【最近のLFAニュース】啓発ムービー『子どもって、』制作秘話とJAA表彰式
1月30日にHPでお知らせいたしましたが、『子どもって、』が第61回 JAA 広告賞 消費者が選んだ広告コンクールでメダリストに選出され、先日表彰式が開催されました。
その記念に、ムービーに込めた思いや制作の裏側をお届けさせていただくことにしました!
すでに映像をご覧いただいた方もそうでない方も、よければ最後までお付き合いください。
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『子どもって、』は、「子どもの貧困」という社会課題をひとりでも多くの方が意識するきっかけとなることを目的に、課題の普及啓発にも取り組むLFAと、共感する企業の有志が協働し、制作されました。
企画の段階で、「今の日本においてパッと見でわかるものではない」子どもの貧困という社会課題を、どのように表現すればその実態が広く正しく伝わるか、制作メンバーで幾度も議論を重ねました。
課題感をストレートに伝えるだけでは関心や興味を持ってもらいづらい。だからこそ驚きのあるアイデアや表現を考える必要があるが、かといって突飛なだけの映像にはしたくない。
また、問題提起になりつつ、悲しい読後感だけで終わらないようにしたいという思いもありました。貧困の辛さを表現しつつも、最終的には希望を感じられるもの。けれども無責任に明るすぎないという、描き方の度合いの調整に、最後まで本当に頭を悩ませました。
そして最終的に、
「気に入った服ばかり着る」
「洗い物を自分でやりたがる」
「たまに大人ぶる」
「好きなものしか食べない」
という、子どもたちの日常のワンシーンとして見過ごされてしまいそうな場面の裏に、実は”そうせざる得ない理由”が隠れていたという仕掛けをつくることになりました。
ストーリーが決まり、後はスムーズに進んだかというとそうではありません。
誇張せず、しかしリアルを伝えるために、例えば、子どもたちの服装や取り上げたシーンは、子ども支援の現場担当者に何度も確認を取って、映像としてのわかりやすさとリアリティのバランスを追求しました。
また、映像終盤に入る重要なコピーに「い」を入れるか入れないかについて、日本語的な正しさとナレーションの自然さ、文字の見え方的にどれがいいかの結論が出ず、客観的な意見を求めて、社内チャットで初見のメンバーにリアルタイムで意見をもらい最終決定するなど、映像や音楽、言葉の使い方など些細とも思える表現にも心を砕いて制作を進めました。
自分たちの表現一つで伝わるものも伝わらなくなってしまう。しかしそれ以上に、「かわいそうな子たち」「救ってあげる対象」という見られ方にしてはいけない、またスティグマ(*1)を生むきっかけになってはならないという強い思いで、諦めずに細部まで考え抜きました。
(*1)差別・偏見。特定の事象や属性を持った個人や集団に対する、間違った認識や根拠のない認識のことを言う。その人が社会から受ける評価や待遇に大きな影響を及ぼし、社会的な孤立や不平等を生むことがある。
このように、たくさんの葛藤の中で完成させた動画『子どもって、』が、一般の消費者が選ぶ『JAA広告賞』のメダリストに選出されました。
このコンクールは、消費者が選ぶコンクールとして、審査員に広告関係者を含まず、広告の受け手である消費者が審査を行う世界でも類を見ない総合広告賞です。一般の消費者が審査員として選考に携わり「好感、共感、親近感がもてる広告であるか」、「わかりやすく、納得できる広告であるか」、「オリジナリティが感じられる広告であるか」という審査基準のもと、生活者視点での審査が行われるJAAのメダリストに選出されたことは、勝手ながらに、「子どもの貧困」が解決すべき課題であると社会の中で認識され始めているということ、またその社会を変えていこうというLFAの姿勢も評価されたのではないかと、大変嬉しく思っています。
最後に、今回表彰式に参加した、コミュニティ推進事業部ディレクター 石神駿一のコメントをご紹介します。
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我々がこのような課題の普及啓発をはじめとした様々な活動を行うことができているのは、応援してくださる寄付者のみなさまのおかげでもあります。
これからもLFAは、「すべての子どもたちが自分の可能性を信じ、自らの力で未来を切り開ける社会」の実現を目指し、みなさまとたくさんの挑戦を続けていきたいと思います。