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【LFAメンバーズの履歴書vol.2】“子どもも大人も、みんなで考えて、みんなで楽しめる場所を” 子ども支援事業部 木村駿 さん

こんにちは!Learning for All 広報です。Learning for All で働くメンバーが、どのようにLFAと出会い、普段どんな想いで働いているのかを伝える【LFAメンバーズの履歴書】。今回は、「子ども支援事業部」で居場所づくりマネージャーとして活躍する木村駿(きむらはやお)さん!LFAにジョインしたきっかけや、活動の中で感じるやりがいについて詳しく聞いてみました。

子ども支援事業部 居場所づくりマネージャー 木村駿 さん

ーー 木村さんのポジションは、「居場所づくりマネージャー」ということですが、どういった仕事をしているのでしょうか?
木村:私は現在、板橋区での「不登校支援」と「居場所づくり」の取り組みを担当しています。「不登校支援」は「別室登校支援」とも呼ばれ、中学校内に教室とは別の登校場所を設け、子どもが安心して自分のペースで、学校に継続的に通えるようサポートしています。

「居場所づくり」は、板橋区と協力して進めており、区が提供する中高生向けのフリースペースを活用して、週に2日、その場所で中高生がより充実して過ごせるようにサポートしています。また、その中で困難を抱える子どもたちには個別のサポートも行っています。私は、マネージャーとして、これらの事業をスムーズに運営するのが主な役割ですが、子どもたちの声を直接聞くことが大切だと考えており、現場で彼らと過ごす時間をとても大切にしています。

ーー もともと子どもたちと接する仕事をしようと考えていましたか?
木村:大学生のころは法学部で、検察官や省庁での職に就くことを漠然と目指していました。しかし、自身がそこまで裕福な家庭ではなかったことから、教育格差の問題は、どうしても無視できない気持ちがありました。

転機となったのは、大学院時代に参加したLFAのボランティア活動です。最初に関わった中学校での学習支援では、校長先生が子どもたちにより良い教育環境をつくるために、学校独自でLFAと協力して進めていました。その結果、多くの子どもたちが学習の遅れを取り戻すことができました。また、校長先生の提案で、この学習支援が区全体の事業として全中学校で行われるようになったのです。この経験から、現場での取り組みが短期間で大きな変化をもたらすことに、感銘を受けました。そして、自分も現場から物事を変えていける仕事がしたいと思い、LFAへ正職員としてジョインすることを決断しました。

全職員のいるMTGで意見を伝えている様子。

ーー 実際にLFAへ入ってからは、大変な場面などもありましたか?
木村:ずっと大変でしたが(笑)コロナ禍の影響は特に大変でした。たとえば、板橋区の別室登校支援が始まったのは、コロナ禍による一斉休校がきっかけでした。休校になるとこれまでなんとか学校に来ていた生徒が、休校をきっかけに不登校へとなってしまうという懸念があり、これにどう対処するかが最優先の課題の一つでした。

この課題に対しては、まずオンライン授業の導入をサポートしました。また、新型コロナの感染対策によって誰かとゆっくりお話をしながら食事を楽しむ機会が減ったことに着目して、お弁当を提供する学習会として企画した「板橋弁強会」は印象に残っています。LFAは「学習支援」と「居場所づくり」を主軸としていますが、この時期はその場その場のニーズに応じて、試行錯誤しながらさまざまな取り組みを進めていました。

本当に大変でしたが、事業全体の設計から現場対応まで、幅広い業務を経験することができたのは、自分にとって大きな学びでした。

ーー 本当に大変な経験だったと思いますが、そんな状況でも活動を続けられたモチベーションはどういったものでしたか?

木村:さまざまな立場の人と関わる中で、その人の考えや感情、そこに至った背景を聞きながら、関わるすべての人が納得できるような落としどころを見つけられる力がつきました。子どもたちだけでなく、学校の先生、保護者、区の教育委員会や行政、そして現場スタッフなど、さまざまな立場の人の意見を取り入れながら活動していました。すべての人にとって、理想的な支援をつくるのは簡単ではありませんが、関わる人と対話を重ねることでみんなが良いと思えるものを生み出せることを身をもって実感できました。

このように、さまざまな関係者の意見や願いを踏まえながら柔軟に支援をつくり込んでいくのは、NPOだからこそできることだと思っています。また、そうしてつくり込んだ支援が制度として整った結果、その先にいる子どもたちが幸せになることが自分のモチベーションに繋がっています。

LFAの活動で関わる子どもたちは、生活における何かしらの課題を持っていることが多いです。しかし、整った環境があれば、その子たちの本来の良さを引き出せることが多々あります。別室登校支援や居場所づくりを通して、子どもたちがただ支援を受ける側でなく、自らアイデアを出してより良い環境をつくっていく側になることもあります。

ーー 子どもたちのアイデアから、環境が良くなることもあるんですね!

木村:私がこれまで関わった子どもに、自閉症の傾向があり、人の話を聴くのが苦手で、自分本位の考えや振る舞いをすることが多い子どもがいました。しかし、その子と接する時間が増え、信頼関係が築かれる中で、他の子どもたちにも個々の事情があることをふまえた上で、教室全体の改善案を自ら提案してくれることがありました。驚きもありましたが、個人的にはとても嬉しい体験でしたね。子どもたちには「自分で進んでいく力」や「まわりの人を思いやる力」があり、その可能性を引き出すのがLFAの強みですし、そういった子どもの力強さに思いがけず出会えることが働く上での大きなモチベーションになっています。

子どもと一緒に、演奏をしている様子。

ーー ありがとうございます。今後LFAで働いていく中で木村さんが目指す未来のビジョンなどはありますか?

木村:子どもだけでなく、大人も一緒になって考え、みんなで楽しめる場所をつくりたいです。既存の制度や慣習は、その当時必要だったかもしれませんが、時代や状況が変わることで、かえって人々に困難や生きづらさをもたらすこともあります。そうした制度や慣習を当然のものとして守り続けるのではなく、みんなで話し合い、その時々に応じて変えていくことで、誰もが楽しく生きられる場所がどんどん増えたらいいなと願っています。私自身、法学部での学びやLFAでの経験を活かし、そういった居場所づくりに貢献していきたいと思います。

ーー 貴重なお話をありがとうございました!