機械生命体と「エイリアン」襲撃の真相
赤目の皆さん、こんにちは!
NieR考察ガチ勢のれいらです。
前回の記事で、
という説を紹介しました。
では、5012年の襲撃は一体何者の仕業なのでしょうか?
これは、機械生命体の真の創造者と関わりの深い事柄なので、機械生命体の正体と併せて考察していこうと思います。
機械生命体の正体
今までのAutomata本編で、機械生命体の起源に関する情報は「『エイリアン』によって創られた新型兵器」ぐらいしかありませんでした。
しかし、アニメ「NieR:Automata ver1.1a」では、機械生命体が創られる「その前」の核心に迫るような情報が公開されています。
機械生命体は〇〇の後継!?
それは第3話で、2Bと9Sが砂漠地帯で機械生命体と交戦したときの話。
9Sが機械生命体の大型個体に対し、相手のシステムを乗っ取り破壊する「ハッキング」を仕掛けました。
システムは機械生命体の「脳」ともいえる場所なので、ハッキングした9Sには大型個体の記憶が見えたのでしょう。
その内容は、どこかの国の祝典のようですが…
実はこれ、シリーズ前作「NieR:Replicant」で主人公たちが訪れた、仮面の街の王の結婚式の様子を再現したものだったのです…!
この街は12万4000(!)をも超える掟があるのですが、その掟ゆえに危機に瀕した幼き日の王を、主人公たちが救ったのでした。
そしてAutomata本編では、砂漠地帯で旧世界の調査をしているレジスタンスの発言から、
砂漠地帯は、かつて仮面の街があった場所だと分かるのです!
皆さんが既にお気づきの通り、砂漠地帯の機械生命体が着けているお面も、Replicantの仮面の街の王家のお面と瓜二つ。
つまり砂漠地帯の機械生命体は、かつて仮面の街に住んでいた人々の成れの果てではないかと考えられます…
仮面の街の人々は「レプリカント」でした。
レプリカントは、死病「白塩化症候群」を防ぐために魂と分離した人間の身体を、疑似人格によって管理するもの。
しかしこの計画 (ゲシュタルト計画) は、諸事情によって失敗に終わりました。
ところで、レプリカントを身体と疑似人格に分離して、疑似人格を「機械」に宿らせたら、砂漠地帯の機械生命体ができると思いませんか?
つまり何者かが "「機械」の身体" を用いて、レプリカントを "人類" として再生しようとしているのではないか、ということです…
誰が機械生命体を創ったのか
人類への忠誠心を持つ人類軍は、人間の姿を模してヨルハ機体を造りました。
よって、"機械のレプリカント"である機械生命体を造ったのは、人類軍ではなさそうです。
では一体、この計画を行おうとしたのは何者なのでしょうか…?
攻略設定資料集の年表には、人類軍以外のアンドロイド勢力に関する記述が存在します。
「独立者」なら、「"機械の身体" を使った "人類" 再生」をやり得るのではないでしょうか…!?
何なら「もういないオリジナルの人類に固執するより、レプリカントを "人類" として認めるべきだ」と思っているかもしれません。
人類会議は、「人類への忠誠心を持つ」ため「人型アンドロイド」を造りました。
それなら独立者は、「人類への忠誠心を持たない」ため「人型でない "人類"」を造る可能性がありますよね?
この「人型でない "人類"」こそが機械生命体であり、「エイリアン」だったのではないかと思うのです。
5012年の侵略の真相
ここで、一つ考えてみてください。
●人類会議
1. 人類に忠誠を持つ
2. 人類の姿を模して人型アンドロイドを造る
●独立者
1. 人類に忠誠を持たない
2. 機械の身体を用いて機械生命体を造る
この両者は、どのような関係にあるでしょう?
勘のいい方は既にお気づきだと思いますが、バチバチの対立関係です。
攻略設定資料集の年表には、
という記述があり、その一つ後が5012年の「エイリアン」襲撃の記述となっています。
「エイリアン」襲撃の詳細は、
なのですが、ご注目いただきたいのはこれが「7月4日」のできごとであること。
世界中の「7月4日」に起きたできごとの中で、おそらく最も有名なのは…
そう、アメリカの「独立」記念日でしょう。
つまり、「エイリアン」襲撃は独立者の襲撃が、人類会議の「宗教上の理由」で書き換えられたものだと考えられるのです。
人類会議と〇〇〇の対立の歴史
前作「NieR:Replicant」終了後、人類の身体を預かるレプリカントを管理していたアンドロイドたちは、2つの組織を発足させました。
あくまでも旧世界の遺跡の調査と状況把握をするための組織だった⑴に対し、⑵では旧世界の遺跡の修復・再現をも試みていました。
そして⑵の名前にある「再生」の語と⑵が事実上の中央政府になったことから、アンドロイドたちの多くが人類再生を試みる独立者につき、次第に権力を増していったと予測されます。
この際、一部のアンドロイドたちが独立者のやり方に反発した結果、従来の「アンドロイド」と「独立者」による紛争(4519年)が勃発したのではないでしょうか。
これこそが、5012年の襲撃の真の要因だったと思うのです。
多勢に無勢、5012年の襲撃で劣勢に立たされたアンドロイド勢力が組織したのが、あの「人類軍」です。
実際に、ヨルハ機体以前に造られた旧型アンドロイドは「レジスタンス」というのですが、この元となった英単語resistanceには
という意味があります。
「レ・ミゼラブル」を見た方なら想像できると思うのですが、このような地下組織は圧倒的多数派たる相手に制圧され、儚く散るものが大半を占めています。
年表中の「人類軍」は「100年ほどかけて大きな統合軍へと進化していった」と書かれてますが、Automata本編や「音楽劇ヨルハ」での「人類軍」は十中八九ピンチの状態です。
このジリ貧さから考えると、人類軍の勢力の大半は人類軍設立以降に増産されたアンドロイド…というのが関の山ではないでしょうか。
つまりレジスタンスやヨルハ部隊の戦闘員は、人類軍の置かれた背景など何一つ知らず、「人類の存在」に縋りついて、負け確の戦いを強いられていたのではないか、ということです…
抗争の「生き証人」たちの物語
では、このような人類軍の歴史的経緯の真相を知っているアンドロイドは、Automata本編にはいなくなってしまったのでしょうか?
私は、ジャッカスと司令官だけは真相を知っているのではないかと思います。
その理由は「名前」にあります。
これは、リリィの過去を描いたアニメ第6話のクレジットですが、レジスタンス(番号呼びでないキャラ)の名前を見てみてください。
そう、リリィも含めて全員の名前の由来が「花の名前」なのです。
さらに、アニメ第6話のストーリーの元となった舞台「音楽劇ヨルハ」のローズ役、雛形羽衣さんによると、隊長ローズは共に戦ったヨルハ機体たちの名前を考えていたそうです。
これも全て「花の名前」。
NieR:Automata関連舞台作品は他にも複数あるのですが、そこに登場するレジスタンスは全員、名前が「花/植物の名前」なのです。
しかし、ジャッカスと司令官だけは違います。
司令官の名前「ホワイト」(White)の意味は「白」ですが、ジャッカス(Jackass)の意味は
「のろま、間抜け、あほ、ばか」
とても人に付けて許されるような名前ではないですね。
これはおそらく、彼女が「人類再生管理機構」にいたとき、独立者アンドロイドから受けていたイジメの痕跡ではないかと思います。
そんな彼女の唯一の味方で、このような独立者アンドロイドの行動・人格を疑い抗う決心をしたのが、後に人類軍の司令官となるホワイトだったのではないでしょうか?
実際、Automata本編中で彼女にヨルハ部隊の窮状を伝えると…
と口走ります。
ブッ飛んだ性格のジャッカスは、もしかしたら内心では"人類"の再生をしてみたいと思っているのかもしれません。
しかし、自分を救ってくれたホワイトのため、彼女はあくまで「"ホワイト"の友人」として人類軍の味方で在り続けているのでしょう…
絶えない内争、永の絶望
Automataに登場するヨルハ部隊・人類軍・レジスタンスにはエンブレムがあります。
そして、ヨルハ部隊・人類軍のエンブレムは閉じた目の形に由来していて、レジスタンスだけが開いた目の形に由来しています。
ヨルハ部隊のエンブレムが閉じた目の形なのは、トレードマークのゴーグルと併せて「真実を見ていない」ことの象徴だそうです。
では、なぜレジスタンスのエンブレムだけ「開いた目」の形なのでしょうか?
それは、人類軍創設後の生まれで真実を知らないながらも、長年の戦いを経て「人類軍の戦いは最初から負け戦である」という真実を悟ってしまったからではないでしょうか?
さらに、人類軍のエンブレムが目を閉じた形なのは、単に真実を知らないからではなく
「真実を知っているが、見ないふりをしている」
ことの表れではないかと思うのです。
特に司令官ホワイトは、自分の戦いに望みがないことを知りつつも、それを見ないふりをして戦ってきたのではないでしょうか。
「独立者」の行いと人格に、甚だ絶望したから。
「独立者」を、赦せないから。
しかし、この「赦せない」ことこそが10000年以上もの間、絶えることのない争いと新たな絶望を生み出してきたのだと思います……
5012年の真実は、リィンカネの『太陽と月の物語』に、そしてNieRシリーズ全体の主題に繋がってゆくのでしょう。