memo 新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 2020.04.01

* 座長 脇田氏

目的:3月19日新型コロナウイルス感染症対策情報分析・提言から2週間経過したため、提言含めアップデート

尾身氏より************

3つのパートで進める。

1. 状況分析
2. 今までの対応・問題点・課題
3. 提言


1. 状況分析

都市部中心に感染者急増)
クラスタ感染が次々と発生しリンク不明の患者数が増加していると言える。

実効再生産数)
1を中心に上下していたが、今回3/21-30の確定日データに基づく推定値が、東京都で初めて、1.7を示した。今後も注視していく。

海外からの輸入感染者)
3月上旬は全陽性者は数%だったが、3/11前後から急激に増加傾向。
3/22、23は40%近くを占めるようになった。

分析結果)
日本は、海外のようなオーバーシュートは見られていないが、都市部を中心にクラスタ感染が次々と報告され感染者数が急増している。
大事なことは、医療供給体制がひっ迫せざるを得ない地域が出てきて医療供給体制の強化が喫緊の課題であること。

強調したいことは、一部には医療崩壊=オーバーシュートと解されていたが、実際は新規感染者が急増しクラスタ感染が頻繁に報告されている現状では、爆発的感染が起こるかなり前に医療供給体制のひっ迫・限度を超える負担による現場の機能不全が起こることが予想される。

*医療崩壊はオーバーシュートが起きるかなり前に起こるのだ*

オーバーシュートの定義)
欧米でみられる爆発的な患者数の増加を示しているが、当専門家会議では、2ないし3日の間に累積患者数が倍増する程度のスピードが継続して認められることと定義することにした。

3/21-30の東京都の場合)
確定日別患者数2.5日毎に倍増している。しかし、院内感染やリンクが終えている患者も含まれており一過性のものなのか引き続き注視する必要があると考える。

2. 今までの対応・問題点・課題

乗り越えるべき課題は3つ。

(1)地域ごとの対応に関する基本的な考え
3/19の提言では地域を3つに分けるが自分がどの地域に属するか明確にしてほしいという要望

(2)市民の行動変容についての必要性
① 3密について専門家会議からの情報発信の不十分さ
② いわゆるコロナ疲れ・自粛疲れの状況による一部市民の警戒感の緩み
③ 国民の行動変容や健康管理にあたりSNSやアプリなどを使った効率的かつ双方向の取り組みの充実

(3)重症者を優先する医療体制の強化
既に地域ごとがんばっているのは理解しているがまだまだやるべきことがある


3. 提言

(1) 地域ごとにどのレベルの感染が拡大しているかを都道府県が判断するための指標/インディケータをある程度まとめた。

① 新規確定患者数
2週間前の状況を反映する。即効性はないが重要。

② リンク不明な新規確定患者数

③ 帰国者接触外来の受診者数
感染拡大の予兆を早期にピックアップできる指標。
帰国者接触者相談センターの相談表の数も含める。

④ PCR検査
検査日、検査数、陽性者数・陽性率

⑤ 実効再生産数

⑥重症者数、入院者数、利用可能な病床数・稼働状況、空床数、利用可能な人工呼吸器エコムの数・稼働状況、医療従事者が十分確保されているか
医療供給体制のひっ迫の程度を評価する指標。


(2) 地域ごとの考え方

地域区分名称は次の3つ。

① 感染拡大警戒地域
② 感染確認地域
③ 感染未確認地域

学校について)
子供は地域において感染を拡大する役割(ドライビングフォース)をほとんど担っていないというエビデンスを得ている。
都道府県という大きな括りでなく、生活圏・地域ごとに状況を踏まえて判断することが重要。
もちろん今後、新たなエビデンスを得たときは適宜中正していく。

① 感染拡大警戒地域
直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数がその1週間前と比較して大幅な増加がみられる。
オーバーシュートには至っていない地域。
直近1週間の帰国者接触外来の受診者数もその1週間前と比較して一定以上の増加がみられる。
医療供給体制のキャパシティの観点から、近い将来切迫性が高いまたはその虞がある。

感染拡大警戒地域に必要なこと・お願い)
例:市民啓発
期間を明確にした外出自粛要請、
地域レベルであっても10名以上の密集を避ける
家族以外多人数の会食は行わない
状況によっては地域内臨時休校を。

② 感染確認地域
直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数がその1週間前と比較して一定程度で収まっている。
直近1週間の帰国者接触外来の受診者数もその1週間前と比較してあまり増加していない。

感染確認地域に必要なこと・お願い)
例:3密徹底
屋内50名以上のイベントを控える

③ 感染未確認地域
屋外イベントについては適切な感染症対策を講じリスク判断を行う。
低リスクのイベントについては注意して行う。

行動変容の必要性)
3密を避ける。
再掲;自身の感染リスクを下げるだけでなく多くの人の重症化を食い止め命を救うことの重要性

3密に加え、大声を出す・歌うことが高リスクであることが最近わかってきた。
具体的に、夜間から早朝に営業するバー、ナイトクラブ等接客を伴う飲食店、カラオケ、ライブハウス、ジム等呼気が激しくなる場所にも注意が必要

ICT利活用)
感染を終息に向かわせている一部アジア諸国の中には携帯端末の位置情報をもとにパーソナルデータを積極的に活用した取り組みが進んでいる。
感染拡大が懸念される日本にもプライバシー保護、個人情報保護法の観点を充分ふまえつつ感染拡大が予測される地域のクラスターの発生を早期に感知する用途等に限定したパーソナルデータの活用もひとつの選択肢の一つとなりうる。様々な意見、様々な懸念が想定されるので一般市民、ステークホルダを巻き込んだ議論を早急に開始すべきと考える。

(3)地域の医療供給体制

先にも述べたとおり、爆発的感染が起こるかなり前に医療供給体制のひっ迫が起こると懸念される。
特に、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫は今日明日にでも抜本的な対策を講じる必要がある。

地元の新型インフルエンザ協力医療機関、大学病院等が一丸となって都道府県と十分な連携をとって行って医療機関ごとの役割を早く決定し実行してほしい。

軽症者は自宅療養を要請することになると思うが、それ以外でもその他療養施設も利用できるという選択肢も用意してほしい。

医療崩壊に備えた市民との認識共有について)
今のところ日本は幸い諸外国のような医療崩壊は生じていないが、今後もそうした事態を回避するために政府や市民が最善の努力をする必要がある。
一方、諸外国の厳しい事態をふまえれば、様々な将来の状況を想定し人工呼吸器等限られた医療資源の活用のあり方についても、市民と認識を共有して市民を巻き込んだ議論を行う必要があると考える。

政府に求められる対応について)
これから一般の医療機関も感染者を受け入れる必要があるので、医療機器導入支援や人的財政的な支援が極めて重要。求めていきたい。
3/9・19の提言、3/28の国の基本的対処方針にもあったが、クラスタつぶしの保健所が疲弊しているため、結果、クラスタ発見が遅れている例がある。いろんな人材をいろんなところから集めてサポートしてもらいたい。なかなか難しく進んでいないのが現状。
治療薬の臨床実験を行っているので、がんばっている研究者を全面的にバックアップしていただきたい。


□ おわりに

現状は諸外国ほどではない。これからの日本の取り組みに世界の注目が集まっている。
第一波(湖北省の件)にいろんな課題はあったが、それでも適切にコントロールし持ちこたえることができたと思う。しかし、世界的なパンデミックが拡大している中なので、政府、各自治体、各関係者が今まで以上の強力な対応が求められていると思う。
市民の皆様には自粛に取り組んでくださり感謝している。その上でしかし、法律で義務化されていなくても3密を徹底的に避ける等、社会を構成している一員として自分社会を守るためにそれぞれの役割を果たしていこう。


尾身氏より 以上************


*北海道大学 西浦氏 、東京大学理化学研究所 武藤氏(医療社会学専門) 含め

質疑応答 ----------------------------


□ 聞き取れず

Q01. 地域区分の考え方について

①感染拡大警戒地域と感染確認地域の境界線に迷う。感染拡大警戒地域について、東京は該当すると思うが、ほかにはどの都道府県か。

西浦氏
大阪。リンクを追えない感染者が増加しているため。

②福岡や神奈川、千葉、埼玉も急激に増加しているようだが

西浦氏
総合的な判断。
リンクを追えない感染者だけでなく新規の確定患者数、リンク不明な新規確定患者数、帰国者接触外来の受診者数も考慮して判断している
ほかには、実効再生産数。計算が難しいと思うので厚労省のクラスタ対策班にも手伝ってくれる

③まとめ:感染拡大警戒地域は東京と大阪か

西浦氏
そう認識している。


□ 日本経済新聞 テラオカ氏

Q02. 子供に関するエビデンス「地域において感染を拡大する役割(ドライビングフォース)をほとんど担っていない」について

①さらに具体的な説明を

西浦氏
これまでの1000名以上の感染者の中で、学校の中で盛んに伝播が起こったようなエビデンスが今のところみられていない。
これはインフルエンザと相当違う点。インフルエンザは、学級、友だちの間でめらめらと伝播が起こっていって子供たちが中心となって伝播が拡大する形式が見られるが、(コロナは)ここまで日本の中で拡がってきた中でも、子供たちの中で伝播が起こったようなエビデンスが今のところない。感染する機会はあるが、多くの場合、家庭の中での伝播であることが明らか。
なので最近は日本の中では子供たちの中で伝播が起こることはなさそうだとか、海外から初めて血液学的な研究成果が出てきているが子供たちの感染頻度が低いことが明らかになってきているので、少なくとも感染を拡大する役割を果たしているようではないことがわかってきた。

②ウイルス学的にこれはなぜなのかという説明は可能か

脇田氏
まだ知見がないためわからない。
明らかにインフルエンザとは違うことは言えるが、ウイルス学的な違いがどのように影響しているかは不明。

Q03. 無症状感染者について

①無症状の人の感染はどれほど起こりうるのか。PCR検査について他国に比べて少ないという一方でしっかりやっているという発言もある。また一方で※テラモトさんが濃厚接触者調査を発症日の2日前からやったほうがいいのではないかという発言もある。今の状況で無症状感染者を具体的にどのように評価していて日本としてどのようにやっていこうと考えているのか。

脇田氏
諸外国で濃厚接触者調査を発症日の2日前からやったほうがいいのではないかという定義が出てきている。日本でも発症日の2日前から考慮して濃厚接触者調査をやっているということになっている。ただ、感染状況、接触者の状況を考慮してやるという形で、今少し、その定義を検討していて、変えることになっている。

②まとめ:無症状感染に関しては、基本的に発症日の2日前から遡ればドライビングフォースになることはないという判断か

脇田氏
WHOも中国CDCもそう該当判断している。


□ NHK ミズノ氏

Q04. コロナ疲れと患者数増加の関係性について

3月の3連休以降の警戒感の緩みと昨今の患者数の増加に関係性があるか。

脇田氏
基本的に現在の感染者は2週間前の増加をみているという理解はしていないため、3月の3連休は次の週末に反映される。
西浦氏
<グラフ提示>3月の3連休の感染者数を観察するにはまだデータ的に不十分な状態。まだ今のところジャッジメント出来ない。

Q05. 夜街クラスタについて

いろいろ具体例はあったが接客がない居酒屋についての注意喚起は? ・・

西浦氏
リンク不明の感染者がどこで暴露しているかをみているが、接客のあるバーと同様。記憶の範囲だけでも居酒屋も5名いる。
脇田氏
大学の送別会でもクラスタが発生しているのでやはり居酒屋の宴会もなるべく避けて。

Q06. 最後に、行動変容について

感染した場合にどう行動するかだけではなく、医療体制がひっ迫した中では亡くなった時に家族に会えない等予想外のことが起きることから当事者意識を持つことの重要性について解説を

武藤氏
サンミツについては行きわたっているが、自分が患者になったときのことは他人事。日ごろからの備えとして、自分が受診基準になったときに自分の住んでいるところではどこに行けばいいのか、どういう手段で行けばいいのか、万が一自分が患者になったらそこではどういう経験をするのか、どんな医療を受けたいか、受けられないと予想される医療がどんなものなのか、この自粛期間に考え、家族等身近な人とたくさん話し合ってほしい。
生命倫理、医療倫理の専門家が、自分が患者になったときにどのように意思決定をすればいいのか提言している。(3/30 生命・医療倫理研究会 http://square.umin.ac.jp/biomedicalethics/activities/ventilator_allocation.html)
人工呼吸器が足りない中で医療者がどの患者から装着していくか判断するのは酷なこと。医療者もつらい思いをしていること、(自分が患者になることは)他人事ではないのだと、情報の備えをしてほしい。


□ 聞き取れず

Q07. 子供・乳幼児の重症化のリスクについて

子供・乳幼児の重症化のリスクについての知見を

西浦氏
子供・乳幼児について、海外のデータだが、年齢別致死率、年齢別の重篤患者に関するリスクが推定され始めている。
乳幼児については不明だが、小中学生の致死率は大人と比べてほとんどないくらい低い。ゼロではないが、成人、高齢者に比べて相当に低い。

Q08. 東京の現状

21日の時点での予測と昨日の会見では数字の変化がみられない。横ばいなのか?それともここ数日のデータが反映されていないことが理由なのか?

西浦氏
東京の予測は今日は入っていないが、予測のため東京都と情報交換しているのは発症日付に基づく感染者数。そのデータに基づき予測していると緩やかな指数関数的な感染者数の増大を認めている。より憂慮すべきデータとして、今回の結果の中にオーバーシュートという定義に関連して分析しているが確定日付別の感染者数が最近10日間で急増していることはご存じの通り。2.5日に一度倍増するペースで増えている。一方で台東区の医療機関を中心に院内感染で大きなクラスタがみられている。リンクが追えてる人も追えていない人も東京都と一緒に発表したとおり。接待職業で暴露が集中している。コミュニティで広く拡がっているかどうか爆発的に拡がっているかどうかは継続して検討しないとわからない。引き続き検討。


□ 47:52~ **スギウラ氏

Q09. 感染確認地域について

全国的にはこの地域が多いと思うが、屋内50名以上のイベントを控えることとあるが、例えば劇場、映画館、アミューズメントパーク等、不特定多数が密集する可能性のある施設はどう対応すればいいのか

脇田氏
前回同様、リスクを慎重に検討を。
リンクを追うことが難しくなるため避けていただきたい。

Q10. 医療提供体制について

施設の宿泊の、施設とはどのような施設か

脇田氏
無症状者を退院させて収容する施設は、自治体所有の施設あるいはホテルを借り上げることを想定されていると思う。
厚生労働省と自治体で検討していると思う。専門家会議では関知しないところ。

Q11. 今まで以上に強い措置を、との提言は緊急事態宣言を出すべきと捉えているのか

尾身氏
国民的な関心事だが、我々としてはいろんなケースを想定することは当然のことだがその中でブレーンストームは始めているが、専門家が大事と思っていることは仮に緊急事態宣言を出す場合はその目的。出すとできることは何か。出さないとできないことはなんなのか。仮に緊急事態宣言を出す場合、判断基準はなんなのか、一般論的でなく専門家として深い分析が必要。定量的なこと、定性的なこと、社会経済的なこともあるかもしれない。どんな事態にも準備しておくことが必要。専門家会議で検討し始めている。おそらく、政府も検討し始めている。意見交換を密接にしていく。


□ NHK コバヤシ氏

Q12. 子供に関するエビデンス「地域において感染を拡大する役割(ドライビングフォース)をほとんど担っていない」について

①一斉休校の意味と評価は

脇田氏
政府からの要請によるものという意味でインパクトはあった。
西浦氏
効果は不明。

②地域によっては今後も一斉休校も選択肢のひとつとあるが、どういう理屈なのか。地域とはどのレベルか。

脇田氏
細かい生活圏でリスクを検討してほしい。

Q13. 今の死亡率を鑑みてベストとワースト、未来の予測は

西浦氏
前回の専門家会議資料にR0が2.5、ドイツ相当のときの曲線を示したので、そのときの感染規模・重篤患者規模はヨーロッパ相当のシミュレーションは実施している。重篤患者の半分は亡くなるという疫学的な推定値が海外では得られている。年齢別シミュレーションはしていないが、前回資料で被害想定規模はわかると思う。

Q13-2. 重めの予測だと思うが、楽観視できるとしたら?

西浦氏
重めとは考えていない。充分ありえること。他の国の被害規模と同じ程度。
感染性も、東京都の倍化時間(感染者が倍増する時間)が欧州と近いものに思えるがまだ判断できないので憂慮しながら検討している段階


□ 西日本新聞 イチノセ氏

Q14. 感染確認地域、感染未確認地域について

①一斉休校の判断を迷っている地域があるが?

脇田氏
地域の流行の様子を評価して検討してほしい。

②千葉、埼玉、福岡の区分は 

脇田氏
先ほど言った通り。自治体で判断してほしい。


□ 毎日新聞 クマガイ氏

Q15. オーバーシュートを予見する指標として、帰国者接触外来の受診者数やPCR検査の陽性率とあるがふまえて東京の現状は

西浦氏
帰国者接触外来の受診者数は毎日全数の統計がとられている。帰国者接触者相談センターにて、受診の目安で合致した人がカウントされている。土日減少し月曜増加するという週内の変動はあるが、東京は漸増を続けている。東京を囲む都道府県でも同様に漸増。

Q15-2. その評価は

西浦氏
緩慢ながら流行が開始していると判断している。

Q16. 感染拡大警戒地域(東京、大阪)について

感染拡大警戒地域は医療供給体制のひっ迫が要件だが、資料には神奈川、愛知等々もは医療供給体制のひっ迫とある。これは?

脇田氏
どの区分に分けるかは総合的な判断。


□ 日本テレビ ワダ氏

Q17. 前回、持続可能性の方向性を探っていきたい(西浦氏)とのことだったが、コロナ疲れという言葉もみられる。今後明確に時期を示したいという話もあったが、長期化するなかでどのように対策するか

尾身氏
感染の拡大を俯瞰すると、武漢から始まり、いろいろあったが、感染の中心にある東京都知事が真正面から受け止めて動き出したのがつい最近の話。緊急事態宣言を出してはいないが強い対応が始まったばかり。適宜専門家として評価していくし、次の段階を考えていく。長期の戦い。今が大事なとき。いろんな側面の変化によって(対策は)変えていかなければいけないし、対応の強弱もつける。


□ ナカジマミナミ事務所

Q18. 人工呼吸器等限られた医療資源の活用のあり方についても、市民と認識を共有…について

重篤患者の半分は亡くなるという疫学的な推定値が海外では得られている。(西浦氏)と合わせて考えると、イタリアのようなトリアージも考えなければならないのか

西浦氏
疫学的リスクについて。感染爆発が実際に起きてしまったら一定の数で感染者が増えると人工呼吸器や集中治療のキャパシティを超えるのがアメリカ、ヨーロッパの共通点。日本もその可能性が十分あり得るのでそれをふまえてこれからのことを考えなければならないと思っている。
武藤氏
海外では人工呼吸器を装着しない年齢を決めたところもあるが、それは患者数の急激な増加によるもの。日本はそうではない。日本はそういう頭ごなしな状況をさけなければならないと考えている。どんな医療を受けたいか。医療は患者の同意が重要視されるなので意思の不明瞭な状況はなるべく避けたほうがいい。医療者も助かる。トリアージにするか、意思決定にどういうプロセスが必要なのか等は議論が必要なので今日を機会に議論が進むことを願っている。


□ 共同通信 スイ氏

Q19. 自分が罹った場合どうするかと軽症者のケアについて

自分が罹った場合(軽症)のふるまいは

尾身氏
いい質問。指針はかなり考えている。次回示したいと考えている。

Q19-2. 発症した疑いがあるときの行動について示してほしい

脇田氏
かなり議論しているところ。厚生労働省がガイドライン的なものが示されると思う。


□ 共同通信 ハットリ氏

Q20. 感染拡大警戒地域での休校の目的は

脇田氏
感染拡大を防ぐためではなく、子供たちへの感染を防ぐための休校である。

Q20-2. 感染拡大を防ぐためには都市封鎖ということか

脇田氏
ちがう。
従来通り3密。

Q21. 若い世代に対する注意喚起を

尾身氏
当初、重篤者は高齢者、うつすのは若者ということだったが、現在は、エビデンス:クラスタ感染に関与しているのは若者だけではない<中高年も>。
この戦いは全世代が守り行動する必要がある。


□ 時事通信社 イノウエ氏

Q22. 資料にある、海外からの輸入が疑われる、ということについて

①帰国入国して発症のタイミングから海外で感染したと思われる人という主旨か

脇田氏
そう。旅行帰りまたは向こうに在留していた帰国者である。

②一旦増えて落ちたのは海外の流行あと卒業旅行などで増え、その後減ったのは入国制限のためか

脇田氏
そうだと思う。

Q23. 中高年のクラスタについて

最近発生したのではなく、昔からあり最近わかったという意味合いか

脇田氏
昔からあったのかは不明。最近はっきりわかってきた。

Q24. 感染拡大警戒地域の定義について

感染の状況と医療提供体制のひっ迫性、どちらも満たす場合なのかどちらかか

脇田氏
指標をみて実際に判断。必ずしも両方ではなく片方でもなく、何度も言ってるが総合的に判断する。

Q25. PCR検査の陽性率について

東京都のPCR検査の陽性率がそうとう高いことを加味して考えると、シリアスな方に考える必要があるのではないかと考えるが

脇田氏
PCR検査に関する指標も重要な指標のひとつ。すべての指標を勘案する。

Q25-2. 現在の東京の状況をどう考えているか

脇田氏
確かにPCR検査の陽性率は高い。


□ 朝日新聞 **

Q26. 資料の指摘 重症者を優先した医療提供体制の確保について

東京神奈川愛知大阪兵庫の5都府県について抜本的な改革をしたいとのことだが、そのあとの、

>またその際には感染症指定医療機関だけでなく新型インフルエンザなど協力医療機関大学病院など地域における医療資源が一丸となって都道府県と十分な連携・調整を行い、どの医療機関で新型コロナウイルスの患者を受け入れるか、また逆にどの医療機関が他の疾患の患者を集中的に受け入れるか、さらに他の医療機関などへの医療従事者の応援派遣要請に応じるか等それぞれの病院の役割に応じ総力戦で医療を担っていただく必要がある。

>病院施設における注意事項
大分、東京、千葉などで数十名から100名近い病院内施設内感染が判明した。一般に病院内感染施設内感染における感染ルートは①医療従事者福祉施設従事者からの感染②面会者からの感染③患者医療者からの感染が考えられる。
このうち医療従事者福祉施設従事者等に感染が生じた場合には抵抗力の弱い患者高齢者などが多数感染し、場合によっては死亡につながりかねない極めて重大な問題となるこうした点を関係者一人一人が強く自覚し「3密」が重なる場を避けるといった感染リスクを減らす努力をする。院内での感染リスクに備える、日々の体調を把握して少しでも調子が悪ければ自宅待機する、症状がなくても患者や利用者と接する際には必ずマスクを着用するなどの対策に万全を期すべきである。特に感染が疑われる医療福祉施設従事者などについては迅速にPCR検査などを受ける…軽症者の自宅療養、施設…云々

これらは記載の5都府県に掛かるのか全国に掛かるのか。

尾身氏
医療機関ごとの役割について、ガンなど高度な医療を提供しているところは感染症を受け入れる必要はないが、医療機関ごとの役割に関するひっ迫したニーズについて言えば、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫、大分、千葉は共通している。資料を急いで作った。…軽症者の自宅療養以外の療養施設に関することも含め、それらの都道府県に無関係ではないがリンクしていない。

<<<資料の指摘。理解できないまま書くことを断念。あほゆえ。簡単にいえば、医療供給体制の確保について、どの地域がどの内容に紐付けられている的なことを示すことが目的の項目ではない。急いで作った資料でごめんなさい。総合的にとらえてほしい。という内容

Q27. 資料の指摘 都道府県の地域区分の判断について

東京と大阪は感染拡大警戒地域、感染がないところは感染未確認地域、その他は感染確認地域という認識でいいか

脇田氏
自治体に判断してもらうための指標である。
感染未確認地域は減ってきてるが、今後回復する地域もあるだろう。その時点で判断してほしい。
確かに多くの自治体は感染確認地域に当てはまる。

Q28. クラスタ班の疲弊について

発見が遅れてる例を具体的に

尾身氏
直近の例は台東区中心の院内感染。今日もクラスタ班対応中。言いたいのは、感染者数が増えれば接触者調査が増えるのは当然。感染爆発してるヨーロッパでは行っていないが日本は接触者調査(クラスタサーベイ)をしている。人的リソースがかなり必要。保健所は、電話相談、検体の輸送もやっている。主戦場は疲弊している。在宅サポートでもいいがとにかく対応できる人材がいない。という対応が遅れたことについて報告を昨晩受けている。何より知事のリーダーシップが必要。国にも再三要請してきているし要請していく。専門家会議から保健所長会と公衆衛生学会に依頼をしたところサポート人員のトレーニングプログラムを早速やってくれたがそれでも足りない。都道府県には早急に対応してほしい。


□ ニコニコ動画 ナナオ氏

Q29. クラスタ対策班の重要性について

海外にない日本にしかないクラスタ対策班の役割は重要。この会見は注目されているので人材不足についてもっと訴えたほうがいい。

尾身氏
日本にしかないわけではない。シンガポールでもやっている。ただ、オーバーシュートしているヨーロッパ、アメリカでは行っていない。ちなみにシンガポールでは効果が出ているし、実際、クラスタサーベイは効果的な方法。
FETP(いわゆるトレーニングプログラム)が完了した人材は既に現場にでていて既に疲弊している。新たな人材が必要だが足りない。クラスタサーベイが行えなくなるとリンクが追えなくなる。クラスタサーベイは、医療体制、行動変容と並ぶ三本柱。都道府県知事には更なる強力なサポートをお願いしたい。


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武藤氏
質問はないが後々聞いてないと指摘されるのはよくないのでICTの利活用について説明する。
アジアの国々ではICTの利活用が盛ん。ICTにアシストしてもらってる。
日本でも透明性を保ってこれの活用方法を考えていかなければいけないと考えている。
個人情報は情報の取り過ぎや用途が無制限になりそうとか心配事が多いが、しっかり丁寧に議論しているが、急いでいる現状を理解してほしい。

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□ しんどくて聞き取れず

Q30. ICTの活用について

クラスタ早期発見の具体的なモデルは

武藤氏
いろいろ方法はある。これから議論する。各分野の専門家(条例、プライバシー等)と協議する。

Q31. 地域区分の判断基準について

①集会の人数を感染拡大警戒地域10名、感染確認地域50名にしている根拠

脇田氏
計算による根拠はない。諸外国を参考にして設定している。

②感染確認地域の、直近1週間の新規感染者数やリンクなしの感染者数がその1週間前と比較して一定程度…とあるが、一定程度とは

脇田氏
議論はしたが、現時点では具体的な数字は出さないことにした。

③都道府県で判断するのは難しいのでは?

脇田氏
厚労省のクラスタ班に相談して判断してもらう。


□ 東京新聞 もり氏

Q32. 感染者数の推移について

第二波、3月中旬以降海外からの帰国者によって感染拡大したことを考えるとその部分の原因は断たれたと言えるか、それとも、それから1.7の何乗かでも感染拡大しているのでそこの原因が断たれたという要素をもって指数関数的な立ち上がりが今後収まると言いきれないのか

脇田氏
出入国制限したのでだいぶ収まってきたし、止めようとしている。

Q33. ワクチン開発支援について

現時点で有効と思うもの、現時点でみえること

脇田氏
治療薬:まずは既存の承認薬の効果を検証をしている 感染症研究所でも様々な市販薬、カレトラ(抗HIV薬)、シクレソニドなどを試している。実験数の中で候補薬を見つけてきていると聞いている。しかし実際に効果があるかどうかは臨床試験をしてみないとわからない。既に臨床試験を行っているのでその結果を早くもらえることを期待している。新規の治療薬も始まっている。期待している。
ワクチン:米国、中国でPhase1の試験が始まっているので期待している。特に血漿療法は効果があるだろう。症例数が少ないので確実ではないが論文も出てきている。結晶療法ということは抗体を誘導できるワクチンということ。抗原を使ったワクチンに効果を期待している。時期は年単位。まずはPhase1の結果に期待したい。


□ 北海道新聞 アライヤ氏

Q34. 資料 行動変容について

今まで以上に強い対応が求められるとあるが、今までと同じ対策が書かれているように思えるが、強い対応とは

尾身氏
感染拡大警戒地域については期限を明確にした外出自粛、10名以上の集会の自粛はこれまで言わなかったと思う。
海外では具体的な数字を提示している例が多い。提示しないと判断を迷う。だからかなり踏み込んだことを書いたつもり。
感染対策は国も大事だが地域も大事。都道府県知事の決断が極めて重要。専門家会議の役割は提言と状況分析。都道府県知事はそれをもとに、人権を守りながら大変なこの時期がんばってほしい。

Q35. 専門家会議の役割について

地域区分の基準は厚労省または専門家会議から都道府県に伝えればいいのでは

脇田氏
何度も言ってるが自治体で判断するための指標である。クラスタ班はあくまでお手伝い。
実効再生産数は自治体では難しいので助言はする。地域区分を示すことはしない。


□ ロイター通信 タケナカ氏

Q36. 専門家の方々のあらゆるシナリオを想定して政府も考えているだろうとのことだったが、それには緊急事態宣言が発出されるシナリオそしてそのときの対応も含まれるということか

尾身氏
ことが起きてから準備しては遅い、ベスト、ワースト、真ん中のケースを考えている。先日コロナ対策は特措法の世界に入った。当然緊急事態宣言というオプションも当然ありうるので、ボタンを押すかどうかはあらゆるシナリオを重要だし恣意的にできるものではないし、ある程度みんなにわかりやすい考え方が必要。緊急事態宣言をして何をやるのか何が目的か、これがなければできないのか。総合的に考えることが重要。単純じゃない。サイエンス、公衆衛生的、政治経済ポリティカルでもある。多角的。複雑。専門家会議でも考え始めている。


□ エムスリー オガワ氏

Q37. 医療従事者に対して院内感染のリスクを減らすために

①体調が悪い時自宅待機する等あるが、小さいクリニックの医師や医師が少ない地域では判断に迷う難しい点だと思うが、通常の医療との並立を考えた時に医療従事者にどのような判断や対応が求められるのか、行政がどのような支援ができるのか

尾身氏
東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫には、特に早く医療機関ごとの役割を、地域のニーズをふまえて、早急に決定してほしいとお願いしている。オーバーシュートが始まる前に医療崩壊は始まる。提言のフォーカス。極めて重要なこと。

②今日明日にでも抜本的な対策が求められるとのことだが、東京、神奈川、愛知、大阪、兵庫は一般医療機関の受け入れや軽症者の自宅療養今日明日にでも初めてほしいということか

尾身氏
一般病院の役割を早く決定してほしいということ。以前から強調していること。


□ 日本経済新聞 ウエハラ氏

Q38. なぜ日本の感染拡大防止対策はこうも欧州等と異なるのか

尾身氏
2009年のインフルエンザのときに日本の10万人あたりの死亡者数は桁が違った(少ない)。評価は3つ。国民の健康意識の高さ、日本の医療制度、大阪と兵庫両知事の迅速な対応。
日本はコミュニティの中でどのように感染するのかを知るためにPCR検査を行うという発想はまったくない。
ただ、必要な人が必要なときに早く検査を行い重症化を防ぐことについては改善の余地があると思っている。そこのキャパシティを増やしてほしいということはあるが、日本の医療制度の問題がありPCRをくまなくやらなくても日本の医療制度の水準は、現時点で、ある程度コロナの疑いのある人は既に相当の対応を行っている。
あまり感染が拡大していないある都道府県の例では、肺炎でコロナを疑ったときはかなりの割合で検査をしCTをとったが検査数100件のうち陽性は2件。一方でクラスタサーベイのトレーニングプログラムも日本の伝統としてある。これらの日本モデルは注目されている。専門家の願いは、オールジャパンで日本の死亡率世界一(低く)したいということ。

Q39. ドイツの検査数の多さはどういう考え方か

尾身氏
SARSの受け止め方の違い。個人的には日本のPCRについてはキャパシティを上げたい気持ちはある。


以上約2時間

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