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「映像」を生み出した天才たちのバトン

こんにちは。level4です。

1825年、フランスにてある天才が世界で最初の「カメラ」を発明しました。
天才の名は「ジョセフ・ニセフォール・ニエプス」。

何気なく普段皆様が撮影している写真は、どのような仕組みで記録されているのか、考えたことはありますか?
何もないゼロの状態から、目で見える映像を記録する技術を生み出したことは人類史でも大変な大発明だったのだと私は思います。

カメラの原理

そもそもカメラがどのようにして映像を記録しているのかを簡単に説明します。

アナログカメラでいえば、光が当たると変色する(感光性)銀などの化合物を使用して映像を記録します。
もっと具体的に言えば、レンズで光を一点に集めて集めた光を銀化合物でできたフィルムに当てることで光の当たった部分だけ黒くなります。
その後、別の薬品で反応していない部分のみを洗い流すことで版画のように映像が残るのです。

この原始的な最初の撮影システムを考案したのが、先ほどの天才「ジョセフ・ニセフォール・ニエプス」でした。

天才たちが繋いだカメラ完成への道

最初のバトン

実は、世界ではもっと大昔から景色を切り取って写す技術は発明されていました。
それは、「カメラ・オブスキュラ(小さな暗い部屋という意味)」です。

紀元前15世紀ごろ、アリストテレスは、外の映像を切り取る技術を発見しました。

切り取る方法としては、まず真っ暗な部屋に、小さい穴を空けます。
すると、外から一部の光だけが暗い部屋に入ってくることで映像を切り取ることができます。
これはピンホールカメラと呼ばれています。

ピンホールカメラ

たまたま真っ暗な部屋の壁に、外の映像が上下左右逆になって映し出されているのを見つけたのがきっかけです。

当時は当然カメラという概念もないため、主に太陽を観察したり日食を観測する目的で使われていました。
なお、この観測方法は後にヨハネス・ケプラーなどによる天体観察にも大いに活用されます。

次のバトン

800年代にアラブの天才哲学者キンディーが穴を通過したロウソクの火が上下反転する現象を幾何学的に証明します。

またその後、エジプトの数学者イブン・ハイサムが穴を開けた暗い部屋の壁に日食を投影した像について、理論的に詳しく解析し、ピンホールカメラの仕組みを解明します。
ここでやっと、外の映像がなぜ壁に映し出されるのかを人類は発見したのですね。

またそれから改良が加えられ、ピンホールカメラはコンパクト化。小さな箱サイズまでになりました。一般的にはこれがカメラオブスキュラと呼ばれております。

映像が映し出される仕組みが解明されてから数100年、飛躍的な発展はなかったものの1400年代にレオナルド・ダ・ヴィンチが絵を描くため(見た景色をそのまま写生するため)の装置として使用を始めます。

風景がより詳細に描かれるようになったのは、カメラの発展が影響しているんですね。
なお、この時手書きで写生したものが世界最古の写真と言えるのではないでしょうか。

バトンはカメラレンズへ

1500年代、イタリアの医師であり数学者・哲学者であったジェロラモ・カルダーノが凸レンズを発見します。
これこそが、現代まで残るカメラレンズの基礎となります。

これまでの「穴」によるカメラでは、穴を小さくすればするほど鮮明な映像が写しだされますが、その反面、穴が小さいと光量も減り暗くなってしまうという課題もありました。

そこで光を屈折させる凸レンズを使用することで、光を強制的に一点(焦点)へ集めることができ、鮮明かつ明るい映像を写し出すことができるようになったのです。

化学者へバトンが渡される

1798年、オーストリアのアロイス・ゼネフェルダーは印刷技術を研究しておりました。
ある日、彼は研究の中で石灰岩でできた板を購入しました。
次に、油性クレヨンで石灰岩の上にメモを書き、後で硝酸で洗い落とそうとしましたがクレヨンの跡だけが残ってしまいました。よく見るとクレヨンの跡には油や水滴が吸収されず残っていることを発見します。

そこで彼は、あえてクレヨン跡にインクを塗り、そこに紙を押し付ければ簡単にコピーできることに気付きます。
これは後に版画として、印刷という概念を生み出していくこととなります。

そして、いよいよ人類は保存する技術を生み出す

バトンはいよいよ、最初に紹介した人物へと渡されます。
1790年代、「ジョセフ・ニセフォール・ニエプス」は、他国で発明された版画技術を調べているとあることを閃きます。

版画では、クレヨンを塗った部分だけ油をはじく性質を使って印刷していました。
もし、光の当たったところだけ化学反応が起きるような物質があれば、同じように映像を印刷(記録)できるかもしれない。と考えたのです。

そこで、彼は昔から知られていた光が当たると硬化する物質(アスファルトの一種)を利用してカメラ・オブスキュラで光を当ててみました。
すると、予想通り投影した光が当たった部分だけ硬化し、なんとなく外の映像が写し出された板が出来上がりました。
まさにこれが、世界で最初の「撮影」です。

それから30年後、より鮮明に写されるよう、様々な化合物を試した結果、銀化合物がより敏感に光と反応することを見つけ窓の外を写した「ル・グラの窓からの眺め」を撮影することに成功しました。

窓の外を写した「ル・グラの窓からの眺め」

ついに、人類は見た映像を保存する技術を獲得したのです。

今も天才たちのバトンは続く

その後、写し出すフィルムは銀化合物ではなく、よより薄い感光剤でかるニトロセルロース等を使うなど改良が加えられ撮影技術はさらに進歩。
現在では、光を感知して電圧が変わるデジタル技術を使ったカメラで、目で見るよりも繊細で鮮明な映像を記録することが可能となりました。

例えば、肉眼では見ることができない星空も、デジタルカメラを使えば見ることができ、保存することができるのです。

そして、その技術を応用することで、動画が果ては指紋認証などにも使われることとなります。

もしかしたら今後、これまでの撮影技術とは全く方法が天才たちによって生み出されるかもしれません。

以上、天才たちが紡いできたカメラの歴史でした。

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