たずね馬
「全国の馬のみなさん、こんにちは。『ウマラジ』の時間です」
馬のためのラジオ放送局「URN(ウマ・ラジオ・ネットワーク)」は、馬に携わる人間たちと、馬自身によって運営されている。
番組を担当しているのは、看板DJの元騎手・馬永(うまなが)だ。
「北海道の黒ウマさんから、こんなお便りをいただきました」
「馬永さん、こんにちは。ボクは幼なじみを探しています。牧場で一緒に遊んでいた女の子です。ある日突然、車に乗せられていなくなってしまいました。彼女の特徴は……」
さっそく、リスナーから反応があった。
「宮崎県の栗ウマさん。『私の働いている観光牧場に、似た女の子がいます』」
「黒ウマさん、聴いてますか?」
馬永の元に、一枚のFAXが届いた。
「北海道の黒ウマさんからです。『ありがとうございます。牧場長に頼んで、手紙を書いてもらいます』」
この話は、あっという間に評判になった。
「ウマラジ聴いた?」が馬仲間の合言葉になっている。
馬永は、番組の最後にこう挨拶する。
「ありがとうございました。今日もきっとウマくいく!」