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おじさんとおくさん~フラッポクラッポに花が咲いた~
★おじさんとおくさんの紹介★
おじさんは、おじいさんの代から受け継いだ畑で野菜を育てている。
頑張ってはいるものの、野菜って言うのは、なかなか育てるのは難しい。
おじさんの趣味は、カードゲーム。
おじさんとよく似た、そして、趣味の同じ弟と一緒に、そして、近所の友人たちを集めてのカードゲームをするのが何より楽しい時間。
だけれど、おじさんは、強くない。
大抵負ける。
負けるけど、おじさんは、いつも思う。
「今日は、勝てる気がする。よし、みんなに声をかけよう!」
そんなおじさんを、おくさんはいつも呆れた顔で見ている。
今日も、畑から帰ってきたおじさんが、そわそわしながら、カードゲームが入っている棚の周りをうろうろしている。
あぁ、またか。今晩もきっと負けるのね。
あの人の好きな、コーンスープと用意しておかないと、明日の朝元気がなくなっちゃうわね…。
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40ページ おじさんの心の変化、走るおじさん。
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おじさんは、一輪の真っ赤なお花を小さな魔女にもらった。
本当は、あんなボロボロの家、断られるにきまってると思ってたから、 ちょっとめんどくさいななんて、昨日の夜思ったんだ。
だけど、この不思議な魔女さんは、一目で気に入っておおはしゃぎ。
家の方は全然見てないけどいいのかぃ?
初めて魔女の魔法をこの目で見た。
不思議な光が、ぱぁっと広がった。
なんか、心の奥の方で、何かを思い出しそうな気がする。
そんな気分。
小さいころ、じいさんが、育てている野菜の花を見せてくれたっけ。
そういえば、じいさんは、植物が好きだったのかもしれないな。
今更 分からないけど。
でも今はとにかく、手の中にある、この小さな赤いお花が、自分を不 思議な気持ちにさせていることは確かだ。
なんだろう、そわそわする。
もらったけど、どうしよう。
そうだな、うちの奥さんにでもやるか。
どんな顔するかな。
びっくりするだろうな。
こんな真っ赤な花、見たこともないだろうに。 どうやって咲いたのか、話してやろう。
きっとびっくりするぞ。
すぐにでも話したい。
聞いてほしい。
一緒に見られれば良かった。
この花を、早く見せたい。
そうだ、魔女さんが言ってたな。花言葉が、えーと…。。。
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42ページ おくさんと真っ赤なお花
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おじさんの家には、花瓶などない。
おじさんの家だけじゃない。
そもそも、フラッポクラッポには、花瓶 など売っていただろうか。
おばさんは、おじさんから、不思議な光を放つ真っ赤なお花を受け取 った。
おじさんは、よく分からないけど、楽しそうだ。
嬉しそうだ。
しかし、何を言っているんだ?
分からないけど、何なんだ、私に、花をくれるというのか。
そうだ、これは…あれに似ている。
小さな頃、よく読んだ神話の本の挿絵に、こんな感じの赤い花が咲いていた。
見てみたいなぁと、とても小さな頃、思っていたじゃないか。
すごくすごく好きで、何度も読んだあの場面だ。
なんで…今の今まで忘れていたんだろう。
それにしても、まさか、この年になって、この人が持ってきてくれるなんて。
あぁ。
雰囲気のあるかわいいコップでもあればまだ良かったのに。
うちにはバケツしかない。
まぁ、今日は、バケツでもいいでしょう。
案外かわいいじゃない。
ほら、机の真ん中に置いておけば、なんか、素敵じゃない。
つづく。