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MtF大学生が女性ホルモン治療を受ける話/GRC通信8月号

23歳になりました。性違和を感じ始めてからそろそろ人生が半分を迎えそうです。
私はトランスジェンダー女性です。中学生の頃から自分に性違和感、男体に対する嫌悪感を抱き始め、そう名乗るようになりました。しかし23歳になったこれまで、医療機関による治療を受けていませんでした。
やっぱり治療は早いうちから始めた方がいい!ということで、今年の5月から女性ホルモン剤による治療を開始しました!
まだまだ4ヶ月目ということで経過途中ではありますが、今回は治療がどんな感じだったか、何か変化はあったのかを当事者本人の言葉でお話ししようと思います!

注意!
ここから先、実体験を包み隠さずお話しするので、痛い話、身体の変化に関するリアルな話、いくつか出てきます。苦手な人はブラウザバックを推奨します。見る人も覚悟を決めてからどうぞ。

まず今回治療にあたりお世話になったクリニックのご紹介。
ひとつは天王寺にある「そんメンタルクリニック」さん。こちらは名前の通り心療内科・精神科・メンタルケア科ですが、毎週水、金曜日にはジェンダー外来も行っており、診断を受けることができます。来院者との問診や心理テスト、血液検査等を行い、性別適合の治療許可を発行してもらうことができます。

もうひとつが心斎橋の「フクダクリニック」さん。こちらは一般内科、ペインクリニックであり、注射による治療を専門としたクリニックです。こちらではMtF、FtMへのホルモン治療も行っており、初回の問診後からは定期的なホルモン剤の投与を受けることができます。

先に言っておかないといけないのが、今回紹介したこちら2点のクリニック、治療許可の判断が非常に甘いです。回数を積めば誰でも治療を受けられる反面、自己判断、自己責任の部分が非常に大きいです。この記事を読んで興味を持たれた方も、本当にしっかり検討して診断、治療にあたってくださいね。

話を戻しまして、私は「そんメンタルクリニック」さんにて数回の診断を受けたのち、現在「フクダクリニック」さんにて2週間に1度、ホルモン剤の摂取を受けています。
投与しているのは「プロギノン・デポー」という卵胞ホルモン剤。これを2A、お尻の筋肉に打ちます。
これ、毎回誤差はありますがめちゃ痛いです。ひどい時はその後赤く腫れ上がって座るのもしんどくなります。打つ場所は肩かお尻かで選べるらしいのですが、なんと肩の方がお尻より痛いとのこと。ホントに?これ以上の痛みが肩に残ったら動けなくない?
投与した箇所から1日ほどでホルモン剤が体に回り、次第に腫れは引いていきます。

それでみんながやっぱり気になるのはその効果ですよね。ここからは治療を通して変化があった点、予想と反してあまり変化が表れなかった点を順に述べていきたいと思います。
・胸のサイズ
よく言われる話ではありますが、本当に胸が大きくなります。とはいえサイズは微々たるもので、乳腺の発達により乳輪付近が盛り上がる程度でした。男体は鎖骨〜胸骨が女体に比べて幅があり、胸囲も元から広いので、軽く膨らんだ程度ではむしろ以前より不格好です。現実はエロ漫画ではありません。夢見んな。
話によると肉付きの仕方にも変化が現れるということで、今後は不足している脂肪が徐々に蓄えられるようになるらしいです。
・乳輪の発達
胸周りの話でいえば、乳輪にも早い段階で変化が訪れました。治療を始めてから1ヶ月程度の間、乳輪が刺激を感じやすくなりました。それも痛いほどに。服が擦れるだけで顔をしかめたくなり、生傷を抉られた時の激痛のような刺激です。言ったよね、夢見んな。
注射を打つたびに3日間ほど刺激を感じましたが、3ヶ月ほど経過した頃には感じなくなりました。これも乳腺の発達に身体が慣れてきた証拠かと思います。
・肌質
腕や足回りなど、一部皮膚が整ったように感じます。明らかな変化が個人で感じられたというわけではありませんが、肌質の変化も医師に言われていたので、少しずつ効果が出ているのかな〜と思います。
ただあまり変化が現れてないように思う部分がありまして、それが顔です。顔についてもきめ細やかになり、メイク乗りも変化すると言われていたのですが、今のところあまり効果が見られません。むしろ1番変わって欲しいんですけど。
・生殖器
元々多い方ではないのですが、並の男性と同程度だった精液が明らかに薄くなりました。性漿(せいしょう、カウパー腺液)のようなものしか出なくなります。女性ホルモン量の増加に伴って生殖機能が衰えてきているようです。このまま進めば男性器そのものの萎縮や勃起不全にも繋がると思います。こういう点もあるので、本当に熟考の上の摂取をお勧めします。
・体毛/髪質
ここまでホルモン剤の摂取で変わった点の話でしたが、ここからは未だ変化が見られない点も話していきたいと思います。
体毛や髪については減る、薄くなるという噂を聞いていたのですが、変化はあまり見られません。髪質もさほど変化したようには思えず、これはまだ治療が必要なのか、女性ホルモンのみでは解決しないのか、様子を見ることになりそうです。
・皮膚腫瘍
私は小さい頃からニキビ、吹き出物が出やすい体質でしたが、その点もあまり変わりません。肌質はいくらか改善されたように思う分、そこから発生する腫れ物の違和感がすごいです。
・うつ/イライラ
ホルモン量の変化により起こるのが、気持ちが昂揚したり凹んだり、落ち着きがなくなってしまう現象。これについては私が元から躁鬱の激しい人間なのでよく分かりませんでした。起きた嫌なこと全てをホルモン剤のせいにすることは出来ません。全てをひっくり返す万能薬ではないのです。

以上が女性ホルモン剤で変化した/してない思いつく全ての事象です。いかがでしたでしょうか?
ホルモン治療、性別適合手術は手段、ソースが未だ少なく眉唾な情報も多いです。これを打てば全てが解決というわけではなく、長い目で見た治療が必要なはずです。今回の記事はまだ経過報告でしかないので、凶と出るか吉と出るか、これからの治療に期待しています。
今回私の、生の患者の声が誰かの参考になれば嬉しいと心から思います。理想の自分、不快に思わない自分になるためのステップを一緒に踏んでいきましょう。

最後に、医学の進歩と機関の充実に心から感謝します。今回紹介させてもらったクリニックさん、いつもありがとうございます。これからも利用させていただきます。

👇紹介したクリニックのHPはコチラ

https://son-mentalclinic.jp
www.fukucli-5505.com/sp/

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