【LFAメンバーズの履歴書vol.3】“子どもたちの「やりたい」を諦めない” <居場所づくりへの挑戦> 子ども支援事業部 佐藤麻理子 さん
こんにちは!Learning for All 広報です。Learning for All で働くメンバーが、どのようにLFAと出会い、普段どんな想いで働いているのかを伝える【LFAメンバーズの履歴書】。今回お話を伺うのは、「子ども支援事業部」で居場所づくりマネージャーとして働く佐藤麻理子(さとうまりこ)さん。現場で働く中で感じた大変さや、これからの展望について聞いてみました。
ーー 佐藤さんは、「居場所づくりのエリアマネージャー」を担当しているとのことですが、仕事内容はどういったものになりますか?
埼玉の戸田と東京の板橋・世田谷、3つのエリアにある拠点をどう運営していくのか、全体的な状況を見ながら決めていくのが私のメインの仕事となります。それぞれのエリアで利用者のニーズや私たちが目指す事業の未来像が違ってくるので、そのエリアに合わせた戦略を考えた上で、行政や地域への働きかけを行っているというとわかりやすいでしょうか。
ーー ありがとうございます!LFAに関わったきっかけを教えてもらえますか?
私がLFAに関わるきっかけとなったのは、居場所づくり事業の最初の拠点で働き始めたことです。そこから拠点長やマネージャーを経て、現在はエリアマネージャーをしています。これまでに「居場所づくり」に関わる様々な役割を経験してきました。
ーー LFAに入職する前も子どもに関わるお仕事をされていたのですか?
もともと私は個別指導の塾で先生をしていました。塾でも、「先生とだったら勉強をがんばりたい!」と言ってもらえることもあり、やりがいを感じる場面もありました。ただ、実際に塾へ入るかどうかを決めるのは本人ではなく保護者の判断であることが多かったんです。経済的な理由や家庭環境によって、子どもたちが「やりたい」と思っているのに「できない」ということに違和感を覚え始め、もっと、家庭環境などに関係なく、子どもたちの「やりたい」を後押しできればと感じていました。
私自身が勉強だけが大切なことではない、と考えていたこともあり、子どもの生活支援ができる仕事を探して、LFAを転職サイトで見つけました。生まれた場所や家庭環境など、本人ではどうしようもないものに関係なく子どものサポートがしたい、と思いLFAへの入職を決めました。
ーー 団体としても最初の居場所づくりの拠点だったということは、大変なこともいっぱいありましたか?
最初は何をすればいいのか全くわからない状況で、大変なんてものではなかったです。働く中で自分の考えが少し甘かったことに気づかされました。LFAとして居場所づくり事業が初めてだったので、もちろん運営のノウハウなどがあるわけではなく、常に脳をフル回転しながら働いていました。
子どもの「やりたい」を後押しすることを考えて入りましたが、LFAで関わる子どもたちの多くは、自分のやりたいことを考えるよりも、もっと手前の問題で難しさを感じていることがわかったんですよね。それは、置かれている環境的に、例えば友達との関係が上手くいかないとか、家庭内でしんどさを抱えているなど、状況はそれぞれですが、日々の中に色々なストレスの種があり、自分のやりたいことや未来について考える余裕まではないというか…。
場合によっては、やりたいことがあっても伝える術を持っていない、言っちゃいけないと思い込んでいる、自分に希望があっても最初から諦めて何もしないことが普通になっている、みたいな子も少なくありませんでした。あるいは、自分の感情がわからない、嫌な気持ちはあるけどそれを表現する方法は暴力を振るうことしかない、という子もいて、毎日のようにケンカが起こるような状態でした。
ーー なるほど!なかなか大変な状況ですが、どう乗り越えていったのですか?
振り返ると、私たちスタッフが子どもたちに「素の自分」で向き合うことが一番大切だったと思います。当時は、「この人は自分を大切にしてくれる」「ここは安全安心な場所だ」と心から子どもたちに感じてもらえるよう努めることが最優先でした。
もちろん簡単にはいきませんでした。そばにいて、良いところは褒める一方で、ダメなことをした時にはしっかり伝える。特に暴力については「絶対にダメ」と繰り返し伝えました。そして、暴力以外の方法で気持ちを表現できるよう、言葉で伝える練習を一緒にしたり、「イライラしたら、一旦目をつぶって3秒数えよう」といった感情コントロールの方法を教えました。さらに、「この間こういう約束したよね」と声をかけ続けたり…。そういった小さな関わりだけど、一貫した関わりを続けて、少しずつ変わっていってもらうサポートをしていました。
ーー そうすると、子どもたちにもやっぱり、変化があるのですか?
子どもによっても違いますが、1年くらいかけてちゃんと信頼してもらえるようになったら、子どもは目に見える形で変わります。例えば、暴力で相手の上に立つような関わりが多かった子が、友達のことを考えて「あの子はこれが得意だから、一緒にやったら楽しいかも」なんていう提案をしてくれるようになってくれた時には、本当にがんばってよかったなと思いますね。
子どもたちが、まずは自分自身を大切にし、その上で他者を思いやることができたり、他者とのつながりを大切にできるようになったりすることで、生きやすさを感じられるようになるのは、私自身の働きがいややりがいにつながっています。
そんなサポートを今後もしていけたらと思っています。
ーー 子どもたちの姿が、佐藤さんの働きがいにも繋がっているんですね。話は変わりますが、佐藤さんご自身も産休や育休を2回、取られたとか。
現在はジョインして8年目となりますが、2020年には約1年間、2023年には約半年間の産育休を取らせてもらいました。ですので、LFAで実際に働いている年数は6年くらいになりますかね。
ーー 実際に産休や育休を利用してみて、どうでしたか?
1人目の産休中は趣味や友人との時間を楽しむつもりでしたが、コロナ禍で外出もできず、友達や親にも会えない日々でした。毎日誰とも話さない時間が多く、孤立の辛さを痛感しました。夫が仕事に行っている間、一人で子どもを見ていると泣きたくなることもありました。自分は産後うつとは無縁だと思っていましたが、誰にでも起こり得ることを身をもって実感しましたし、ひとり親で子育てすることの大変さや、話を聞いてもらえる人や支え合える人がいることの大切さを強く感じました。
ーー 産休・育休後、LFAへ復帰されてからのキャリアについて教えてください。
1回目も2回目も、ポジションは変わらずフルタイムで復帰しました。大変でしたが、仕事が好きなので夫と相談し、子どもの送り迎えを分担してフレックス制度を活用しながら調整しています。
ーーエリアマネージャーになった今、これまでのキャリアを振り返って、どのように感じていますか?
「親」という立場や子育ての難しさを実感したことで、これまで以上に保護者の生活や感情に目を向けるようになりました。保護者の方々、さらに言えば社会で頑張る大人たちがもっと生きやすく、心地よく暮らせる社会とはどんなものだろう、と考える機会が増えました。子育てや仕事で忙しい大人同士がリフレッシュしたり、つながってストレスを共有したりできる場所がもっとあれば良いな、と思っています。
ーー ありがとうございます。今後の佐藤さんのビジョンはありますか?
抽象的な答えになりますが、子どもも大人も「居心地が良い」と思える場所や人との繋がりを持ち、そのエネルギーを誰かにも分け与えていけるような関係がいっぱい生まれたらいいなと思っています。
人は一人では生きていけないと思いますが、他人と関わる中で、自分の良いところも悪いところも含めて「これが自分だ」と認められるようになれば、それが居心地の良さや生きやすさにもつながっていく、と感じています。
ーー ありがとうございます!最後に一言いただけますか?
お話の中でも、子どもの「やりたい」を後押しする仕事とお伝えしましたが、まずは大人も含めて自分自身を大切にし、居心地の良い場所でエネルギーを充電することが大切だと思います。そのうえで、自分がやりたいことに向かって進める社会が健全で、素晴らしいものだなと感じています。
現在エリアマネージャーとして、LFAで働くメンバーたちにも、自分の「やりたい」を仕事の中で実現してもらいたいです。そのために、メンバーが働き続けたいと思える環境の整備や、やりたいことが見つかった際にはしっかりサポートしていきたいですね。
ーー やりたいことを応援してくれる人がいるのは、それだけで心強いですよね。良いお話をありがとうございました!