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【LFAメンバーズの履歴書vol.5】"寄付やイベントを通じて「企業の真剣な想いに触れる仕事」” コミュニティ推進事業部 山村卓矢さん

こんにちは!Learning for All 広報です。Learning for All で働くメンバーが、どのようにLFAと出会い、普段どんな想いで働いているのかを伝える【LFAメンバーズの履歴書】。今回は、「コミュニティ推進事業部」の資金調達部門で働く山村卓矢(やまむらたくや)さん。LFAに入職した経緯や、さまざまな企業の方々とかかわる業務の中で感じていることを聞いてみました。

会社員時代には見えなかった、企業の真剣なまなざし

ーー まずは、山村さんの今のお仕事について教えてください。

2022年1月にLFAに入職してから3年弱、コミュニティ推進事業部内の、資金調達部門で働いています。具体的には、寄付をしてくださっている企業への寄付継続の働きかけや、子どもたちのためのイベント実施の相談に乗ること。寄付や支援の新規問い合わせに対応するのも、わたしの仕事です。ちなみにイベントというのは、継続的に寄付をいただいている企業とLFAがコラボして実施するものです。LFAの運営や支援活動に使わせていただく寄付とは別に共同で実施するイベントは、参加する子どもたちと企業のみなさん双方にとって特別な体験ができる機会になっています。

ーー 寄付とイベントについては、あとで詳しく聞かせていただきますね。いったん山村さんのお話に戻りますが、LFAに入るまでは、どんなお仕事をされていたんですか?

大学卒業後に就職したのは、大手ゼネコンです。東京のあと福岡、沖縄にも赴任し、約8年働きました。社会貢献とも資金調達とも関連性がない仕事だったので、LFAへの転職は完全に未経験からの挑戦ということになります。

ーー 畑違いのLFAに転職した動機やきっかけは何だったのでしょう?

ゼネコン勤務時代、中学校卒業後に高校に進学せず働いている子が、現場に入る際のルールを守れず退場させられてしまうのを見ることがありました。建設現場は安全第一ですし、会社として退場の判断は仕方ありません。ですが彼らはまだ教育や支援を必要としている年齢なので、ルールを順守できないことの全責任が彼ら自身にあるとも思えず、社会の理不尽さも感じていました。そんなとき、LFA代表の李さんと会う機会があり、LFAに転職することにしたんです。

ーー 社会課題を意識したのをきっかけに、大手企業からNPOへ転職するというのは、かなり思い切った決断だと言われませんか?

わたしとしては、興味を持った分野に転職しただけ、という感覚です。自分が興味を持てる仕事や得意分野を活かせる仕事に就いている人は、会社員の方でも多いですよね。それと同じことなので、NPOだから特別ということはまったくないと思います。

それに、会社員時代はわからなかったのですが、LFAに入って、企業が社会問題に対するまなざしを持っていることに気づきました。単なる賛同や資金の提供だけでなく、自分たちのリソースをどう活かすかを真剣に考えてくださったり、社員が主体的にかかわれる仕組みを工夫してくださったりしています。この仕事をしていると、企業の方々のそんな姿勢に感化されることがよくあります。

LFAの活動を支える寄付の価値を、企業に実感していただきたい

ーー 山村さんの担当業務は、寄付継続の働きかけやイベントの相談とのことでしたが、まずは寄付の重要性から教えてください。

LFAの運営資金は、助成金と寄付金、普及啓発活動や研修などの事業収益によってまかなわれていて、企業寄付金は収入の13.7%を占めています(2023年)。LFAの活動を安定して継続していくためには、継続的な寄付がとても重要なんです。

ーー どんな企業からの寄付が多いですか?

やはり教育や子どもについての問題に高い関心を持っている企業が多いですね。あと、寄付文化が根付いている外資系企業も多く、数としては100以上の企業から寄付をいただいています。

ーー 寄付をしてくださる企業とのかかわりの中で、山村さんが心がけていることはありますか?

LFAが行っている支援は、目立たない地道な活動も多いです。なので、「ありがとうございます」という言葉だけではなく、個別に、こまめに具体的な活動内容や子どもたちの声を伝えて、いただいている寄付が確実に役立っていることを実感していただきたいと考えています。

LFAだけでは生まれない発想が、企業とのコラボの最大の魅力

ーー 次に、イベントの重要性を教えてください。その場の楽しさはもちろんあるとして、イベントから生まれる持続的な価値もあるのでしょうか?
友達と駄菓子屋でお菓子を買う、自分の好きな服を選ぶといった、いわゆる「当たり前の体験」をしていない子どもたちにとって、イベントでの体験活動は「自分が何を好きなのか」ということを知れる機会になります。また、初対面の大人などさまざまな人との交流を通して、自己主張と思いやりのバランスの取り方やコミュニケーション、社会性を学ぶことができます。そしてそもそも、「自分は思い切り遊んで楽しんでもいいんだ」という自己肯定感自体も貴重な体験なんです。

わたし自身、子どもたちがイベントではしゃぐ姿や「楽しみにしてた!」と言ってくれることが非常に印象に残ります。顔を覚えている子どもの場合、前よりも楽しそうにしているな、前よりも他の子どもとかかわっているな、など、社会性が身についていっていることを実感する瞬間があるのも、とても嬉しいです。

ーー LFAで行っているイベントのうち、企業と協力して開催するイベントにはどんなものがありますか?
企業の協力を得て実施する活動には、各拠点主導で行う「地域密着型の活動」と、継続的な寄付をいただいている企業と行う「コラボイベント」があります。前者は、工場見学をさせてもらったり、ボランティアに来てもらったり、こども食堂で使う食材を安く卸してもらったりといった、資金提供を伴わない支援も多いです。

わたしが担当しているのは後者で、例えば日本オラクルさまとは、2016年頃から年に数回、ワークショップや障がい者体験、職場訪問といったイベントを開催しています。社内の有志のボランティアチームが企画運営を主導してくださっていて、日本オラクルさまの事業の枠に留まらない企画内容です。また、アパレルメーカーのラコステジャパン様と行った、目黒のオフィスで商品陳列のワークショップとコーディネート体験のイベントも好評でした。

ーー 日本オラクル様の幅の広い企画も、事業を活かしたラコステジャパン様のワークショップも、どちらも楽しそうですね。ラコステジャパン様の体験は、具体的にどんな企画だったんですか?

ラコステジャパンの社員の方々からレクチャーを受けながら、グループに分かれてオフィスにある商品を陳列してみたり、一緒に参加したLFAの学生スタッフのコーディネートを子どもたちで考えて商品を着せてみたりできるイベントでした。子どもたちからは「初めてこんなに真剣にコーディネートを考えた。楽しかった」といった声が聞こえましたし、LFAの拠点スタッフからは、「子どもたちが、想定以上に積極的に陳列やコーディネートや陳列を考えてくれた」「狙いとして掲げていた"子どもたちが社会に出て働くイメージ"が膨らむ経験を届けられたと思う」との声が上がり、嬉しい体験となりました。

ーー 山村さんが担当している企業コラボでは、各拠点主導のイベントよりも規模の大きなイベントが開催できるんですね。

各拠点のメンバーからも「拠点の力だけでは実現できない体験ができた」と、感謝の声をもらうことが多く、豊富なリソースを使った企画ができるのは非常にありがたいことだと感じています。リソースというのは、資金だけを指すのではありません。イベントのために提供いただく資金がありがたいのはもちろんですが、わたしとしては、LFAだけでは生まれない、企業ならではの発想をいただけることが、企業コラボの最も大きな価値だと思っています。資金がどうしても足りなければ、他の調達手段を探すこともできますが、発想はコラボなしには生まれませんから。

ーー 逆に、LFAとのコラボは企業側にとってはどんな良いことがありますか?

企業の方々からは、「普段できない体験ができた」「子どもたちの素直な感想が参考になった」「LFAのメンバーの子どもとのかかわり方が勉強になった」といった声をいただきます。また、社内の役職や部署の枠組みを超えた活動なので、社員同士のコミュニケーションが増える、会社へのエンゲージメントが高まるといった効果もあるようです。このあたりは、個人のボランティアではなく企業としてかかわるからこその効果だと思います。

ーー LFAはLFAだけでは生まれないアイデアをいただけて、企業は企業だけではできない体験ができる、お互いに補い合って良い効果が生まれているんですね!

ーー ただ、コラボイベントは寄付とは違い、企業側にも一定の労力を負っていただくことになります。スムーズなイベント運営にあたって、山村さんが意識していることはありますか?

イベント運営にどれくらい慣れているか、どれくらいの人手を出せるかといった状況は、企業によってさまざまなので、企業とLFAの担当範囲や割合は柔軟に調整するようにしています。例えば初めてイベントを行う企業の場合は、最初は密に連絡を取り合いながら企画を進め、2回目、3回目と回を重ねるごとに徐々におまかせする部分を増やしていく、とか。具体的なアイデアをお持ちのほうが検討は進みやすいですが、「具体的なアイデアはまだないけど、何かしたい気持ちはある!」といった場合には、一から企画の相談にも乗ります。

それから、子どもたちの顔や情報が不用意に流出しないようにすることも、非常に重要なことです。子どもたちや親はもちろん、企業側のみなさんにも安心していただきたいので、イベント前に発信・情報公開のルールやお願い事項を漏れなく共有し、細かい認識合わせを徹底することも意識しています。

企業とコラボレーションして、支援の輪を広げていきたい

ーー 興味深いお話をありがとうございました。最後に、寄付や支援の提案をいただいている企業の方々へのメッセージをお願いします。

これまでかかわってくださった皆さまには、感謝の気持ちしかありません。この仕事に就くまでは想像もできなかったほどに、真剣に子どもたちのことを考えてくださっていることも知りました。支援のご提案をお断りせざるを得ないこともあるのですが、LFAの活動に賛同してくださるお気持ちが、何よりも尊いと思っています。皆様からいただくご支援が、教育課題や貧困の解決に繋がっていることも感じています。これからもっと支援の輪が広がってほしいですし、わたしたちも企業とのコラボレーションをさらに進めていきたいです。

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