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福島ユナイテッド2024備忘録⑧【誰が出ても福島】
リーグ中盤~終盤へ-一体感
いつもなら失速してもおかしくない展開。
そんなベストメンバーが組めない期間もベンチメンバーが精一杯期待に応え、大崩れすることなく持ちこたえる。
矢島、清水、長野、吉永、宮崎、粟野、山本などが遜色のないプレーぶりでこれまでのサッカーの質を落とすことなくここまでのユナイテッドのスタイルを体現して見せた。
これにより勝ち点を落としそうな試合もだいぶ拾えている。
特にクラブが最高観客動員数をかけた北九州戦ではユナイテッド史上最高に美しい崩しと言っても過言ではないプレーを途中出場の清水が完結させている。
この試合、クラブ記録を打ち立てるべく駆けつけたファン、サポーターは5471人。
過去最高観客動員達成だ。
だがそれは裏を返せば選手達は厳しい好奇の目に晒されるという事だ。
ちなみにこの時J3リーグは3位以下が大混戦。
プレーオフ圏内を目指し11~12チームがひしめき合う超混戦模様となり、1ポイントでも勝ち点を逃せばあっという間に二桁順位まで後退するほど熾烈な争いが繰り広げられていた。
実質毎試合6ポイントマッチである。
この試合の相手北九州もその一つだ。
しかもアウェイで苦杯を舐めておりシーズンダブルは許したくない。
様々プレッシャーがかかる中、ゴールへのプレッシャーは時間を追うごとに重く選手の肩に脚にのしかかる。
タイムアップまであと数分、引き分け濃厚な雰囲気が漂い始めた87分。
アタッキングサード右寄りでボールを受けた大関が矢島、城定と編んだ美しいパスワークから、折り返されたボールの先で潰れた長野のさらにその向こう。
飛び込んできた清水一雅の劇的ゴールが勝利を手繰り寄せる。
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この試合でサポーターだけではなくそれまでどこか距離を置いていた福島のサッカーファンの心もぐっと惹き寄せたように思う。
そして課題になっていた3バック対策も兼ねてか、終盤の福島ユナイテッドはさらに戦術を尖らせていく。
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