる。
やっぱり日本に帰りたかったのだろうか、気が急いてきた。
日本は当たり前だが寒かった。でも日本の空気だ。冷たい中にもほっとしたものがあった。
既にとばりの降りた大阪の街の灯が目に優しい。そう、一回り大きくなった俺は再び祖国の地を踏みしめたのであーる。

これでこの旅行記をカッコよく締めたいところであるが、財布!旅の初日に財布を無くしたという事実は変わらない。
余韻に浸る間もなく、慌ただしく航空会社や警察を回って確認したが、届いていないということであった。
仕方なく遺失物として届ける。
旅を終えた満足感も何だかしぼんでしまい、ちょっと暗い気持ちで俺はとぼとぼと京都の家に戻った。
家に戻ると留守番電話のランプが点滅していた。2週間もいなかったのだからメッセージは溜まっている。
1つ1つ聞いていくと、聞きなれない女性の声が。財布を売店で預かっておりますとのことであった。

終わり良ければすべて良し、だ。


(終わり)

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